フィンランドとスエーデンは北の海が開けていない。完全にノルゥエーとロシアに取られてしまっている。しかしこの北部ラップランドに居住するサミーやスオミと呼ばれる人達は昔は非定住者でエスキモーと同じように狩猟を主として生活してきた。それもシベリアからノルゥエーのラップランドまでの広範囲が彼らの移動地だった。戦後各国の国境線が確立され、定住を余儀なくされたサミーやスオミーの人達はトナカイの放牧を主に生活している。
キルケネスからフィンランドの国境まで80km近く、国境手前の川は鮭が上ってくる釣り人の天国で、この辺りには釣り人のためのホテルやキャンプサイトのバンガローなどが完備している。釣り人には1-2週間この川渕で大きな鮭を釣り上げられたら大いに自慢の種になる。
タナ・ブルのホテルのロビーで英語を話す2家族が大いに自慢話をしていた。また昨日のキャンプサイトでは大きな鮭を解体してクッキングしている人を2人も見かけてうらやましかった。
鮭はこの激しい流れを遡って産卵にやってくるのだろう。
この河からすぐフィンランドの国境に入る。フィンランドは北から南まで山が一切無く真っ黒の水をたたえる湖と松林しかない。写真を写すにしてもあまりに変わり映えしないからほとんど写さない。たまたま道端に出てくるトナカイが面白い。この白っぽいトナカイは珍しい。
親子連れのトナカイのこれはまだ子供だが、我亭主によれば”醜い犬に角が生えかかっているみたい”だって。母親トナカイが知ったら嘆くだろうに。オスは1頭で行動していて立派な角が素晴らしい。しかし夏はトナカイの毛皮の変わる時期でどれもあまりきれいに見えない。
イヴァロのキャンプサイトに落着いて夜11時半松林の間から夕日が明るく差し込んでいる。
真夜中の太陽はぎらぎら輝き、直接見ることができない、ところが20分後には完全にロシア国境湖の向こうに隠れてしまった。
そしてまた20分後(12時40分)には太陽が現れた。それもずいぶん離れたところで、地球の自転のすごい早さをここに来て体感した。