大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

やくもあやかし物語2・080『こっちに進んでくる!』

2024-11-28 12:32:25 | カントリーロード
くもやかし物語 2
080『こっちに進んでくる!』 




 ヤバイ!

 
 いったん海に落ちたそいつは魚雷みたいに、こっちに進んでくる!

 こういう時は御息所とかミチビキ鉛筆とかオモイヤリの出番なんだけど、度重なる戦いでグロッキー、うんともすんとも言わないよ。

 仕方がないんで、体育2の腕前で泳いで逃げる!

 バチャバチャバチャバチャ! バチャバチャバチャバチャ!!

 盛大に水しぶきをあげるけど秒速20センチくらいしか進まない。

 溺れる者はわらを掴んで沈んでいく……日本でやっつけた妖の断末魔の声が蘇る(;'∀')!

 あの時は、こいつ間違えてやがると思ったけど、まさに、いまのやくもは、そんな感じ。あの言葉の意味と無力感が分かるよ(;゚Д゚)!

 分かったってしょうがないんだけどね(-_-;)。

 やくもの運命は風前の灯火、シリーズ2まで続いた『やくもあやかし物語』も累計241回で無念の最終回!?

 ジャッパーン!

 これから覚悟しようと思った時、そいつが水しぶきあげて現れた(>▭<)!

「ごめん、めちゃくちゃ遅くなっちまって!」

「キャ、海猿!?」

「ム、誉め言葉の海猿じゃねえな、まあ、いいけどよ」

 それは、ただひとり、まだ救援に来てなかったハイジだったよ。

「だいじょうぶ? お腹、もう治った?」 

 そう、ハイジは妖怪くわせものにいっぱい食べさせられて寝込んでいたんだ。

「うん、王女さまが見舞いに来てくれて、陀羅尼介くれて、飲んで寝てたら治っちまった(^_^;)」

「そう、それは良かった(^▽^)。でも、なんで海に落ちてきたの? それも、やくもの位置からはズレてるし」

「海に落ちたのは、やくもが海に居るからだ! 位置がズレたのは、少しでも早く行ってやりてえと、勢いが付きすぎたからだ!」

「あ、そうか、ごめん。で、どうもありがとう」

「それで、敵はどこにいやがるんだ!?」

「ああ、それがね……」

 トバリとトバルをやっつけて草原を歩いていたら、突然海になって困っていることを説明した。

「ウウ……そうだったのか。この海、やくものバタ足じゃきびしいもんなあ」

「アハハハ……」

「とにかく、ここで水に浸かっててもらちが明かねえ、とりあえず、浜にあがろうぜ」

「う、うん、だよね」

 二人で浜に上がって、火を起こして服を乾かした。

 二人ともビチャビチャで、キャミとパンツだけになって焚火の前でジッとしている。

 なんだか、遭難者みたいで落ち込んできたよ……。



 
☆彡主な登場人物 
  • やくも        ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
  • ネル         コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
  • ヨリコ王女      ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
  • ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
  • メグ・キャリバーン  教頭先生
  • カーナボン卿     校長先生
  • 酒井 詩       コトハ 聴講生
  • 同級生たち      アーデルハイド  メイソン・ヒル  オリビア・トンプソン  ロージー・エドワーズ  ヒトビッチ・アルカード  ヒューゴ・プライス  ベラ・グリフィス  アイネ・シュタインベルグ  アンナ・ハーマスティン
  • 先生たち       マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
  • あやかしたち     デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの  ブラウニー(家事妖精) プロセス(プロセスティック=義手・義足の妖) 額田王 織姫 間人皇女 マーフォーク(半魚人) トバル(魔王子)  トバリ(魔王女)
  
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!75『突然の婚約発表』

2024-11-28 08:36:51 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
75『突然の婚約発表』 





「だからあ、もう、みんな黒羽さんに手を出してはいけません!」

「ちょっと、美優(ᗩꙍᗩ)!!」

 と、マダム。

「ちょっと美優ちゃん……」
 
 黒羽は、一度美優を廊下に出しやがる。

「これは、あくまでオヤジを納得させるための……バーチャルなんだから」

「たとえそうでも、その気になっておかなきゃお父さんは気づいてしまうわ。病人は、そのへんの勘は鋭いのよ。わたしも、ついさっき、こないだまでは、そうだったから、よく分かるの。決めたからには覚悟して」

「美優、どうすんのよ!? 大っぴらにしてしたりして!」

 マダムは、娘の爆弾発言を問いただそうと、廊下に出てきた。メンバーの矢頭萌とかもくっついてきやがる。ビル中に騒ぎが広がりそうなんで、黒羽Dは、慌ててみんなをスタジオにもどそうとしやがったけど、美優はその上をいきやがる。

「AKRは、恋愛禁止になってますけどぉ!。密かに黒羽さんに心寄せてる人がいちゃいけないので、宣言しときます! この英二さんは……」

――売約済み――

 いつのまに用意したのか、ロ-ザンヌの(売約済み)のシールを、黒羽の胸や背中、おでこにも貼り付けやがった(^_^;)。

「「「「「「「「「「キャー、ウワー!」」」」」」」」」」

 歓声があがったぜい。

「結婚式はいつ!?」

「告白は、やっぱ黒羽さんから!?」

「シッ、シッ、これからは、黒羽さんの半径50センチ以上寄っちゃいけないからね。50センチ以内は婚約者のエリアだからね!」

 クララが、通せんぼをしやがる。

「って、いうか、クララさん、その距離超えてるしい」

 萌が、くちびるを尖らせる。

「わたしは、親衛隊長だからいいの!」

「「「「「ずるい~~~~!」」」」」

 アハハハ、ひとしきり騒ぎは収まらねえ。

「……婚約指輪は、まだなんですかぁ(꒪▿꒪)*?」

 知井子が静かに聞きやがる。

「婚約指輪」という言葉は刺激的だぜぃ。


 ジー…………(⚭-⚭(⚭-⚭(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭)⚭-⚭)⚭-⚭)


 47人のメンバーとスタッフ、そんで母親であるマダムの視線が、美優の左手に集中しやがった。

「あ、あの、その……ついさっき婚約したばっかで、そういうのまだなんです……アハハ(#^_^#)」

 美優は、顔を赤らめ、眉を八の字にして頭を掻きやがる。

「ワー!」「そんなの!」「信じらんない!」「大の男があ!」「なにしてんの!」

 と、またもかしましい。

「いや、だから、それはね……」

 と、黒羽が言い訳しようとすると、黒羽のスマホが鳴ったぞ。

「はい、黒羽……あ、会長……はい、今すぐ行きます。オレ会長室行ってくるから、みんなはレッスン。よろしく、まゆみ(振付師)さん」

 パンパン!

「はい。さあ、あんたたちがんばるのよ!」

 春まゆみが手を叩いて、やっとみんなを集中させる。なんか、落ち着きのねえ小学一年生みてえだ。

「マダム、美優ちゃん、いっしょに来て」

「え?」

「会長が、二人にもいっしょにってことなんで」

「「え?」」


「黒羽、おまえは、こと自分に関してはカラッキシなんだからなぁ。ホレ」


 会長は、小さな小箱を投げてよこしやがった。


「……これは?」

「グリコのオマケじゃねえぞ。正真正銘の婚約指輪」

「会長……」

「会長さん……」

「急場のことなんで、筋向かいの宝飾堂のありあわせ。でも、モノホンだから……美優ちゃん、マダム、こんな朴念仁だけどよろしく。こいつのお父さんのために……」

「会長……!?」

「夕べは、ずいぶん酔っぱらって……見かねた美優ちゃんが面倒みてくれた……この界隈のことは、業界のことと同じくらいの地獄耳。それに妹さんから電話もあったしな」

「由美子のやつが……!」

「怒ってやるなって……親孝行したいころには親は無しってな。それに『コスモストルネード』発表までは、この朴念仁にもしっかりしてもらわなっくちゃ困るしな」

「ありがとうございます。会長!」

「お礼言うならなら、美優ちゃんだ。かりそめにも10歳以上も年上の婚約者引き受けてくれたんだからな」

「会長さん」

「なんだい?」

「あの……レッスン見てちゃいけませんか。婚約者として英二さんの仕事ぶり見ておきたいんです」

「それは断る。発表までは非公開だ」

「あの、ブースからでもかまわないんです。お父さんにちゃんと婚約者と思ってもらうためには、英二さんの仕事見といたほうがいいと思うんです」

「だめだ、スタジオからブースは丸見えだ……まあ……でも、この部屋のモニターならいいよ」
 
 会長が、机のボタンを押すと、天井から大きなモニターが降りてきた。

「ほら、このゲ-ム機のコントローラーで操作できる」

 モニターにスタジオの全景が映し出された。

「あとは、触っているうちに分かる。じゃ、美優ちゃん、よろしく」

 会長は、ホウキとちり取りを持ってドアに向かった。日課の掃除にいきやがった。さっきやったばかりなのにな(^_^;)。

「あ、それと、適当に時間作ってデートしとけ、リアリティーが出るようにな」

 そう言い残し、ホウキを振って出て行きやがった。

「じゃ、オレも仕事にかかる。あ……昼飯いっしょに食べよう。昼に店に迎えにいくよ」

「は、はい(;'∀')」

 マユは、美優のトキメキを、どう受け止めていいのか分からなくなってきたぜ……。




☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 美優       ローザンヌの娘
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  
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