タイトルに惹かれたのと以前カリスマバイヤーとして注目された藤巻幸夫氏の著作ということで読んでみました。
目次を眺めると、「1.感性を磨く街歩き」「2.世の中の流れを見抜く街歩き」「3.人脈を広げる街歩き」「4.考える力をつける街歩き」「5.発見力を鍛える街歩き」「6.審美眼を養う街歩き」「7.気持ちを切り替える街歩き」といったように「目的別」に章立てされています。
藤巻氏にとっての街歩きとは、新たなものを「発見」したり、その「意味」を考えたりする訓練として位置づけられているようです。藤巻氏がもつ結果としての「感性」は、こういう意図した街歩きで培われたと自らも語っています。
さて、その具体的な街歩きの方法ですが、誰でもできるようなものもあれば、やはり藤巻氏と同類の関心を持っていないとどうかなと思うものもあります。ちなみに、私は、流行とかファッションとかには全く無頓着なタイプなので、藤巻氏が薦めるアドバイスについては、大いに首肯するところはあっても、実践という点では、半分ぐらいやってみるかという感じですね。
他方、本書で語られている「マーケティング」に関する藤巻氏流の考え方については、いくつか興味を惹くところがありました。
たとえば、「ブランド」について。
藤森氏は、年々の流行の変遷にもぶれないクラシックなブランドとして、「シャネル」「エルメス」を挙げていますが、それらには共通の条件があると指摘しています。
(p59より引用) そこには、確固たる「ストーリー・ヒストリー・フィロソフィー」がある。
そのブランドの背景となる「ストーリー」、どういう経緯で作られたのかという「ヒストリー」、そして、ものづくりのコンセプトとなる「フィロソフィー」。
今はブランド品を持っているだけで満たされる時代ではない、人(購買者)は、そのブランドが持つ「物語」に価値を見出しているということです。野中郁次郎氏らの言葉を借りれば「モノ」から「コト」へという指摘と同値でしょう。
もうひとつ、マーケティングの古典的フレームワークの「4P」について。藤巻氏はこう語ります。
(p107より引用) 正直、僕はマーケティングなんでする必要ないと思っている。マーケティング戦略で重要だとされる「4つのP」-Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)-なんて考える必要はない。・・・パソコンに向かってデータと向き合うよりも、もっと街に出てほしい。
要は「実践」であり、その実践の積み上げによって磨かれた「感性」が重要という主張です。
最後に、私が本書を読んで、改めて思いを強くしたのは、「着眼」の大事さでした。
考えるにも行動するにも、スタートは「何を(what)」です。目に入らないものは、考える対象にも、行動する目標物にもなりえません。きょろきょろと好奇心を持って、意識的に視野を広げること、これは確かに重要なことだと思います。また、やる気になれば誰でもできることです。
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