朝目が覚めてブラインドを開けて驚いたのなんの。昨夜は寒くて電気ストーヴをつけっぱなしで寝たけど暗い空は星でいっぱいだった。それなのにあたり一面真っ白、明け方にしっかり降ったに違いない。キャンパーの周りは泥濘のようになっているから雪は積もっていない。
今日はまた西に向かって次のナショナルパークへ行く予定だった。でもキャンパーの前輪があまり良くなくて、雪道で動けなくなっては大変と計画変更することになった。
中央部スペインには冬の間開いているキャンプサイトが少ない。それに比して海岸線はほとんどが開いていて、どこのキャンプサイトでも数か月滞在する北欧からドイツ、オランダ人がみかけられる。
昨夜泊まったキャンプサイトからまっすぐ南の海岸線はタラゴーナ(Taragona)でその南の町カンブリルス(Cambrils)にキャンプサイトがあるのを見つけそこにカーナビをセットする。
キャンプサイトを去って20Kmほど行くともう雪は消え、時々追い越してゆく車の屋根の雪が舞い落ちキャンパーの屋根雪がフロントウインドウに滑り落ちてくる。
これなら西へ行ければよかったのにとぼやいてみたけれど、本当は行かなくて良かったのだ。というのはその翌日からバルセローナを中心に居座っていた低気圧が北スペインからピレニー山脈に多大な雪をもたらしたから。
雪の朝は冷たくきりっとした空気がすがすがしい。青空が広がり南へ行けば行くほど暑さを感じキャンパーの窓を開けたり服も半袖になったり100km南でこの違いよう。
山がなくなってくるとあたり一面の農耕地帯、こんなに広々とした土地を持っていながらこの国は経済困難、夏が暑すぎるからに違いない。
午後2時ころにはラリョッサ(Lallosa)キャンプサイトへ着いた。さっそくお昼を食べようと準備中にキャンパーの向うを行く人に見覚えがあった。
なんと昨年ポルトガルのオルニャオで隣同士だったダンカン・ロズ夫妻だった。
全くの奇遇に喜び合い、彼らがこのサイトに一週間もいて明日出発することや、10月初めからイギリスを出てドイツ、オーストリア、イタリア、フランスを回ってゆっくりポルトガルへ行くことなどを知った。
カンブリルスは港町で夕方漁船が帰ってくると魚を買えるというから是非行こうと話し合う。
夕方5時ごろに漁船が戻ってくるのをめがけて海岸のプロムナードを歩く。漁船がカモメに囲まれて港へ向かっている。魚を選り分けて漁業組合に収めている人たちや、まだ帰ったばかり大小の魚が山積みの漁船もある。バケツを持った人やビニール袋を持った人たちは、この土地の人たち。欲しくても勇気も入れ物もないからあきらめ、後からやってきたダンカン夫妻と合流してプロムナードを歩き、ワインレストランで再会を祝った。