大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・魔法少女マヂカ・013『日暮里駅階段すれ違いの邂逅』

2019-04-06 13:19:43 | 小説

高校ライトノベル・魔法少女マヂカ・013

『日暮里駅階段すれ違いの邂逅語り手・ブリンダ   

 

 

 安倍という教師が助かったのは超常現象ということになった。

 

 安倍を撥ねた、いや、撥ねかけたセダンのドライブレコーダーには撥ねられる寸前の安倍が写っていた。

 それが、ぶつかる寸前にフッと消えてしまったように記録されている。

 消えた安倍は、数分後にビルの非常階段からキツネにつままれたような顔で降りてきて、セダンのドライバーを驚かせた。

 ドライバーも周囲の通行人も、車体の下に巻き込んだか。あらぬ方向に撥ね飛ばされたのではと、通報で駆け付けた警察官といっしょに探していたのだ。

「アハハ、うちの先祖は安倍晴明だって伝説がありますから💦」

 本人は笑ってごまかしていたが、オレには分かっている。

 

 あれは、魔法少女マヂカの仕業だ。

 

 制服から都立日暮里高校に潜り込んでいることは分かった。使い魔を飛ばして調べてみると、渡辺真智香として在籍していることが知れた、初期設定のずさんさや油断からボロが出始めている。安倍という女性教師はマヂカが生徒であるという暗示がかかっていなかったし、箸を使わずに弁当を食べるというポカから、調理研究部を作らざるを得なかったなど、笑ってしまうことばかりだ。

 オレも日暮里高校の生徒になってもいいのだが、それでは芸がない。

 地勢的に日暮里を見下ろす位置にあり、最寄りの駅はマヂカと同じ日暮里駅という千駄木女学院を選んだ。

 

 オレも七十二年ぶりの復活だ。少しは楽しんでみたいと言う気持ちもある。まずは出会いを演出しよう。

 マヂカは名前も姿形も変えているが、わたしはマンマだ。

 ブリンダ・マクギャバン アメリカからの交換留学生。ヘアスタイルが変わって千駄木女学院の制服を着ているという以外、見かけに手は加えていない。

 日暮里駅の構内で三回すれ違った。それなのに奴は気づかない。

 一度は、調理研究部の仲間といっしょなので、知らないふりをしているにかと思ったが、その次も知らん顔。

 

 今日は改札近くの階段ですれ違うことにした。マヂカはこだわりなのか、一人の時は階段を使うのだ。

 

 オレは上り、マヂカは下り。お互い顔は正面を向いているが、体を開くようにしてすれ違う。

 瞬間、マヂカは――ア?――という顔をした。

 異変に気付いた時は、お互い、階段の上と下に達している。

 わたしは、マヂカの目を見ながら得物をヒラヒラと振ってやった。すれ違いざまに縞柄のブラを抜いてやったのだ。

「え? あ、あーーー!?

 階段の上から眺める奴の狼狽えた顔は見ものだった。

 しかし、違和感……

 やつは、頬を染めたままニッコリすると、花柄のパンツをヒラヒラさせた。

 その時、通貨電車の風圧が疾風となって階段を駆け上がってきた。

 翻るスカートをとっさに抑えたすきに逃げられてしまった💦

 

 

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高校ライトノベル・ひょいと自転車に乗って・22『もうこれは街だよ!』

2019-04-06 06:19:23 | 小説6

ひょいと自転車に乗って・22

『もうこれは街だよ!』     
 

 

 八尾市の面積は尾道市の1/6もない。
 

 八尾市:41.72km2 尾道市:285.09km2

 だから自転車に乗れれば、すぐに回りきれると、なんとなくだけど思っていた。

 ところが、グーグルで見ても、わたしの足跡が付いているのはほんのわずかにすぎない。 自転車に乗って広がった世界はまだまだ狭い。だけど、歩きだけだったころに比べると確実に広がっている。 いかに、それまでの自分の世界が狭かったかと、ため息が出てしまう。

 尾道は90%が森林や農地だけど、八尾は80%が市街地なんだ。人の生活圏という点では、八尾の街の方が圧倒的に広い。
 

「みっちゃん一人でも行ける?」
 

 京ちゃんが席にやってきて済まなさそうに言う。 今日は二人で八尾カリオに行く約束をしていた。もちろん自転車で。

 だけど、たった今終わったホームルームで京ちゃんは卒業式実行委員に選ばれてしまった。放課後さっそく委員会があるので、京ちゃんは行けなくなってしまったのだ。
 

「大丈夫、八尾の街にも慣れてきたから十分行けるよ」
 

 明るく応え、かっとびで家に帰って私服に着替える。 さっさと着替えてゲートの前で自転車に跨る。

 何気に見た畑中園芸店のアルミドアの中に輝さんの姿が無かった。

 ここんとこ日中の店番は輝さんなので「あれ?」って気がした。

 時間が無いので、八尾のカリオを目指す。

 カリオのある近鉄八尾駅まではノープロブレム。あっけなく着いてしまったので拍子抜けがするくらい。

 でも、八尾駅の北側に出てびっくりした。 尾道の感覚では、大都会の感じ。駅前のロータリーだけで学校の敷地くらいの広さがある。
 

 えーと……自転車に跨ったまま完全なお上りさん。
 

 巨大な歩道橋の下には、バス停だけでも七つもあり、グルっと見渡すと銀行だけでも四つある。 道路は四車線が六方向に伸びていて、どれがカリオに行く道かも分からない。 人に聞けば、すぐに分かるんだろうけども、まだまだ尾道少女を引きずっているわたしは気後れしてしまう。

「あ、交番がある」

 並の交番の倍ほどの大きさがあるので、バスの営業所なんだろうと、目に入った時はスルーして、二度目で気づいた。

 お巡りさんに聞く勇気はない。わたしは幼く見えちゃうんで、なにか言われるんじゃないかと思っているわけ。

 交番横の地図を見ようとしたら、交番の向こうにカリオの大きな看板が目に入った。

 ――ほんとに駅前なんだ――  

 信号を渡って、K銀行の角を曲がると、また驚いた。

 交番から見えていたカリオはほんの一部で、カリオは北に向かって遥かに続いている。
 

 どこから入るんだろう……。
 

 見渡しただけで三か所の入り口がある。 ま、いちばん近くでいいや。 自転車の鍵を二回確認して自動ドアに向かう。
 

 ウワーーーー!!
 

 声になるのを、なんとか堪える。

 入った右側は広い通路を挟んで巨大なスーパー。 左側を見ると、同じ幅の通路……ていうか、ほとんど二車線の道路くらいある。買い物客のみなさんがゆったりと歩いている。

 足の向くまま道なりに進む。

 広場みたいなのを二回通る。休日なんかにはイベントとかあるんだろうなあ。

 あ、スタジオまであるではないか。

 ブースの中にはDJのお姉さんが居て、なにやら本番中。ブースの前には100程の椅子があり、お年寄りやオバサンたちが放送を聞きながらリラックス。 放送は面白そうだったけど、座っちゃたら根が生えそうなので先に進む。  

 突然いい匂いが集団で襲ってきた。
 

 お、食堂街!
 

 足を踏み込むと、何十件もの飲食店が競っている。 昼ごはんには遅すぎ、晩御飯には早すぎる時間だけど、どのお店にも行列ができていた。 ――え、この上にもあるの?――  食堂街の真ん中にエスカレーターがあり、上がってみると同じ規模の食堂街が広がっている。 ――すごいところだ――  気が付くと、またエスカレーターに乗っていて、これがたぶん三階?
 

 わ、映画館!
 

 なんと、三つも映画館が入っている。 去年人気ナンバーワンだったアニメがかかっている。見損ねたアニメだったので、とっても観たかったんだけど、ぐっと堪える。
 堪えたところで方角が分からなくなった。
 カリオって、京ちゃんに聞いた時には大きなデパートかと思っていたけど、もうこれは街だよ!
 

 あれ?
 

 上演時間が終わったんだろう、奥まった映画館からお客さんが吐き出されてきた。 お客さんは、みんな満足そうな顔をしているのに、一人浮かない顔で出てきた女の人がいる。
 

 あ、輝さん!?

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高校ライトノベル・秘録エロイムエッサイム・22(埴生の宿)

2019-04-06 06:08:24 | 小説4

秘録エロイムエッサイム・22

 (埴生の宿)
 

 

 駅前で、楽し気だけど寂しいオーラを感じてしまった。
 

 大江戸放送の収録が終わっての帰り道。マフラーに眼鏡だけという簡単な変装だけど、世間の人は、これが年末から急に売れ出した朝倉真由だとは気づかない。顔が売れていないわけではない。オフの時は余計な注目が集まらないように、清明が呪(しゅ)を掛けてくれている。オフ用の眼鏡かマフラーをしていれば誰も気づかない。
 

 オーラは、駅前から横丁に入ったカラオケ屋から漂ってきている。
 

 真由は感受性の強い方だったが、こんなオーラを感じられるほどではなかった。エロイムエッサイムの魔法が使えるようになってからである。清明やウズメがうまくコントロールしてくれているからだ。
 

 気づいたら、カラオケ屋のそのオーラの部屋の前に立っていた。
 

「楽しそうね、カラオケ代もつから、仲間に入れてくれる?」

 部屋の中には、中学生と小学6年の姉妹がいた。

 名前も家庭環境も見抜いている真由だったが、知らないことにした。姉妹はいぶかしんだが、真由は無意識に「仲良し」の呪をかけていた。姉妹は、気軽に真由を仲間に入れてくれた。

「オネエチャンうまいね!」

 流行りの歌を三曲付き合うと、積極的な姉の方が声をかけてきた。妹の方は、ただ尊敬のまなざしで、真由を見つめている。
 

「ありがとう、こんな歌もあるんだよ……」
 

 そう言うと、真由はカラオケを操作した。

 埴生の宿も わが宿 玉のよそい うらやまじ のどかなりや 春のそら 花はあるじ 鳥は友 おお わが宿よ たのしとも たのもしや……🎵

「言葉はむつかしいけど、それ、我が家がいちばんいいって意味だよね」

 妹が目を輝かせて聞いた。

「そうだよ。作曲はイギリス人、作詩はアメリカ人、里見義(ただし)って人が百年以上前に日本語訳にしたの……ちょっといい話があるの、聞いてくれる?」

「うん、聞く聞く!」  姉妹は、声をそろえた。
 

「戦争中にね、ビルマでイギリス軍と日本軍が戦っていて、日本兵がバタバタ倒れていって……それでも日本の軍隊は降参できないの」

「社会で習った。ギョクサイとかいうんだよね」

 姉が知識を披露した。

「そこで、ある小隊長さんはね、部下に発砲を止めさせて『埴生の宿』をみんなで歌ったの。するとイギリス兵も撃つのを止めてね、英語で『埴生の宿』を歌いだしたの……歌って通じるのよね。犠牲者をほとんど出さずに、日本の兵隊たちは捕虜になれた」

「通じたんだね。イギリス人も日本人も自分の家が、平和が一番だって……」

「そうだよ。あなたたちだって自分の家が一番。そう思ってごらん」

「う~ん、むつかしいなあ」  妹が腕を組んだ。
 

 真由には分かっていた。姉妹の両親は共働き、給料が安いので夫婦ともに仕事の他にアルバイトやパートの掛け持ちをやっていた。姉はスマホを持っていたが、セッティングを親からの緊急連絡だけにしていた。他の子たちのようにやっていては、親に負担をかけすぎると思っていたのだ。でも、遊びたい盛りの二人には深夜まで両親が帰ってこない名ばかりのマンションは、ただうすら寒いネグラに過ぎなかった。だから時々カラオケにきては姉妹で憂さ晴らしをやっていたのだ。

「もうあたしたちも子供じゃないんだから、自分の手で自分の家を『埴生の宿』にしなくちゃ。ね、オネエチャン!?」
 

 姉妹は、家に帰ると、ちょっとゴミ屋敷化していた家を片付けた。
 

 そして、三日ほどすると、家は見違えるようになった。それまで無口で疲れた顔だった両親が、少し明るい言葉をかけてくれるようになった。  

 テレビでは売り出し中の朝倉真由が唄っている。
 

 似ている……とは思ったが、あのときのオネエチャンが真由本人であるとは気づかない姉妹であった。

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高校ライトノベル・時かける少女・60『ドッペルゲンガー』

2019-04-06 05:58:29 | 時かける少女

時かける少女・60 

『ドッペルゲンガー』        
 

 

 いつもの道を曲がり損ねてしまった。考え事をしていたからだ。
 

 駅から学校へ行く道は二本ある。多少の遠近はあるが、どっちの道も距離は似たようなものである。 自然に生徒は二本の道を分けて通るようになる。当然一本当たりの道を通る生徒の数は少なくなり、住民とのトラブルは、その分だけ少なくなる。
 

 ひなのが亡くなってから、光奈子は道を替えた。

 それまでの道は毎朝ひなのと歩いていた道なので、無意識に別の道を通るようになった。この道は、学校の前で双方東西から学校に向かうようになっており、反対の道から来た生徒と出くわすカタチになる。 もっとも、お喋りやスマホに気を取られ、案外反対側から来る生徒には気づかないものではあるが。
 

 この日は違った。
 

 最後の角を曲がったところで、オーラを感じてしまった。 向こうから、たくさんの生徒に混じって、もう一人の自分が歩いて来たのである。前の生徒が邪魔で、いっしょに並んでいる生徒の姿が見えない。 とっさに、光奈子は速度を落とした。むこうの光奈子は、話しに夢中で、こちらには気づいていない。
 

 校門を潜ると、後ろ姿を追いかけるカタチになった。

「コンクール残念だったな!」

 自転車で来た三年の林田が、気楽に声をかけた、その二人に。
 振り返った二人は光奈子と……ひなのであった。
 

「………!」

 思わず叫びそうになるのを堪えて、自分の口を押さえると、駅に向かって駆け出した。

 ちょうどやってきた準急に乗り、息を整えた。

 気づくと向かいに網田美保が憐れむような顔で座っていた。
 

「とりあえず家に帰ろうか」

「だめだよ、お母さんがいる」

「お母さんには、会わないようにしてあげる」
 

 本堂の方から入り、靴は持って上がった。美保が脱いだとたんに靴が消えた。

 そう、美保はアミダさまなのである。
 

「さっきのひなのと、あたしは誰なの!?」  

 部屋に入るなり聞いた。

「見ての通りひなのと、光奈子」

「どういうことよ、これって!?」

「まあ、落ち着いて……これは光奈子が望んだことなんだよ」

 「あたしが?」

「お彼岸の最後の日に、願ったでしょ。ひなのが生きてればいいって」

「ずっと思ってるわよ、ひなのが亡くなってから……」

「こないだ、加害者のお祖母ちゃんと、まなかちゃんがガチンコしちゃったじゃない。お彼岸の最後の日」

「うん、胸が痛んだ」

「あの時、強く思ったのよ。ひなのが生きていればいいって」

 「じゃ、ひなのが生き返ったの?」

「死んだ者は極楽往生。生き返ることなんかないわ」

「でも、ひなの笑って、あたしと話してた……そうよ、あのあたしってなんなのよ?」

「ここは、ひなのが死ななかった世界。パラレルワールドよ。光奈子が強く願ったから、光奈子が移動した。で、ここには別の光奈子がいるから鉢合わせしたわけ」

「じゃ、あたしは……」

「余計な存在。ごくたまに起こる現象。街なんかで自分とそっくりな人間に出会ったって、都市伝説みたいなのがあるでしょ。ドッペルゲンガー、離人症って呼ばれて、精神病理学の一つになっている。普通はほんの瞬間。あるいは不定期的にパラレルワールドが重なって起こる現象」

「じゃ、これも……」

「あんたは、完全に、こっちのパラレルワールドに入っちゃったから、ここに存在するわけにはいかないの」
 

 思考が停止してしまった。
 

「もしもし……」

「あたし、どうしたら……」

「あなたは、沢山のミナコを生きる運命にあるようね。そろそろ別のミナコになる時期かもしれない」

「別のミナコ?」

「こないだ、亡くなった湊子って、オバアチャンも、その一人だったかもしれないわ」

「……なんだか、頭が痛くなってきた」

「少し横になるといいわ。おつかれさま、ミナコ……」
 

 光奈子は、制服のままベッドで横になった。数時間たって、もう一人の光奈子が帰ってきた。
 

「たっだいまあ~。ああ、お腹空いたあ!」

「檀家さんから頂いた、お饅頭があるわ」

「へへ、お寺の特権だね」

「食べ過ぎないようにね、晩ご飯食べられなくなるから」

「はいはい、別腹でございます」
 

 光奈子が、饅頭の箱を持って自分の部屋に入ると、なんとベッドで寝ている自分を見つけてしまった。
 

「え……ええ!?」
 

 ほんの数秒で、ベッドの光奈子は消えてしまった……。

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