魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
74『期間限定の恋人・2』
「一週間の期間限定……それでよければ」
「美優ちゃん……(⊙⊙) 」
「聞いて」
黒羽の言葉をさえぎって続けやがる。心臓はバックンバックンなのに、メチャクチャ落ち着いて見えるぜ。大した奴だぜ美優ってよ。
「芸能プロって夢を売るお仕事でしょ。うちもそう、ブティックは女の子に夢を売るの。ガーリーファッションとかゴスロリとか……うちは、あんまり大仰なロリータファッションにならないように気をつけてる。そのまんまご近所歩いても違和感ない程度に。田舎のおばあちゃんとかが来ても目を回すようなオーバーロリータにならないようにね」
「ああ、そうだね。そのセンスの良さと、お母さんの商売の確かさで、うちも注文のほとんど、このロ-ザンヌだもんな」
「でしょ。商売の駆け引きではお母さんにかなわないけど、わたしだって……!」
ガチャン!
美優は、平静に言えたつもりだったが、振り向きざま、シンクに食器を投げ入れるように放り込んじまってカップを割ってしまいやがった。
美優は、平静に言えたつもりだったが、振り向きざま、シンクに食器を投げ入れるように放り込んじまってカップを割ってしまいやがった。
「アッ……!」
指を切っちまいやがった。
心臓がバックンバックンだったんで、ケガの割には血が流れっちまう。
「だめだ、手を心臓よりも高く上げて。救急箱は、どこ!?」
黒羽は十代のころADになって、下積みからHIKARIプロのチーフディレクターになった男だ。ちょっとしたケガの手当などはお手の物でやがるぜ。
黒羽は十代のころADになって、下積みからHIKARIプロのチーフディレクターになった男だ。ちょっとしたケガの手当などはお手の物でやがるぜ。
「ありがとう……こんなオッチョコチョイじゃダメかな(-_-;)」
「気持ちは、嬉しいけどね」
「……黒羽さんじゃなく、お父さんに」
「あ……そうだね(^_^;)」
「わたしも、ひところは命が危ないって言われてた(本当は、見かけは元気だけど、一週間の命)でも、元気になって分かるの。お母さんや、友だちが気遣ってくれたことが。そのときは気づかなかったけど、わたしが元気になれたのは、そういうみんなの気持ち。お父さんにも必要よ、あとわずかなお命なら、なおさらのこと……それとも、わたしなんかじゃ黒羽さんには釣り合わない?」
黒羽は、包帯を巻くのと同じ確かさで返事を返しやがる。
「そんなことは無いよ。高校時代はミス乃木坂学院にだって選ばれたじゃないか」
黒羽は、包帯を巻くのと同じ確かさで返事を返しやがる。
「そんなことは無いよ。高校時代はミス乃木坂学院にだって選ばれたじゃないか」
「え、そんなこと覚えていてくれてたんですか?」
「ああ、一時は、うちの事務所からスカウトしようかって、話が出たぐらいなんだから」
「ほんと!?」
「ああ、お母さんにキッパリ断られたけどね」
「そうだね、美優はオンチだし、運動神経も亀さんといい勝負だもんね」
「お母さん!?」「マダム!」
母が、車のキーをチャラチャラいわせながら、リビングのドアのところに立っていやがる……。
「マダム……」
母が、車のキーをチャラチャラいわせながら、リビングのドアのところに立っていやがる……。
「マダム……」
「黒羽さんが居て助かったわ。47着の衣装、わたし一人じゃ運べない」
「わたしが居るじゃない」
「美優に手伝ってもらったら、倍時間がかかる!」
「もう、そういうこと言う?」
段ボール箱を三人で運びながらの会話。母の真意は分かっていた。残りの一週間、美優を気ままに過ごさせてやりてえんだ。
「黒羽さん、わたし、こう見えて、あちこちガタがきててね。一週間ほど店休もうかと思って」
「それは、すみません。無理な仕事させてしまって」
「で、この仕事がキリだから、徹夜したのよ。あ~眠い」
「だめよ、お母さん。いつも通りにしてなくっちゃ!」
「だって、美優……!」
段ボール箱を運びながら親子が睨み合う。その両方の目が潤んでやがる。
「……どうかしました?」
黒羽が脳天気に聞きやがる。
「バカな親を持つと……」
「バカな娘を持つと……」
同じグチが、親子の口から同時に出やがった。
「みんな、新しいコスができたから、自分の名前を見て試着して」
「みんな、新しいコスができたから、自分の名前を見て試着して」
黒羽がそう言うと、メンバーのみんなが集まって、キャーキャー騒ぎ出しやがる。
「わたしと八重さんで配るから、順番に並んで!」
クララが仕切りやがる。そんで新曲『コスモストルネード』への意気込みはすごいもんで、衣装をもらってマックスになりやがる。
「ちょっとお! みんな聞いてくださーい(>◇<)!」
美優が叫んで、やっと静かになった。
「ちょっとお! みんな聞いてくださーい(>◇<)!」
美優が叫んで、やっと静かになった。
美優は宣言したぜ……!
「……わたしと黒羽さん、婚約しましたから!」
「……わたしと黒羽さん、婚約しましたから!」
え……えええ(*゚ロ゚)(*゚ロ゚)(*゚ロ゚) ( ゚Д゚)(゚ロ゚*)(゚ロ゚*) (*゚ロ゚)(*゚ロ゚)(*゚ロ゚) !?
47人の驚愕に、アキバじゃ震度3の局所的地震が観測されちまったぜぃ(^_^;)
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- ドロシー
- 西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 美優 ローザンヌの娘
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 上杉 オモクロのプロディューサー
- 片岡先生 マユたちの英語の先生