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景気調整の欺瞞 (悪意なき欺瞞(J.K.ガルブレイス))

2007-01-15 00:22:22 | 本と雑誌

Renpo_jyunbi_seido  ガルブレイズ氏は、極め付きの欺瞞として「連邦準備制度(中央銀行)」を挙げています。

 長年にわたり、米国では、失業と景気後退、インフレリスクの歯止め対策として、連邦準備制度による強権的措置すなわち公定歩合の調整が最善の経済政策であるとされていました。

(p93より引用) 景気が過熱気味となり、インフレの脅威が顕在化すれば、今度は、連邦準備制度理事会が貸し出し金利引き上げの先鞭をつける。・・・その結果、企業の設備投資と消費者の借財は抑制され、過度の楽観主義は戒められ、物価上昇は抑え込まれ、インフレ懸念は払拭される-。・・・

 この考え方は、まさに教科書的であり、ある種の経済合理的?前提にたつと成り立ちうる考えではあります。
 しかしながら、ガルブレイス氏は以下のように喝破します。

(p94より引用) このシナリオは、うわべでは説得力のある理論に基づいているのだが、現実や実務経験を通じて編み出されたものではない。民間企業は、儲けが生み出される可能性を見込めるときに銀行から融資を受けるのであって、金利が安いからというだけの理由で借財するわけではないのだ。

 もちろん金利の下落は設備投資の誘因にはなります。
 しかしながら、投資が企業経営上必要だと判断されると、そのための資金調達は、借入金や国内外の市場での社債等の発行といった種々の手段のうち、そのときのまた将来の金融市場の動向を勘案して最も有利な方法を選んで行われます。
 金利が高いからといって必要な設備投資を行わないというのは現実的にはありえません。
 企業経営の立場からみると至極当然のことです。

(p101より引用) 民間企業の行動は、売上高の増減に反応して決まる。要するに、連邦準備制度理事会の役割はなきに等しいのである。消費者や企業の支出を理事会がコントロールできるというのは、単なる幻想でしかない。

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