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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら (岩崎 夏海)

2010-02-10 19:23:47 | 本と雑誌

Management  一風変わったドラッカーの代表的な著作「マネジメント」の入門書です。

 主人公の野球部女子マネージャーみなみちゃんが、ドラッカーの『マネジメント』を片手に、文字通りのマネージャーとして野球部の「マネジメント」に取り組みます。

 まずは、ドラッカーのマネジメント論のスタート、「事業の定義」「顧客の定義」に関するくだり。みなみちゃんは、「野球部にとっての『顧客』とは誰か」という問いに対します。

 
(p56より引用) 「ふむふむ、そうなんだ・・・そう考えると、高校野球に携わるほとんど全ての人を、顧客ということができるよね」・・・
 「それから、忘れちゃいけないのは、ぼくたち『野球部員』も顧客だということだな」

 
 みなみちゃんは「野球部の顧客」を「野球部員」だとして、その野球部員のニーズを満たすべく「マネジメント」に挑戦します。

 さて、野球部員が顧客だとすると、マーケティングでいえば「消費者」の位置に立ちます。そう位置づけると、「野球部員の行動=消費者の行動」ととらえることができます。

 
(p124より引用) 「消費者行動」とは、製造やサービスの改良を求めて、消費者が企業に働きかける運動のことである。代表的なものには、不買運動やボイコットなどがある。
 これを読んで、みなみは気づかされた。
「部員たちが練習をサボっていたのは、『消費者行動』だったんだ。彼らは、練習をサボる-つまりボイコットすることによって、内容の改善を求めていたのだ」

 
 この本では、「野球部」が「企業(組織)」、「野球部員」が「社員」であり「顧客」、「練習」は顧客である野球部員にとっては「商品・サービス」・・・とこんな感じで当てはめられストーリーと『マネジメント』の解説が進んでいきます。

 ついに、「甲子園出場」。
 「甲子園では、どんな野球をしたいですか?」というインタビューに対して、キャプテンの正義くんはこう答えました。

 
(p266より引用) 「あなたは、どんな野球をしてもらいたいですか?」・・・
「ぼくたちは、それを聞きたいのです。・・・ぼくたちは、みんながしてもらいたいと思うような野球をしたいからです。ぼくたちは、顧客からスタートしたいのです。顧客が価値ありとし、必要とし、求めているものから、野球をスタートしたいのです。」

 
 奇抜なプロットが本書の顧客を惹きつける「フック」ですが、正直なところ、予想していたよりも面白かったですね。
 もう一度、ドラッカーの「マネジメント」を読み直してみようかという気持ちがしてきます。
 
 

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-12-04

 
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4 コメント

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タイトルが面白くて、思わず手にとってしまいまし... (sub3-30)
2010-02-11 10:54:29
タイトルが面白くて、思わず手にとってしまいました。拝見するに「甲子園」以降は、顧客価値と自己実現の対比でしょうか?
返信する
sub3-30さん (思案中)
2010-02-11 11:23:40
sub3-30さん
 コメント、ありがとうございます。
 そう、この後の展開も気になりますが、ドラッカー流は「とことん顧客志向を貫く」のでしょうね。おそらく、「顧客価値の実現=自己実現」というのが教科書的な方向だと思います。
 とはいえ、顧客も多様です。どの顧客に合わせるのか?その判断には、やはり判断者としての「自己のwill」が関わってくるような気がします。
返信する
遅ればせながら、成田空港からの帰宅中に一気によ... (sugar0033)
2010-04-29 19:04:25
遅ればせながら、成田空港からの帰宅中に一気によみました。よく練れている本ですし、考えることの出来る本だと思いました。D社も、このヒットで、本家のドラッカーが売れる訳ですから。 

ラストも意外にも感動してしまいました。

家族でまわし読みする予定です。
返信する
sugar0033さん (思案中)
2010-04-29 22:30:39
sugar0033さん
 コメント、ありがとうございます。
 ご指摘のように、この本のひとつの大きな意義は、「考えるきっかけ」を与えてくれるという点にあると思います。
 まさに「よき入門書」です。
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