大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

Regenerate(再生)・29≪見つかるサーバー≫

2020-01-02 05:58:09 | 小説・2
Regenerate(再生)・29
≪見つかるサーバー≫ 



「これで五つ目ね……」

 ジョギング中の片方が呟いた。荒川の土手をジョギングするOL二人組のように見える。二人は詩織とドロシーの擬態である。
「うん、これでドット点滅が2000ほど消えたず」
「しかし、携帯の基地局がブランチになってるって、よくわかったわね」
「ドットの中心あたりに基地局があったんで、ピンときたんだす……したども……」
「どうかした?」
「簡単すぎるず」
「そんなことないわよ。携帯の受信にわずかなノイズが入っていて、それがサーバーからの信号だって気づいたのはドロシーだもん」
「ノイズは日本中の基地局から出てるず。似たようなノイズが出てるところは500以上もあるず。大半は、メカの特性からくる自然なノイズだす。それが五つ続けてビンゴなのがねえ……なんか出来すぎ」

 国道〇号線との交差に差し掛かったとき、いきなり加速して突っ込んでくるタンクローリーに気づいた。

「「ヤバイ!」」
 
 ドッガーーーーーーーーーーーーーン!! 
 
 人間として不自然でない程度に身をかわすと、タンクローリーは橋の欄干を突き破って川に落ちてしまった。
「ウンちゃん乗ったままだす!」
 詩織は、ドロシーの言葉を最後まで聞かずに、荒川に飛び込んだ。そして水没した運転席から、若いドライバーを助け出したところでタンクから漏れたガソリンに火が付いた。

 水中を20メートルほど泳いで顔を上げたところで、タンクローリーは爆発した。詩織はドライバーを庇って水に潜り込んだが、髪の毛とスェットの一部を焦がしてしまった。
 警察と救急は、他の通行人がしてくれていた。詩織はドライバーに人工呼吸を施すと、ドロシーといっしょに現場を離れた。

「ファーストキスが、人工呼吸になっちゃった」
「ま、イケメンだったから、ええんでないかい。それより、今のは……」
「ベラスコの攻撃ね」
「やっぱ、ビンゴだべ」

 こうやって、ベラスコの妨害を受けながらも、携帯基地局に感染させられていたウィルスを次々に無効化していった。ウィルスは、ソフトとして感染させられていたが、外から侵入して退治できるようにはできておらず、いちいち基地局に行き、そのたびにベラスコの妨害を排除。八割がた片付けたところで、教授が言った。

「これは、壮大なダミーかもしれない……」
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