キルケネスは北東ノルゥエー(East Finmark)では一番大きな町でありロシアと国境を有する。
この日朝は晴れていたのにキャンプサイトを出発してからはにわか雨が多く午後はひどく降られた。
キャンプサイトからヴァランゲル・フィヨルドを間に見るキルケネス地方はなだらかな岩山が続いている。
フィヨルドの最奥バランゲルボツン(Varangerbotn)から125Kmのキルケネスの町外れキャンプサイトを探して12km行ったところが急にロシアの国境だった。バス一台分の観光客がここの国境を見に来ていて特に珍しいものがあるでもない辺りの写真を撮っていた。
全然期待していなかった国境だったが、ロシア側が見渡せるでもなく一応写真は撮ってこの辺りを去ることにした。国境に着くまで道路工事が行われていて、キャンプサイトへは入ってゆけない。国境の土産屋さんが対岸の湖の側にもサイトがあると教えてくれた。
12km戻ったところで道路ナンバー885を見つけて南下する。途中から激しい雨風に襲われたり舗装はしてあるものの道路のでこぼこが激しく、この道を100km以上も行って疲労困憊。
やっとたどり着いた最奥の道の行き止まりは立派なゲイトと2-3軒の建物があるだけ、誰もいない。観光案内書に拠ればこの地方にロシア、フィンランド、ノルウエー3カ国国境の記念碑があるはず。そこを目指して100km以上も来たのにと二人で嘆いていたが、帰りの途中に分かれ道の標識を見つけ100メートル先に一軒の百姓家を見つけた。若い男の子が一人庭先で昼食を食べているのを見つけ、彼の話ではここから20kmを車でそれから10kmを徒歩で行けば着けるという。往復20kmも歩いてゆくほどの価値があるとは思えない。あっさり諦めた。
帰りは激しい雨風の中同じでこぼこの道を走り、只一軒だけ見つけた小さなスーパーで持っていたノルゥエーの現金クローナを食料に換えた。明日はフィンランドへ行く。
今まででこんなに骨折り損のくたびれもうけだった日もあまりない。写真も撮るほどのものが見つからず、湖の向こうはロシアだとわかっていてもどこの景色も変わらない。