OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

「空」 (般若心経(玄侑 宗久))

2006-10-26 00:45:10 | 本と雑誌

Stupa  百科事典によると「空はいっさいの実体(有)を否定し、それに執着しない人間の精神作用である」と説明されています。

 般若心経を解するには、この「空」という概念が肝になります。

(p39より引用) 仏教的なモノの見方をまとめるなら、あらゆる現象は単独で自立した主体(自性)をもたず、無限の関係性のなかで絶えず変化しながら発生する出来事であり、しかも秩序から無秩序に向かう(壊れる)方向に変化しつつある、ということでしょうか。

 「色不異空」、「色は空に異ならず」。
 「色」とは、物質的現象すなわち「形あるもの」を言います。また、「変化するもの」「壊れるもの」という意味もあります。
 「空」は、「自性」という固定的実体がないということです。

 般若心経の中でも代表的な句である「色即是空」は、

(p52より引用) 我々が知覚するあらゆる現象は、空性である。つまり固定的実体がない、ということ

 また、「空即是色」は

(p52より引用) 「空」であるが故に「縁起」し、あらゆることが現象してくる、ということ

だそうです。

 この「空」という概念は「梵我一如」の根底でもあります。

(p55より引用) 世尊は、ウパニシャッド哲学の云う「梵我」という二元を、共に「空性」であると悟って止揚されたのです。この意味での「梵我一如」を悟ることが初期の「悟り」とされました。

 「般若波羅蜜多」は「空」の実現そのものでもありました。まさに「般若の空」です。

 「空」に至らない段階は「私」が残っている状態です。
 「私」があると「意識」が生まれます。

(p155より引用) 「意識」などは、最も虚構性の高い代物であるわけです。「般若」の眼で見れば、全てが自性のない暫定的な出来事なのでした。

 「私」がある限りは「空」に至ることはできません。

(p199より引用) 自分で作った「私」という殻がいかに「苦」を生みだすものであるか、・・・
 知的に明確に知ることで得られるのは、やすらぎではなく単なる満足にすぎません。知的に知る主体は「私」だからです。

現代語訳 般若心経 現代語訳 般若心経
価格:¥ 735(税込)
発売日:2006-09

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする