あむじいのいっしょに読もう(5)
紙芝居・かさじぞう
松谷みよ子民話珠玉選 まつやま ふみお画 童心社今日のテーマは、「やさしさ」です。
民話がもとになったお話は、どこかにほっこり感があり、子どもたちに人気のカテゴリーです。
じいさまとばあさまが登場するのも定番です。
びんぼうなじいさまとばあさまは、明日はお正月だというのにお餅を買うお金もありません。
そこで、じいさまは、ばあさまが織った布を売りに町に行きました。
しかし、大みそかの忙しい時に、ばあさんが織った布など誰も買ってくれません。
同じように売れずに困っていた、笠売りの笠と布を交換することにしまし、じいさまは家路につきました。
いつのまにか雪が降ってきました。
そこでじいさまは、降りしきる雪の寒空に立ちつくす六地蔵に気付きました。
それを見てじいさまは、持っていた笠を全部お地蔵様の頭に雪を払ってかぶせてあげました。
その晩のことです。
寝静まった雪の中を、「ジョイヤサ、ジョイヤサ」という歌声と共に、
何かがちかづいてくるあし音がきこえました。
やさしさを施された人や動物などが恩返しをする民話は、たくさんあります。
浦島太郎、鶴の恩返し、舌切り雀、おむすびころりん、などおなじみの民話の世界に
子どもたちは興味を示します。
イソップの話のように、教訓的でないところが私は好きです。
「優しさと意地悪」、「無欲と欲張り」など対極にあるものを登場させながら、子どもたちに
理解と共感を感じさせるのが民話の世界です。
やさしい心や、慈愛に満ちた施しは、
きっと自分自身への「いたわり」や「やさしさ」と通じるものがあるのでしょう。
雪の降りしきる野原に立ちつくす六地蔵のお姿は、
正月の餅も買えずに家路に急ぐ自分自身の寂寥感と通じるものがあったのでしょう。
「布」が「笠」に変わり「笠」が六地蔵がもたらす、「お礼の品々」に変わっていく。
変容していく「もの」を繋いで最後に、ささやかな「やすらぎ」が訪れるために、
じいさまの「やさしい心」が橋渡しをしていく。
この変容を子どもたちにやさしくするのが、朗読者としての私の役目と思っている。
「みんなだったらどうするのか」を話し合うことによって、
物語は一層深く子どもたちにの胸に沁みこんでいきます。
「六地蔵の気持ち」「じいさま」の気持ちをみんなで考えながら
今日の「あむじいのいっしょに読もう」は終りになります。
(2017.4.9記)