あるきメデス

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塩の道・千国街道(平岩駅~大網峠~白池)【長野・新潟】

2008-08-04 23:18:51 | 塩の道を歩く
2008年7月31日(木)


 
 宿泊した南小谷の民宿、おぎさわ荘を7時半ころ出る。
南小谷7時51分発1両の糸魚川行きに乗り、8時10分に
平岩駅に下りた。

 標高は約260m。駅備え付けのノートに行き先を記入し
て、8時17分に出発する。

 最初のポイント、大網集落に上がる道は2つあるが、本来
の塩の道である南側の大網橋から発電所経由を行くことに
した。

 大糸線と国道とを一緒に覆う、雪除けの平岩洞門を抜けて
国道に分かれ、姫川の大網橋を渡る。南側の斜面中腹に、
白馬大仏が見える。

 3年前の前回は、この大仏のそばを下ってきたのだった。

 橋を渡ったところに、「塩の道千国街道」の道標が立つ。
発電所に向かって緩やかに上がって行くと、対岸に、こんな
僻地にと思われる場所に、大きな旅館が見える。

 発電所は、電力会社のものでなく、電気化学の大網発電
所だった。

 ヘヤピンカーブのところまで上がったら、後から工事関係
の車らしいのが2台来た。カーブ点には通行止めのゲートが
あり、それを外して入ろうとして、この先は工事中で通行禁
止だという。

 どこにも通行禁止の標識がなかったので、そのことを言っ
て通してもらえぬかと頼んだが、だめだという。手前の橋の
ところにでも標識を出しておくよう強く要望し、仕方なく引
き返すことにした。

 平岩駅まで戻り、先ほど記入したノートに、「発電所方向
からの塩の道は通行禁止」のことを朱書して、北側の姫川
温泉経由の車道に向かう。

 駅のすぐ北で姫川湯橋を渡ると、右手のがけから温泉が
滝になった流れ落ちている。「源泉は姫川上流3㎞地点で、
温度は55℃」などの説明板があった。

 姫川温泉は、以前は賑わっていたようだが、すぐ先の観
光ホテルとか記された大きな建物は壊れかけ、ほかには2、
3軒ほどで、寂れた感じの温泉場になっていた。

 わずかな温泉街の外れに出ると、大きな2本の導水管が
姫川河岸の発電所に向かって下り、こちらも電気化学の
大網発電所と表示されていた。


 その先は、7~8回の緩やかなカーブが続き、高度が
どんどん上がるが、風がないので蒸し暑く、汗が出る。

 西の方に見えてきた山に残雪がほんの少し見える。東
側には凸型のピークを持つ山並みが現れた。


 カーブが終わって傾斜が緩み、標高400mに近い大網
集落に入った。


 集落の中ほどにある大網諏訪神社(上)の境内に、太い
広葉樹が大きく枝を広げていた。そばの三差路を北に進み、
集落の北に出て草の道に入った。

 振りかえると、大網集落の静かなたたずまいが見渡せる。

 林に入って少しで、古い石仏がたくさん並んでいた。塩の
道を通る人の安全を祈って造られたものらしい。

 赤い前垂れをつけた六地蔵も、そばで見送ってくれている。

 ところどころに、「塩の道千国街道の」道標が立っているの
で心強い。林道に出ると、「下清水茶屋跡」の標識が立つ。

 ウグイスのさえずる坂を下って横川の支流に出た。堰堤
(えんてい)の間で木の橋を渡り、右岸に沿って進む。

 横川の本流のところには、釣り橋がかかっていた。流れは
泥で濁っている。

 揺れる橋を渡ると上り坂となり、傾斜が強まる。

 ブナ林の間の流れに沿って上がり、二つの沢の間に出た。
左側の沢の左岸沿いに上がると、5mくらいの滝がある。

 このあたり道がちょっと分かりにくいが、滝の右手を回って
滝の上で右岸に回る。

 ブナ林の中の急斜面をゆっくりと上がり、「牛の水飲場」で
流れを横切る。

 牛の気持ちになって?冷たい水を手ですくって飲む。まろ
やかな味わいだった。

 しかしこの前後は、かなりの傾斜があり、重い塩などを背
負って上がり下りした牛には、かなり厳しそうで、「モウたく
さん…」と言いいたかったのではなかろうかと思われた。

 さらに流れに沿って上がって右岸に回り、少しずつ流れか
ら離れる。一帯は豊富なブナ林が続く。


 太い杉の木の根元に「菊の花地蔵」と呼ぶ、かなりすり減
った古いお地蔵さんが鎮座していた。


 その付近からは傾斜も緩み、やがて茶屋跡のちょっとした
平坦地を通過する。再び沢を横切ったので、流れに手を入れ
てもう一度飲む。天然のミネラル豊富なおいしい水である。

 この周辺のブナは、どれも真っ直ぐ伸びていて、幹も白っ
ぽく、なかなかみごとな景観。


 谷間を上がるようになり、ブナの下草に白い花と淡い紫の
ガクアジサイがあちこちに咲いていた。

 上り詰めたところが標高約800mの大網峠。今回のルート
での最高点である。(下の写真は、来た方をふり返り見る)
 
 峠の周辺も、豊富なブナ林になっていた。

 峠から下って行くと、右手の木々の間からに角間池が見え
てきた。

 近くには休憩舎があったが閉ざされている。そばにトイレ
もあった。

 峠から1㎞余り下ると、白池が見下ろせるところに出た。
諏訪神社跡で、元禄年間(1688~)には信越国境だった
というが、その後、池一帯を越後の用水池として渡し、現在
このあたりは新潟県になる。最近立てた小さな石のほこら
があった。


 周囲を豊富な樹林に囲まれた白池の北側に下ると、休憩
舎とトイレがある。ここで昼食とし、民宿で作ってもらったお
にぎりと、たくさんのおかずを、おいしくいただいた。(続く)

【追記】大網橋から発電所経由で大網への道の通行禁止に
ついて、小谷村観光連盟に連絡しました。観光連盟では、
さっそく調査し、【村道長坂線は治山工事のため、お盆前
まで通行止め】との情報が返って来ました。
 近日中にこの道を歩く計画の方は、下記小谷村観光連盟
に連絡して、通行の可否を確認して下さい。
  http://www.vill.otari.nagano.jp


コメント
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