ヴォルスの展覧会に行ってきた。
繊細な線と淡い色調が紡ぐ作品を観進めていくに従い、ある違和感を覚え、姉妹には気持ち悪さを感じるようになった。
なんとそこには夥しい数の身体の一部が散らばっていて、あたかも標本の様相を呈してた。
一枚だけならば美しいと感じられるのだが、畳み掛けるように絵が待ち構えていると、そこに繰り返されるモチーフが作り出すイメージは、執拗な凶器となって私を痛めつけた。
時代の流れと彼の置かれた状況が、彼の内側を狂気へと導いたにしても、人は悪夢を見続けられるのだろうか。
絵を観終えて、濃い緑が眩しくじりじりと蒸し暑い外へ出ると、命が溢れ返っていた。
少なくとも今の状況は、最悪ではないかもしれないけれど、忍び寄る足音が通り越してしまいそうで恐ろしい。