久々の青空、初夏の訪れを知らせる使者、ツバメが気持ちよさそうに飛び交っている。
我が家に引き込んでいる電話線は、ツバメたちのお気に入りの休憩所、毎年のようにここで羽を休めている。
今日は、番のツバメがその場所を陣取っていた。
昨年の子ツバメかもしれない。
どこか具合のいいところに巣を作りたいと思いをめぐらせているのか。
時々飛び立っては、家の周りをぐるぐる回る。
そして、ツイっと開けてある玄関をくぐって家の中に入り、あちこちめぐっては外へと出るのを繰り返す。
家の中に人がいたなら、玄関だけで外へ出る。
これを幾度となくやっているうちに、とうとう二階へと迷い込んできた。
音楽をかけながら料理をしていると、吹き抜けの階段の窓あたりでバサバサあわてるような音がする。
ーはいはい、迷い込んじゃったのね
手で直接触るのは気が引けるので、ポリ袋で手を被い、窓際でばたついているツバメを捕まえた。
羽が傷つかないか心配しながら、外へ出て手を緩めると、ぱっと飛び立って、上を旋回していた。
さてこれで大丈夫だけれど、きっと落し物があるはずと、家の中をチェックする。
あちこちに三箇所程度で済んでほっとした。
家人にツバメの捕り物帖の顛末を話に外へ出て、無事に救出できてよかったと和んでいると、頭上を飛び回るツバメの姿があった。
お礼に来たのかと話し合っている視線の先の二階の窓の内側に、どうしたことかツバメの姿がある。
ああ、番で家の中に入ったその片割れが、どこかに潜んでいて今頃外へ出たがっているのだ。
急いで二階へと駆け上がり、窓を開けたならツバメはすぐさま外へ向かって飛び立った。
このツバメたち、まだ経験が浅いのだろう、これからもまた家の中に飛び込んできそうだ。
しばらくは、玄関を開け放つのは危険であると、家族みんなで心に留めたのである。
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