大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!74『期間限定の恋人・2』

2024-11-27 10:33:23 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
74『期間限定の恋人・2』 






「一週間の期間限定……それでよければ」


「美優ちゃん……(⊙⊙) 」

「聞いて」

 黒羽の言葉をさえぎって続けやがる。心臓はバックンバックンなのに、メチャクチャ落ち着いて見えるぜ。大した奴だぜ美優ってよ。

「芸能プロって夢を売るお仕事でしょ。うちもそう、ブティックは女の子に夢を売るの。ガーリーファッションとかゴスロリとか……うちは、あんまり大仰なロリータファッションにならないように気をつけてる。そのまんまご近所歩いても違和感ない程度に。田舎のおばあちゃんとかが来ても目を回すようなオーバーロリータにならないようにね」

「ああ、そうだね。そのセンスの良さと、お母さんの商売の確かさで、うちも注文のほとんど、このロ-ザンヌだもんな」

「でしょ。商売の駆け引きではお母さんにかなわないけど、わたしだって……!」

 ガチャン!

 美優は、平静に言えたつもりだったが、振り向きざま、シンクに食器を投げ入れるように放り込んじまってカップを割ってしまいやがった。

「アッ……!」

 指を切っちまいやがった。

 心臓がバックンバックンだったんで、ケガの割には血が流れっちまう。

「だめだ、手を心臓よりも高く上げて。救急箱は、どこ!?」

 黒羽は十代のころADになって、下積みからHIKARIプロのチーフディレクターになった男だ。ちょっとしたケガの手当などはお手の物でやがるぜ。

「ありがとう……こんなオッチョコチョイじゃダメかな(-_-;)」

「気持ちは、嬉しいけどね」

「……黒羽さんじゃなく、お父さんに」

「あ……そうだね(^_^;)」

「わたしも、ひところは命が危ないって言われてた(本当は、見かけは元気だけど、一週間の命)でも、元気になって分かるの。お母さんや、友だちが気遣ってくれたことが。そのときは気づかなかったけど、わたしが元気になれたのは、そういうみんなの気持ち。お父さんにも必要よ、あとわずかなお命なら、なおさらのこと……それとも、わたしなんかじゃ黒羽さんには釣り合わない?」
 
 黒羽は、包帯を巻くのと同じ確かさで返事を返しやがる。

「そんなことは無いよ。高校時代はミス乃木坂学院にだって選ばれたじゃないか」

「え、そんなこと覚えていてくれてたんですか?」

「ああ、一時は、うちの事務所からスカウトしようかって、話が出たぐらいなんだから」

「ほんと!?」

「ああ、お母さんにキッパリ断られたけどね」


「そうだね、美優はオンチだし、運動神経も亀さんといい勝負だもんね」


「お母さん!?」「マダム!」

 母が、車のキーをチャラチャラいわせながら、リビングのドアのところに立っていやがる……。

「マダム……」

「黒羽さんが居て助かったわ。47着の衣装、わたし一人じゃ運べない」

「わたしが居るじゃない」

「美優に手伝ってもらったら、倍時間がかかる!」

「もう、そういうこと言う?」

 段ボール箱を三人で運びながらの会話。母の真意は分かっていた。残りの一週間、美優を気ままに過ごさせてやりてえんだ。

「黒羽さん、わたし、こう見えて、あちこちガタがきててね。一週間ほど店休もうかと思って」

「それは、すみません。無理な仕事させてしまって」

「で、この仕事がキリだから、徹夜したのよ。あ~眠い」

「だめよ、お母さん。いつも通りにしてなくっちゃ!」

「だって、美優……!」

 段ボール箱を運びながら親子が睨み合う。その両方の目が潤んでやがる。

「……どうかしました?」

 黒羽が脳天気に聞きやがる。

「バカな親を持つと……」
「バカな娘を持つと……」

 同じグチが、親子の口から同時に出やがった。


「みんな、新しいコスができたから、自分の名前を見て試着して」


 黒羽がそう言うと、メンバーのみんなが集まって、キャーキャー騒ぎ出しやがる。

「わたしと八重さんで配るから、順番に並んで!」

 クララが仕切りやがる。そんで新曲『コスモストルネード』への意気込みはすごいもんで、衣装をもらってマックスになりやがる。

「ちょっとお! みんな聞いてくださーい(>◇<)!」

 美優が叫んで、やっと静かになった。

 美優は宣言したぜ……!

「……わたしと黒羽さん、婚約しましたから!」

 え……えええ(*゚ロ゚)(*゚ロ゚)(*゚ロ゚) ( ゚Д゚)(゚ロ゚*)(゚ロ゚*) (*゚ロ゚)(*゚ロ゚)(*゚ロ゚) !?

 47人の驚愕に、アキバじゃ震度3の局所的地震が観測されちまったぜぃ(^_^;)

 
☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • ドロシー
  • 西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 美優       ローザンヌの娘
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 上杉       オモクロのプロディューサー
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  

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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・153『魔法少女のわがままランチ』

2024-11-27 08:39:07 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
153『魔法少女のわがままランチ』   





 平日の昼間から志忠屋に来ている、今日は修学旅行の回復休日だ。


 志忠屋は令和の宮之森にあるんだけど、妖や魔法使いたちのお店。

 パスタとシチューのお店で、注文すればたいていのものは作って出してくれる。


「はい、魔法少女のわがままランチ」


 ペコさんが、特製ランチのプレートを置いてくれる。

 ランチは、その昔、お祖母ちゃんの無茶な注文を受けて発案した特製ランチ。

 今まで、何度かオーダーしたんだけど「あれは、やめとき」とか「大人になってからにせい」とかもったいを付けて出してくれなかったメニュー。

 トンカツにイモサラダ、キャベツの千切りの横にはパスタのナポリタンとレモンが添えてあって、お椀のお味噌汁。トンカツのサイズが違うけど、学食のA定食と変わりがない。

 カウンターのソースをかけて、お箸でトンカツの一切れを口に運ぶ。

「うう~ん、肉厚で美味しいトンカツだ!」

「そうかぁ、ほんなら、最後までそう思て食え」

 タキさんが憎たらしいことを言う。

 まあ、この愛想の無さも志忠屋の値打ちで、それをペコさんが、こんな(^○^;)顔してフォローしてくれるのも、この店の味わいなんだ。
 ペコさんは、こないだ来た時よりもスレンダーで、いっそう可愛く美しくなっている。この不愛想で口ぎたないタキさんと働いていて美貌に磨きをかけているのは大したもんだ! とにかくトンカツが美味しい!

「ううん、やっぱりトンカツは脂身が入ってないと美味しくないですねえ」

 正直に誉め言葉が出る。

「その脂身はな、ペコがダイエットして減らしよった肉や」

「え、嘘ですよ(>_<。) 」

 一番テーブルにランチを届けてるペコさんが顔を赤くして否定する。

「それは、マスターの腹の肉だわよ」

 ランチを受け取ったつくも屋のマイさんが、混ぜっ返してMS銀行のアイさん、寿書房のミーさんが耳をヒクヒクさせる。

 三人のランチはエビフライ定食だ。マイさんがフォークを入れると、香ばしい海老とタルタルソースの匂いがする。

「ハ~ム……!?」

 二切れ目のトンカツを口に運ぶとエビフライになっている。

 あれ、ミックスフライ定食だったっけ?

 そう思って三口目に箸を付けるとアイさんのカキフライ定食が目に入って、三口目のそれはプリプリのカキフライになっている。

 ええ!?

 次にお味噌汁をすすると、ビーフシチュウ( ゚Д゚)。アイさんはビーフシチュウだったし!

 その後も、他のお客さんの料理が運ばれたり、その料理から、他のメニューを連想すると、自分のプレートの料理がコロコロと変わっていく!

「あ、面白くてお得感がハンパないです!」

 喜んで箸をつけるたびにコロコロ変わるランチを楽しむ。

「え、う、フググ!」

 ついに、口の中でメニューが入れ替わるようになってビックリ( ゚Д゚)。

 フライを食べたつもりがサビ抜きの中トロに変わり、もう一度咀嚼するとカラシを思い切り効かせたオデンになって、お水をすすると強炭酸のコーラ!

 ウ! 

 堪えたら、思い切り鼻からコーラが噴き出て死ぬような目に遭った。

「なあ、せやから言うたやろがぁ(๑ ิټ ิ) 」

「い、いや、コーラじゃ不覚をとったけど、分かってたし。な、なかなかなメニューだと思うしぃ(''◇'')」

「意地張ってんと、これにしとき」

 魔法少女のわがままランチが、いつものパスタセット大盛りに変わった。

「まあ、慣れたら、最初の直感で安定して変わらなくなるからね(^_^;)」

 暖かい笑顔を向けると、別の『魔法少女のわがままランチ』を岡持ち(出前箱)に入れるペコさん。

「じゃ、出前行ってきます」

 カランコロンとドアベルを響かせて出前に行った。

「出前始めたんですか?」

「ああ、年に何回かだけやけどな。それよりも、メグリ、修学旅行に行ってきたんやてなあ」

「あ、うん。いろいろ面白かった!」

「万博のタイムカプセル見に行ったんやろ?」

「うん、地上に出てるモニュメントだけだけどね」

「2000年に一個掘り出して、点検したんやてなあ」

「うん、5000年も待てないからね。あ、その時、赤松の種を植えて、ちゃんと芽を出すか実験したらしいです」

「ああ、これやなあ」

 タキさんが菜箸を振ると、カウンターの上に3D映像が映った。

 天守閣を背景に、半分だけ見えてるモニュメントの横に、わたしの背丈よりも大きく、でも、まだ幼木の雰囲気のアカマツがスックと立っていた。


 家に帰って調べると、例のアカマツは万博記念公園のほか三か所に植えられて、大阪城には無かった。根付かなかったのか、最初から植えられていないのか。

 調べてみようと思ったけど、歴史には微妙な分岐がある。

 未熟な能力で調べると、今日の『魔法少女のわがままランチ』みたいなことになる。

 そっ閉じにして、学校でやってみるタイムカプセルのことを考えてるうちに寝てしまった(^_^;)。

 
☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ      
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 
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