当時アルバイトしていた深夜のコンビニの有線から、頻繁に流れていた。
そのサウンドなのかメロディなのか、それとも歌声なのかは分からないけど、地方の、郊外の、客が一人もいない真夜中のコンビニのカウンターの中にいた、安い時給で働いているワタシの琴線に妙に触れた。
当時はネットもなかったので、すぐに誰の何という歌なのか分からなかったのだけど、しばらくして、それが「愛の哀しみ」という邦題で、プリンスの「Nothing Conpares 2U」という曲のカバーだと知った。
押し入れの中にしまっているCDボックスを見てみたら、CDを持っていた。
いつ買ったんだろう?
もう記憶にないほどずいぶん昔だったことだけは確か。
でも、このCDを購入した理由は、「愛の哀しみ」が聴きたかったからに他ならない。
久しぶりに聴いてみた。
コンビニの有線でもなく、ボックスから出したCDでもなく、スマホに入れたサブスクで。
30年以上の年月が過ぎ、あの頃とは聴き方が変わっても、やっぱりこの歌を耳にすると、コンビニでアルバイトをすること以外に何もできない、何も持っていない、〈大学生〉という肩書きだけの、どうしようもない二十歳の自分を思い出す。
来月、奇しくも、その頃の仲間たちと集まる予定。
その直前にこんなニュースが届いたのも、なにかの縁なのかも・・・というのは大袈裟か。
ご冥福を心よりお祈りいたします。
プリンスは、彼女が自分の曲をヒットさせたことを、あまり喜んでいなかった…という話を聞いたことがあります。
このカバー曲が世界中で大ヒットした後に、彼女がプリンスに会った際、プリンスは彼女をベッドに誘ったそうですよ。当時のロッキンオンに、そんな記事がありました。
合掌。