とくおかレディースクリニック~ブログ~

日々、徒然なるままに、書き込んで参ります。
どうか宜しくお付き合い下さい。

6月のラボ便り

2015年06月05日 | ラボ便り


6月のラボ便り


皆様、こんにちは。
6月に入りまして、
だんだんと夏を感じる日も増えてきましたね。

今月は、
“卵子の老化”とは具体的に何が起こっているのか、
ということについてお話し致します。

卵子の元となる卵母細胞は、
その女性が、まだお母さんの胎内にいる時に作られます。
その女性の胎児時に、最も数が増え、
その女性の出生後には、新たに作られることはありません。

卵巣に蓄えられた卵母細胞、
すなわち卵子の元の数は、減少していくのみです。
したがって、
今排卵している卵子は、自分が胎児の時に作られていたものであり、
卵子の年齢は自分の実年齢と同じ、ということになります。

卵子の細胞質内には、
“ミトコンドリア”という細胞内のエネルギーを調節する大切な器官があります。
年齢が高くなると、この“ミトコンドリア”の機能が低下します。

卵子は減数分裂というものをして、染色体の数を正しい数にして行きますが、
“ミトコンドリア”の機能が低下していると、
減数分裂が上手く行えずに染色体が正しく分離しません。

結果的に、染色体の数が多かったり少なかったりする卵が出来る、
すなわち、“卵の染色体異常”につながってしまうと言われています。
これが、“卵子の老化”といわれている現象です。

他にも、
年齢が高くなる事で、卵子の殻である透明帯が固くなるとされています。
その事で、
・精子が入りにくく、受精に至らない(→受精障害)
・受精して胚が成長しても、透明帯から孵化出来ず、着床に至らない(→着床障害)
につながります。

これは、
・精子を直接卵子の細胞質の中に注入し、受精の手助けをする・・・顕微授精(ICSI)
・透明帯に切り込みを入れて、成長した卵が出やすくする・・・補助孵化法(AHA:アシステッドハッチング)
を行うことで、解消する事が出来ます。

しかし、
残念ながら、
“卵の染色体異常”という老化を防ぐ方法は、ありません。

卵子が老化して妊娠に至らなくなってしまう前に、
必要な治療を行って妊娠を目指していくことが、一番の対策と言えます。

添付の画像は、先日行った水族館で見たクラゲです。
水槽の中をふわふわと漂う姿を見て、涼しげで癒されました。


とくおかLCラボスタッフより


とくおかレディースクリニック









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