姜尚中氏の本は初めてです。
本書は、集英社女性誌ポータルサイト(s-woman.net)に掲載した連載記事をもとに加筆修正したものとのことです。記述は平易で非常に読みやすく、著者の考えがストレートに記されています。
内容は、
- 『お金』を持っている人が勝ちですか?
- 『自由』なのに息苦しいのはなぜですか?
- 『仕事』は私たちを幸せにしてくれますか?
- どうしたらいい『友人関係』を作れますか?
- 激変する『メディア』にどう対処したらいい?
- どうしたら『知性』を磨けますか?
- なぜ今『反日』感情が高まっているの?
- 今なぜ世界中で『紛争』が起こっているのか?
- どうしたら『平和』を守れますか?
- どうしたら『幸せ』になれますか?
の10章で構成されていて、たとえば、第二章「『自由』なのに息苦しいのはなぜですか?」では、以下のような記述があります。
(p41より引用) ある学者によると、自由というのは、今そこにあるものだけでなくて、潜在能力(ケーパビリティ)がある社会こそが、真の意味での自由な社会だということです。
どういうことかというと、今、自由はその選択はしていないけれど、将来の潜在的な可能性として、いくつかの選択肢を自由にチョイスできると、多くの人々が確信を持てる社会ということです。つまり選択の複線化が可能である社会ならば、それは潜在能力のある社会ということになります。
ところが、そのケーパビリティが断たれている社会というのは、一見、自由のようであっても非常に息苦しい。なぜなら敗者復活戦が難しいから。
現代社会全般に通じる指摘ですし、特に企業に当てはめると「メンタルヘルスの問題」につながるものです
「自由な選択」のよさを活かすためには、社会の中に、チャレンジにつきものの「失敗」を許容する度量がなくてはなりません。
「自由」を享受するチャンスがありながら、他方、「自由であるがゆえの」圧迫感や閉塞感を感じてしまうのは不幸です。
ニッポン・サバイバル―不確かな時代を生き抜く10のヒント 価格:¥ 735(税込) 発売日:2007-02 |