愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

閑話休題8 漢詩を読む 『詩経』から(1)

2015-06-18 14:35:08 | 漢詩を読む

漢詩の最も古い詩集と言われる『詩経』の中からいくつか取り上げます。『詩経』とは、中国でかなり古い時代から口承により伝えられて(歌い継がれて?)きた詩3千余の中から3百首ほどを選び編纂されたもので、孔子(前551~前479)が編んだと言われている。したがって作者は不明である。

次の「采葛」は、王という国(今日の洛陽の近く?)で採集された民謡のようである。

采葛   采葛(さいかつ)

 (一)
彼采葛兮  彼(かしこ)に葛(くず)を采(と)る
一日不見  一日 見ざれば
如三月兮  三月(みつき)の如し
 
(二)
彼采蕭兮  彼(かしこ)に蕭(しょう)を采(と)る
一日不見  一日 見ざれば
如三秋兮  三秋(さんしゅう)の如し

 (三)
彼采艾兮  彼(かしこ)に艾(がい)を采(と)る
一日不見  一日 見ざれば
如三歳兮  三歳(さんさい)の如し

[現代語訳]

  クズ摘み

(一) 
 クズを摘みます。
 一日お会いできないと、三月も合わないみたい。
  (二)
 カワラヨモギを摘みます。
 一日お会いできないと、三度の秋も合わないみたい。
  (三)
 ヨモギを摘みます。
 一日お会いできないと、三歳(みとせ)も合わないみたい。

[解説]
 (二)の「三秋」について:「三秋」とは七月から九月までの秋三カ月、あるいは三カ月の秋の三つ分で九カ月、あるいは「あき」を「年」の意味にとって三年など、諸説ある。要は「月」と「歳(年)」の間に季節という単位を置いて、時間が次第にながくなるのをあらわす。章ごとに月、季節、年と長くなることが、いや増す思いに対応する。
    [河合康三編訳『新編 中国名詩選』(岩波書店、2015)に準拠。
但し「解説」の項は一部抜粋]

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