魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
73『期間限定の恋人・1』
スズメの鳴き声で、半ば意識がもどってきた。
……いつもの朝だ。このスズメの泣き方で、おおよその時間がわかる。いつもなら、もう一群れのスズメたちがやってきて、ちょうど起きる時間になる……ちょっと変だ。
黒羽は、音楽事務所のプロディユーサーをやってやがるんで、音感は並の人間よりも鋭い。スズメの鳴き声が微妙に違う……と感じやがった。
――そうか、友だち……いや、恋人でも連れてきたかな……スズメも、なかなかやる――
おめでたい誤解は、コーヒーの香りで打ち消されやがったぜ(^▢^)/。
――そうか、友だち……いや、恋人でも連れてきたかな……スズメも、なかなかやる――
おめでたい誤解は、コーヒーの香りで打ち消されやがったぜ(^▢^)/。
「え、このベッド……この部屋……?」
『黒羽さーん。もう起きて、朝ご飯できたから』
――この声は……?――
「おはよう!」
「ゲ(# ゚Д゚#)」
明るい笑顔が視界に入って、慌てまくる黒羽D。マユが企んだわけじゃねえけど、めっちゃ面白れえ(^▭^)
「み、美優ちゃん……!」
「ハイ、おはようございます(^〇^)!」
「すまん、この通りだ!」
朝食を前にして、黒羽は深々と頭を下げやがった。
「すまん、この通りだ!」
朝食を前にして、黒羽は深々と頭を下げやがった。
「そんなのいいから、冷めないうちに。話は食べながらでいいわ」
「お母さんは……この状況……?」
「まだ帰ってない。黒羽さんのせいよ」
「ボクの?」
「正確には、HIKARIプロのね……五日で四十七人分の衣装。うちだから引き受けられたのよ」
「ああ、新曲の発表に間に合わせなきゃならないから……無理言った。ごめん」
「縫製にクレームついて、お母さん、とうとう泊まり込み……トーストお代わりする?」
「うん……ああ、すまない」
「そんな忙しいときに、チーフプロディユーサーが酔いつぶれていていいのかなあ……」
オーブントースターに食パンを入れながら意地悪を言ってみやがった。たいした意地悪じゃねえけど、ツボを心得てやがる。可愛い顔して、こいつ小悪魔の才能があるぜ。
「いや、面目ない。ちょっと事情が……」
「黒羽さん。ほんとは恋人のとこに行けばよかったのに……」
ム、なんちゅう切り返し!
「ゲホ、ゲホ、ゲホ……」
黒羽は、派手にむせかりやがる。
「あ、ごめん。ひょっとして、まだナイショのことだった(;'∀')?」
「ナイショもなにも、恋人なんていないよ。このクソ忙しいHIKARIプロのプロディユーサーに、そんなヒマはないよ」
「でも、夕べは、さんざん言ってたわよ。わたしのこと妹さんと間違えて」
「え、あ、それは……」
「どーなのよ……」
黒羽は観念して病院でのこと話しやがる。例の『恋人なら、もういる』なんてその場しのぎのウソの話をな。
「じゃ、お父さんは婚約者がいるって信じてるんだ……」
黒羽は観念して病院でのこと話しやがる。例の『恋人なら、もういる』なんてその場しのぎのウソの話をな。
「じゃ、お父さんは婚約者がいるって信じてるんだ……」
「ハッタリだってわかってるよ」
「だったら、なんで、あんなにヘベレケになっちゃうのよ」
「……だよな。でも無いものはしょうがない、今夜にでも正直に話すよ」
「でも、お父さんガッカリ……その……長くないんでしょ、お父さん?」
「そんなことまで、しゃべったのかオレ?」
「わたしも病人……だったから」
「そうだ、たしか、美優ちゃん入院してるんだよな」
「『だった』って言ったのよ。昨日退院しちゃった」
「そうか……それはおめでとう。元気になってなによりだ……オヤジは、あと一週間……なんか、他の方法で親孝行考えるよ……じゃ、オレそろそろ行くわ」
「やだぁ、黒羽さん、自分の家の感覚になってるでしょ。HIKARIプロはすぐそこだよ。まだ八時まわったばかりだし」
「いや、夕べはレッスン見てないからね。早く行ってスタジオの空気吸っとかなきゃ。クララなんか九時には、スタジオにやってくるからね」
そう言うと、仕事の虫はコーヒーを一気のみして、上着を掴んだ。美優は、ときめく心を無意識に押さえ込みやがった。
「そうよね、うちのお母さん徹夜させるぐらい熱が入ってるんだもんね」
「ごめん、迷惑かけたね。落ち着いたら、お礼させてもらうよ」
黒羽は、右袖に腕を入れながら、ドアに向かった。
マユは、小指の先だけ美優の心臓を刺激したぞ。ラノベでいう「胸キュン」てやつだ。
マユは、小指の先だけ美優の心臓を刺激したぞ。ラノベでいう「胸キュン」てやつだ。
するとよ、美優の心は瞬間で沸騰しちまって、とんでもねえあぶくが浮かんできやがった!
「わたしが恋人になってあげようか」
「え……」
「わたしが恋人になってあげようか」
「え……」
左袖をぶら下げたまま、黒羽が振り返りやがる。
「一週間、期間限定の恋人……だけどね(*´꒳`*) 」
「一週間、期間限定の恋人……だけどね(*´꒳`*) 」
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- ドロシー
- 西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 美優 ローザンヌの娘
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 上杉 オモクロのプロディューサー
- 片岡先生 マユたちの英語の先生