鳴かぬなら 信長転生記
ちょっとハプニング。
豊盃管弦楽団が、それまでBGに奏でていたビバルディ―をファンファーレとドラムロールに切り替えて、大橋姉さんが主催者挨拶をやった。
「……と云うような書籍範老人はじめ、豊盃のみなさんの熱意と努力のお蔭で、三蔵法師さま御一行をお招きすることができました。快くご支援いただいた豊盃評議会はじめ関係各位に感謝申し上げ、ただいまより『三蔵法師大説法会プラスアルファ』を開催いたします。まずは、三蔵法師さま同様に皆様が期待に胸を膨らませておられた、豊盃の舞姫リュドミラのパフォーマンスをお楽しみいただきます! 我らが舞姫、リュドミラ! はりきってどうぞ!!」
ダラララララララララララ
ドラムロールが鳴り響き、スポットライトが三つも四つもグルグル回って、舞姫登場の雰囲気を盛り上げる!
「無理ぃ……ぜったい無理ぃ……ぜったいぜったい無理無理ぃ……」
いざ登場の間際になって、リュドミラは袖幕の陰に隠れ、耳を塞いでしゃがんでしまった。
「リュドミラぁ……」
ボクは人をのせるのが好きだし、けっこううまいと思っていたけど、今のリュドミラには手の打ちようがない。
ボクは思い知った。ボクは、人が1とか2のレベルで人が持っている希望や期待やらを膨らませるのはできるけど、0の人間の心を動かすことは苦手なんだ。貝のように閉じてしまったリュドミラには手の打ちようがない(;'∀')。
ダラララララララララララ
ドラムロールは断頭台に処刑者を急き立てるように、スポットライトは脱走犯を追い詰めるサーチライトのようにせわしくなり、ステージの大橋姉さんの笑顔も引きつり始めてきた。
「た、頼むよぉリュドミラぁ……」
もう、リュドミラと二人ほんとうに貝になってしまうのかと思った時、僕らの頭を超えて一つの影が飛んだ! 反対側の上手からも、舞台の上からも影が飛んできて一瞬の決めポーズ。
孫悟空 猪八戒 沙悟浄の三人だ!
ターンタカ タンタンタン タカ タンタカターン……
リュドミラが踊るはずだったボレロのリズムに合わせて踊り出し、八小節ほど進んで勢いを増したところで……
オオ!
なんと三蔵法師さままで加わって、悟空たちはバックダンサーになった。
三蔵法師さま御一行はシルクロードを往復して天竺の経典と仏の教えを持ち帰られた。その間、往復共に歩かれて、シルクロードの文化に触れられ、その中には本場の胡旋舞も入っている。単に見てこられただけじゃないんだ!
三人プラス三蔵法師さまの舞は、リュドミラに勝るとも劣らない動きとリズムだ!
ギリギリ……なにか軋んだかと思うと、リュドミラの歯ぎしりだ( ゚Д゚)。
「坊主ごときに負けてられるかぁ!」
一声吠えると、豊盃一の舞姫は舞台の中央に躍り出て、三蔵法師と並び、まるで決闘をするような気迫で舞い始めた。
☆彡 主な登場人物
- 織田 信長 本能寺の変で討ち取られて転生 ニイ(三国志での偽名)
- 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
- 織田 市 信長の妹 シイ(三国志での偽名)
- 平手 美姫 信長のクラス担任
- 武田 信玄 同級生
- 上杉 謙信 同級生 配下に上杉四天王(直江兼続・柿崎景家・宇佐美定満・甘粕景持 )
- 古田 織部 茶華道部の眼鏡っ子 越後屋(三国志での偽名)
- 宮本 武蔵 孤高の剣聖
- 二宮 忠八 市の友だち 紙飛行機の神さま
- 雑賀 孫一 クラスメート
- 松平 元康 クラスメート 後の徳川家康
- リュドミラ 旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ 劉度(三国志での偽名)
- 今川 義元 学院生徒会長
- 坂本 乙女 学園生徒会長
- 曹茶姫 魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
- 諸葛茶孔明 漢の軍師兼丞相
- 大橋紅茶妃 呉の孫策妃 コウちゃん
- 孫権 呉王孫策の弟 大橋の義弟
- 天照大神 御山の御祭神 弟に素戔嗚 部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主