モスケネスのサイトを出て北へ向う前に前回も行ったロフォーテンの道路の最南端A(おーと発音する)へ行った。前回は片道写真を撮りながら歩いていって、帰りはローカルのバスで帰ってきた。
この前にも見慣れた風景だけれどカメラを構えずにはおれないほど素晴らしい。6年前は干しだらがいたるところにぎっしり並んで干してあったのが、例年の乱獲でほとんど取れなくなったものらしい。
一箇所だけ干したらの身を見かけたが他は空の干し棚か、たらの頭を紐につないで干してある。これはたぶん捕った生のたらは英国のFish and Cipsに輸出されたか、塩たらにしてポルトガルやスペインへ輸出されたものに違いない。たらの頭は一体何に使うのか判らないけどこんなに多くのたらが捕獲されたことを思えば無尽蔵でないのがあたりまえだ。
A(おー)の長いトンネルを通り過ぎるとすぐ駐車場と土産屋兼観光案内所に着く。この駐車場には各国語でここはキャンプ禁止と書いてあるのにたくさんのキャンパーが停まっていた。主にドイツとオランダでイギリス車は一台も居なかった。彼らが一晩中キャンプしていたのは見え見え。
駐車場以降は岬の岩場まで歩かねばならぬ。ここでブリクスデールではまだ一本も咲いていなかった背丈の低いランの花があちこち咲いていた。それにコトン・グラス(わたすげ)が草むらに白い花のように生え、風に揺れている。
Aの絵葉書になっているこのあたりに若い人達がテントを張ってキャンプしている。一晩中明るいから雨さえ降らなければ快適なキャンプだろう。朝10時過ぎと言うのにこの3人はテントも張らずに眠りこけているところを見ると一晩中おきていたのに違いない。
帰り道6年前にとっても気に入った素敵な庭と、おもちゃのようにかわいい家を探しながらゆっくり走ってとうとう見つけた。亭主に車を停めてもらい急いで写真を写してきた。
私たちが通った時にお花に水やりしていた、この小さな家に住んでいたおばあさんはどうなっただろう。
白夜では朝も早くから目が覚める。7時前には起きてしまい、隣のオランダ人夫妻が起きだした8時過ぎにはキャンプサイトを出発した。ボードーまで120km、そこからフェリーでロフォーテン諸島へ行くことにした。フェリーの時間が判らないから、途中で見かけたスーパーでパンとミルクを買った。ロフォーテンではスーパーマーケットは期待できない。
ボードーまでの道も波静かなフィヨルドの沿岸を行く。遠くに見える雪山はフィヨルドの対岸の山並みらしい。この対岸の山々も今年は6年前よりもずいぶん雪が少なくなっている。
途中でフィヨルドにかかる架橋工事の真っ最中だったが、これが道路の橋か鉄橋かは判らなかった。
ボードーの港に着いたのは11時過ぎ、フェリーは全部の車を載せてまだ動かない。まだ間に合うから乗ってもよいと言われ急いで乗船、一台の小型キャンパーがフェリーの乗り口で故障して行きも帰りも出きず、出発が遅れているという。
前回フェリー乗り場で全部の車が乗り込めず、午後の部まで4時間ほど待った記憶がある。
今回はラッキー、故障のおかげで乗れたと喜んだけど、出発できたのは12時過ぎだった。
ロフォーテン諸島のモスケネスの港まで3時間。天気は良く海は凪いで気持ちよく、初めて船酔いの心配をしないでくつろいで楽しめた。
フェリーの上から見るボードーの町も北極圏内イコール田舎と言う観念とは全く違った小都会でヨーロッパのどんなところの港町とも変わらない。
フェリー内に日本人らしき男女4人が乗っていて各自大きなスーツケースを持っている。話会う機会が一度も無かったから判らないがボードーまで電車か飛行機で来て、ロフォーテン諸島をバスで回るらしい。でもあの大きな荷物はどこへ行くのも大変だろうと思った。
ロフォーテンに近づくと切り立った高い岩山と麓にへばりつくような家々、まだ雪の残っている高い山脈,やっぱり来てよかった。どこを見ても絵葉書になりそうな素晴らしい風景がひろがる。
午後3時モスケネスの港に着きすぐ前のキャンプサイトに入った。遅い昼食後、先ずは前から計画していたこと・・・・サイトの下の岩場で魚釣りをすること。
4時から1時間小魚3匹釣り、休憩また夕食前にと下りていって大きな鯖一匹、小魚3匹を釣った。こんな大きな鯖は初めて、数年前アイルランドでたくさん鯖を釣ったがこれほど大きくは無かった。
早速3枚におろして小麦粉をつけて油で揚げた。今夕のおかずは最高だった。
小魚のほうは見たこともない魚だったが頭とはらわたを除いてフライにしたところ、白身の美味しい魚で翌昼のおかずになった。
夕食後3度目の魚釣り、また鯖1匹と小魚2匹を釣り上げ、鯖は塩でしめてしめ鯖にした。
この日は特に天気が良かったせいもあり、日が暮れないから12時近くあたりの写真を写そうと岩場を歩き回っていたら、海を見ていた若い男女が”ほらKiller Whale(シャチ)”
と叫んだ。なるほどサイトの向こうの海を2匹のシャチが悠々と泳いでゆく。先ずは写真を数枚撮ってからキャンパーに駆けつけ大声で亭主に伝えたから、周りのキャンパーからも総出で見ていた。
フェリーは夜中12時過ぎボードーへ向って出航していった。彼らは一晩中働くのかしら?