大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・魔法少女マヂカ・016『友里の事情』

2019-04-15 14:02:50 | 小説

魔法少女マヂカ・016

『友里の事情語り手・マヂカ     

 

 

 焦らずにいこうということになった。

 

 パンダ橋で出くわしたブリンダも、わたし同様、監視役のガーゴイルに相談していた。ガーゴイルもケルベロスに負けない美少女に擬態していて、互いに恥部を見られたように狼狽えていた。やつも神田明神に言われて焦っているんだ。

 体育の授業が終わった更衣室、友里に小さな不幸が降りかかった。

「……しまった」

「どうかした?」

 人のいいノンコが気づいた。

「えと……ホックがね(^_^;)」

 スカートを穿こうとしたらホックが外れてしまったのだ。

「友里、太ったんじゃない?」

 糸一本でぶら下がっているホックを検証して遠慮のない清美が推測する。

「裁縫セットあるけど、教室だよ」

「取りに戻ってたら間に合わないね」

 授業の後始末を頼まれていたりして、わたしたちは最後になってしまっていたのだ。

 ホックの壊れたのなんて、魔法であっと言う間に直せるんだけど、正体を知られる恐れがある。

「わたし持ってるよ」

 裁縫セットだけを魔法で出した。

「どれどれ……」

「いったん脱ごうか?」

「だいじょうぶ、このままでいける」

 時間が迫っているので、そのまま一気にやる。

 

 せい!

 おおーーーー!

 

 三人が歓声を上げる。

「「「すごいよ真智香!」」」

「あ……裁縫とか得意だし(n*´ω`*n)」

 うっかりミシン並のキレイさで縫ってしまった。

 料理に裁縫、なんだか家庭科のエキスパートになってしまいそうだ……気を付けなければならない。

「ありがとう、真智香」

 お礼を言ってくれるのだが、ちょっと屈託あり気に見える。

 

 つい、心の中を覗いてしまった。

 

 両親と妹の姿が浮かんだ。父親と妹は血縁であるが母親には無い……先月やってきた父の再婚相手のようだ。

 友里が母親をイメージするときにカッコつきの(母)になるのは、そういう事情があったんだ。

 母親が、お弁当を作ってくれるので、それまでの食堂利用をやめて、わたしとお弁当を食べるようになったんだ。ノンコと清美も付き合うが、料理のスキルが無い……その結果、調理研究部を作ることになった。

 女子の付き合いと言うのは大変なのだなあと思う。

 

 廊下を歩いていると、中庭にケルベロスの気配を感じた。出てみると、本来の黒犬の姿で植え込みに隠れている。

「なんなのよ?」

「友里のスカートを直してやって善行ポイントが5上がったぞ」

「え、あんなことで上がるんだ! 学校中のスカートやらズボンを直したら、もっと上がるのかなあ!?」

「そんな上手い話はないだろう、どうも友里の屈託やら問題を解決するとポイントが高いみたいだぞ」

 

 放課後、日暮里の駅で「また明日!」と分かれてから、こっそり友里を付けて行った」

 友里は、大塚で降りて東池袋の方へ向かっていく。情報としてはとっくに知っているんだけど、その屈託有り気な歩き方を見ていると、ちょっと重症のような気がしてくる。

 立ち止まった……だけではなく、横の道に入ってしまった。

 向こうから母と妹が歩いてくるんだ。

 なんで逃げる? 歩き去る友里の心を覗くと……嫌っているわけではない。二人の前で『いい娘・いいお姉ちゃん』を演じるには準備が要って、ストレスがあるんだ。

 友里の追跡を中断して、母と妹を観察する。

 妹は、良くも悪くも剥き出しの性格で、最初こそギクシャクしていたが、本音で付き合っていたからだろうか、今では実の親子のようだ。

 母親が知り合いと出会ったようで、同年配の女性と立ち話を始めた。

 妹は、女性が連れている犬と戯れ始めた。こういうところは天然の子のようだ。

 犬がなにかに気をとられたのか、急に走り出す。ゆるく持っていたせいか、リードが手から離れ犬は道に真ん中に飛び出した。運悪く、前から軽ワゴンが迫って来る。

 犬は駆け抜けるが妹は間に合わない。

 判断と同時に体が動いた!

 ジャンプして妹を抱きかかえると、二回転して道の端っこにたどり着き、事なきを得た。

 成り行きと偶然の反射行動で妹を助けたが、ちょっとこじれてしまうことになった……。

 

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高校ライトノベル・時空戦艦カワチ・002『恩地工業のおやっさん』

2019-04-15 07:33:44 | ノベル2

時空戦艦カワチ・002

『恩地工業のおやっさん』          

 

 

 外環状線を南に向かって走る。
 

 瓢箪山の近鉄電車の高架を潜ったころ、かすかに車のエアコンが効きだす。

 昼を過ぎて勢いを増した酷暑のせいとも、ポンコツな車のせいとも、普段より十キロほど出し過ぎているスピードのせいとも思われた。 かすかな涼しさに気を紛らわせる間もなく、外環状の標識は八尾市に変わったと思う間もなく柏原市に替わる。
 

 要は大阪は狭いと言うことだ。関空の人工島を除けば日本一狭い。

 自衛艦の船乗りであったころは広い海が舞台だったが、この大阪の狭さはどうだ。 ほとんど箱庭と形容していい。その箱庭の中の小さな工場のためにあくせくして金策に走っている。 ひどく滑稽に思えるのだが、達観したのか、脳みそがマヒしたのか見当のつきかねる喜一である。
 

「まあ、汗拭きいな」
 

 恩地社長は自分もTシャツを脱いでタオルで上半身を拭いている。 本業の工場が暇なので、兼業している葡萄畑の世話をしてきたところなのだ。
 

 あ~~~われわれは宇宙人なのだ~~~~
 

 工場用の扇風機の真ん前で変声して遊び始める。

「子どものころ、ようやったやろ。なんでもイチビラんと気ぃすめへんかった」

「やりましたなあ、これで歌を唄うとオンチがましに聞こえる」

「そうそう唄うたなあ……どこのだ~れかはし~らないけれど だ~れもがみ~んな知っている~♪」 恩地社長は『月光仮面』の主題歌を唄いだした。
 

 月光仮~面のおじさんは~♪

 喜一も恩地社長の後ろに回って扇風機をマイクに唱和する。

「さすが、知ってんねんな。ほんなら鉄腕アトムや! 一、二、三、ハイ!」
 

 ぼ~くは無敵だ~鉄腕アトム 七つの力を~持っている~ ジェット推進十万馬力~♪

 ジイサンとオッサンの二人が腕白坊主のように扇風機マイクの前で歌っているのは真夏の昼下がりでなければ、ひどくうら悲しく感じられただろう。
 

「あんたの歳やったら『空を超えて~ ラララ星の彼方~♪』やと思たけど、実写バージョンのも知ってたんやなあ」

「現役のころ、先任海曹に習ったんですわ」

「わしらの頃は、旧海軍が仰山残っとって、軍歌ばっかりやったなあ」

 恩地社長は喜一の先輩で、掃海母艦の艦長を最後に退役した元二等海佐である。

 喜一が退官後町工場の社長になった原因の一つになった爺さんでもある。
 

 アニソンのタネが尽き、汗が引くと、ジイサンとオッサンの間に沈黙が支配した。
 

「程よく汗も引きました、そろそろ失礼します」

 喜一は乾いたシャツの袖に手を通した。

「すまんな小林君、うちもオッツカッツなんでなあ」

 爺さんは宿題を忘れた小学生のようにうなだれた。

「いいえ、わたしはただ涼みに来ただけですから。楽しい時間を過ごせました……」
 

「待ってくれ小林君」
 

 喜一を引き留めると、恩地社長は薄汚れたロッカーから紙袋を取り出した。

「『うらしま』の艦長室に置いていたものなんやがね、気休めの守り神にしてもらったら嬉しい」

「拝見します」

 喜一は紙袋からプチプチ梱包材に包まれたそれを取り出す。 梱包材の下からは袱紗に包まれたブロンズ像が姿を現した。
 

 古式な胴丸鎧に身を包んだ若武者増像が出てきた。
 

「それは姫武者や」

「ああ、女の子なんですか」

 言われてみれば顎から首にかけてや太刀に掛けた手が華奢な女性のそれである。

「楠正成の娘で千早姫という」

「正成に娘がいたんですか?」

「九人も子供がおったオッサンやからな、姫も何人か居る。千早姫は先祖の恩地左近がお守りしてた姫さんなんや」

「……古いものではなさそうですね」

「君は戦艦河内を知ってるか?」
 

 旧海軍艦艇にも詳しい喜一だが、戦艦河内がイメージを結ぶには数秒の時間がかかった……。  

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高校ライトノベル・時かける少女・69『スタートラック・9』

2019-04-15 06:29:01 | 時かける少女

時かける少女・69 

『スタートラック・9』         

 

 

 敵は、1/3ほどが撃破されると、後退しはじめた。
 

「勝ったあー!」

 ミナコは無邪気に喜んだが、だれも反応しない。

「バルス、船尾にシールドを集中。コスモス、コスモ砲を船尾下方30度に照準や!」

「そんな大ざっぱな照準でいいんですか!?」

「ほな、ミナホのCPUとシンクロさせて、照準を早よせえ!」

「了解!」 二人は返事、もうシンクロしていた。

「万一、前に現れたら、どうすんだよ!?」 ポチが緊張した声で言ってきた。

「まあ、オレの勘を信じろよ……それから、コスモ砲のパワーは30%で」

「船尾方向に……」 バルスが言い終わる前に衝撃が来た。

 なんだか分からないけど、後ろから攻撃されたことは確かなようだ。スゴイ衝撃でミナコは舌を噛みそうになった。直後、かすかなショックがして船尾のコスモエンジンから強烈な光が放たれ、ミナコの目はホワイトアウトしてしまった。
 

「敵の母船大破。わずかに生命反応あり」

「ちょっとやりすぎたかな……ミナコとミナホは同行、コスモスはガードでついてこい」

「ミナコ、こっちに来て。これを持って」 コスモスは、ミナコに銃を渡した。

「スライダーを10に。これでディフェンサーが90になる」

「敵を見つけたら撃っていいわよ。パンチをかましたほどのショックにはなるわ。ほとんどパーソナルシールドにエネルギーが集中する設定よ」

「あの……みんなの顔が見えない。視野の真ん中が真っ白で」

「ミナコ、コスモ砲の発射見ちゃったでしょ。船長もヘルメット付けるぐらい言ってください。あれにはオートゴーグルが付いてんのに」

「すまん、時間がのうてなあ。まあ、ちょっとしたら治るわ。行くぞ!」
 

 ミナコの視野の白い光が全体にひろがり、すぐに、視界が別世界になった。

「ここは……?」

「敵船のブリッジに行く通路。これからブリッジに行くから気を付けて」

 ブリッジの手前5メートルほどのところで右半身がむず痒くなって反射的に銃を撃った。視野の端に、ミナコが見ても分かる古典的なロボットが転がっていた。

「船長。この船には旧式なコンバットがずいぶんいるようです」

「ミナホ、壁の端末にリンクして、船のCPUとコンバットのリンクを切れ!」

 この短い会話の間に、敵のコンバットの攻撃を五度ほど受け、三体を倒した。ミナコは二度ほど衝撃を感じた。敵の弾が当たったのである。

「リンク解除しました」

 

 ドスン!

 とたんに天井から、リンクが切れたコンバットが落ちてきた。目の前だったので、びっくりしたミナコは、立て続けに銃をコンバットを撃ちまくった。

「もう止めとけ、リンクが切れてるから死んだも同然や」
 

 ブリッジに入ると、あちこちに人間とも宇宙人ともアンドロイドともつかないのが転がっていた。あらかたは死んでいるか、完全に壊れているかしていた。

 数名の生命反応と、数体の稼動反応があったが、弱いもので、そのうちの三つはすぐに消えてしまった。
 

『おい、大丈夫か』

 翻訳機を通して聞こえる船長の声は標準語のバリトンで、割にかっこいい。コスモスが抱き上げたのは指揮官だろうと思われたが、体は女性だった。

『どうやら、銀河のあちこちからの寄り合い所帯のようだが?』

『あんたの船の主砲はすごいな。それに後ろに回ったのもよくわかったわね……』

『オレが作ったジャンクだけど、威力は凄い。あれでも出力は30だ。あんたが近寄り過ぎたんだ』

『あんた、ひょっとしてマーク……』

『ああ、久しぶりだなクリミアのマグダラ』

『同じ稼業なのに……』

『ちょいとばかり、あんたよりヘソが曲がってるんでね。真っ当な海賊にはなれねえ』

『わざわざ、あたしの負け面見にきたってか……』

『そうじゃない、見てもらいたいモノがあるんだ。この二人に見覚えはないかい?』

 船長は、ミナコとミナホを指した。

『……双子……いや、片方はガイノイド……パルスが、とても似てる』

『このパルスに覚えはないかい?』

『ごめん、銀河は広いからね』

『いや、いいんだ。ひょっとしたらと思ってな』

『それより、銀河連邦には気をつけな。あたしもあんたもただの宇宙の屑扱いしかしないから』

『ありがとう、気をつけるよ。じゃ、ナビゲーターにクリミアを入力しとくわ。コスモス……』

「はい」

『トドメをささないのかい?』

『またいつか、いっしょに飲もうや』

『……マーク』
 

 マグダラの船団はゆっくりとクリミア星に向かって去っていった。
 

「あたし、視野の真ん中が真っ白になってて、マグダラさんの顔見えなかったんだけど」

「こんな顔さ」

「きゃ!」

 体はコンバットスーツを着ていても分かるほど若かったけど、顔は何百歳というオバアチャンだった。

「もう、人のメモリー勝手に転送しないの!」

 コスモスがポチを叱って、代わりの情報をくれた。それは小顔で切れ長な目の美人だった。

「コスモ砲の影響。クリミアに着く頃には元に戻ってるわ」
「船長、次は『惜別の星』ですね……」

「あかんで、男心を裸にしたら。裸はベッドの上でよろしい」

 船長がミナホのヌードのイメージを浮かべそうになったので、ミナホは船長の頭に一発食らわした……。

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