魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
66『よし、これだ!』
「よし、これだ!」
白線の二往復目には、新曲のタイトルが浮かんだ。
――間もなく列車が通過しますので、白線の後ろにお下がり下さい――
会長室の白線は特別製で、駅の構内アナウンス、そして列車の通過音やホームの振動まで再現できるようになってやがる。窓ぎわのスリットからは、列車の通過に見合った風が「バン!」と吹き出して、光会長のキャップを吹き飛ばしちまった。
光会長は、若い頃から、駅のプラットホームの白線の上に立って、通過列車の振動と風圧を全身で感じた時にアイデアがひらめくってあぶないやつだ(^_^;)。
で、今、その効果が現れた!
『秋桜旋風(コスモストルネード)!!』
季節性もインパクトも十分あって、あとは歌詞だ!
『秋桜旋風(コスモストルネード)!!』
季節性もインパクトも十分あって、あとは歌詞だ!
光会長は白線の設定を山手線から新幹線にして足を踏ん張りやがった。
新幹線は、シューっていう独特の接近音がする……列車接近のアナウンスは、もう耳にも入らなかったぜ。
ドバッ! ドバッ! ドバドバ! ドバッ!
ドバッ! ドバッ! ドバドバ! ドバッ!
衝撃的な通過音と風圧のショックで、小柄な会長は部屋の端まで吹き飛ばされやがった!
しかし、壁には衝撃吸収のためのラバーが貼ってあって怪我はしねえ。怪我はしねえが、衝撃はハンパねえ。ハンパねえけど、二回転して、壁にぶつかったときには、最初のフレーズがひらめいてやがったぞ!
特急を準急停車と間違えて♫ ホームの端まで吹き飛ばされ~た~♪
特急を準急停車と間違えて♫ ホームの端まで吹き飛ばされ~た~♪
ショック! ショック! ショック!!
手にした花束、コスモストルネード!
「振り付けの春まゆみ、作曲の大久保は来たか!」
「振り付けの春まゆみ、作曲の大久保は来たか!」
「はい!」
「ここに!」
振り付け師と作曲家が、息を切らしながら会長室に入ってきやがった!
さっそく、最初のフレーズに曲と振り付けが付けられる。
ドバドバッ! ドバドバッ! ドバドバッ!
ドバドバッ! ドバドバッ! ドバドバッ!
それから、二回新幹線が会長室を通過し、そのMAXな風圧で、会長室はまさに嵐の中だぜ。
デスクの書類はもちろん、パソコンのデスクトップまで吹っ飛び、ロッカーは倒れ、カーテンはちぎれ、部屋の片隅で他の細々したものといっしょに吹き寄せられてやがる!
ドバドバッ! ドバドバッ! ドバドバッ!
三回目の通過の時は、光会長は、雄々しく足を踏ん張って曲の一番を完成させてやがったぞ!
オレの心は、コスモストルネード!
振り付けの春まゆみも、二回スピンして決めポーズを完成させた。曲は、大久保がアカペラできめやがった!
「「「決まった!」」」
作詞・作曲・振り付けが一発で決まちまった!!
オレの心は、コスモストルネード!
振り付けの春まゆみも、二回スピンして決めポーズを完成させた。曲は、大久保がアカペラできめやがった!
「「「決まった!」」」
作詞・作曲・振り付けが一発で決まちまった!!
すぐに大久保はスコアに音符を並べ、春まゆみは振り付けのコンテを描いた。
この間、わずかに13分13秒。13分後には伴奏用の編曲ができて、コンピューターに入力されて、一時間後には、AKRのメンバーが集められ、歌と振り付けのレッスンに入っちまった。もう目が回るぜ!
「会長、すごいですよ!」
付き合いの長い黒羽ディレクターも舌を巻きやがる。
「な~に。軽いもんよ」
そして、ボコボコになった会長の手には二番と三番の歌詞がしっかりと握られていたぜぇ。
マユがもどってきたときは、もう夕方でよ、AKRのメンバーたちは、一通り、新曲の『秋桜旋風(コスモストルネード)』をマスターし、夕食を兼ねて一時間の休憩に入ってやがった。
マユがもどってきたときは、もう夕方でよ、AKRのメンバーたちは、一通り、新曲の『秋桜旋風(コスモストルネード)』をマスターし、夕食を兼ねて一時間の休憩に入ってやがった。
「うそ、オモクロって、そんなクワダテしてんの!?」
マユの姿をした拓美が目を剥きやがる。
三人は、食事のあと、メンバーや研究生・スタッフたちで一杯のリハーサル室で話してんだ。
マユの姿をした拓美が目を剥きやがる。
三人は、食事のあと、メンバーや研究生・スタッフたちで一杯のリハーサル室で話してんだ。
下手に個室で話すよりも、この方が目立たねえ。なんせマユは、クララとマユの拓美を足して二で割った姿をしているんで違和感がねえしな。
「この話、黒羽さんに言ったほうがいいかな」
「言わなくていいわよ(*,,ÒㅅÓ,,) 」
拓美は、きっぱりと否定しやがった。
「情報源聞かれたら困るし。わたし今度の『秋桜旋風(コスモストルネード)』はいけるような気がするの」
「そうね、今のAKRは会長から、研究生まで一つになれてるものね」
クララも拓美に同調しやがった。
「わたしたちは、二つになってしまったけどぉ」
マユは、オスマシして言ったぞ。
「ごめんね」
拓美は、真っ直ぐに受け止めて、ペコリと頭を下げる。
「いいんだ、拓美の気が済むまで、そのアバターは貸してやっから」
「もうしわけない」
「ほんとにいいんだって。マユにもタクラミがあるんだからな」
「「え……?」」
クララと拓美の声がそろった。
マユはオモクロの研究生募集のパンフを開いた……。
マユはオモクロの研究生募集のパンフを開いた……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- ドロシー
- 西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 上杉 オモクロのプロディューサー
- 片岡先生 マユたちの英語の先生