最近、行動経済学に関心があって、ちょっと前にも「経済は感情で動く― はじめての行動経済学」という本を読んだところでした。
似たような内容だったので、「相対的」にインパクトは弱いのは已むをえません。
ただ、改めて復習の意味でも、人びとが「予想どおり」に不合理な行動をとってしまう要因について、いくつか列挙しておきましょう。
まずは、人は比べやすいものから選ぶという「相対性」についてです。
(p33より引用) 相対性には、絶えずわたしたちの足をすくう要素がひとつある。わたしたちはものごとをなんでも比べたがるが、それだけでなく、比べやすいものだけを一所懸命に比べて、比べにくいものは無視する傾向がある。
そのほかにも、人は、「最初に受けた記憶」に引きずられたり、「無料」という特別な価格?に飛びついたりします。
定価300円の50%引き(150円)で売られているゴディバのチョコレートと10円のキスチョコが並べられていると、多くの人はお買い得だと思って150円のゴディバを選びます。
しかしながら、(それぞれ10円値下げして、)140円のゴディバと「無料」のキスチョコが並んでいると、同じ人がキスチョコを選んでしまうのです。
伝統的な経済学では、市場において需要と供給の均衡点で価格が決定されると考えられています。その前提には、人は常に「合理的な判断」をするとの考え方があります。
しかしながら、行動経済学の実験は、消費者の支払い意志が「相対性」や「アンカリング」に影響されることを実証しているのです。
この点では、行動経済学は、市場万能自由主義に対するアンチテーゼでもあります。
(p81より引用) たしかに人間がほんとうに合理的なら、需要と供給にもとづいた摩擦のない自由市場は理想だ。とはいえ、わたしたちは合理的ではなく非合理的なのだから、政策もこの重要な要素を考慮すべきではないだろうか。
さて、本書を読んでの新たな気づきをひとつ。
それは、「五十歩百歩の選択」についてです。
似たようなもののうちからどちらかを選ぶという場合、結構考え込んだりします。が、そこに落とし穴があるというのです。
(p208より引用) ふたつのものごとの類似点とわずかな相違点に注目していたとき、わたしの友人が・・・忘れていたのは、「決断しないことによる影響」を考えに入れることだ。
どちらを選んでも大差がないにも関わらず、その選択に必要以上の手間や時間をかけてしまうことがあります。
こういうときには、どちらかに決めてさっさと行動に移すべきです。何もしないでいる間の逸失利益を考慮すると、ああでもない、こうでもないと考えて時間を浪費するのは、合理的な行動ではないということです。
予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2008-11-21 |
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