「原発事故の賠償費」
なぜ私たちが負担しなければならないのか(3)
東電と朝日新聞の対応
前回(2)に示された図・電力七社が電気料金で回収する福島原発事故の賠償費をによれば、
東京電力の場合、1年度あたり一般負担金の額を567億4030万円としている。
これは、あくまでも朝日新聞の試算であるが、
上記の金額をどのように回収するのか、前回のブログの内容の最後の部分を再掲載します。
この試算によると一世帯当たり1年で587~1484円ぐらいになるらしい。
しかし、前にも述べましたがこうした金額は各家庭に配布される料金の内訳が書いてある
「検針票」には載せてありません。
一世帯当たりの負担額を筆者の家の電気料金に当てはめて計算すると次のようになります。
関東地方の筆者は東京電力管轄になります。
3月の検針票によれば1カ月の使用料は255KWhになります。
計算式は以下のようになります。
1カ月の使用量(255kwh)×0.25円=63.4円
3月は月額63.4円の負担になるわけだが、請求金額に含まれている様子が感じられません。
1年分の金額は 63.4円×12カ月=761円となる。
検診票にはこのことには一切触れいない。
新聞記事も徴収方法については具体的に触れていない。
何度も記事を読み返し、推測できることは新電力の託送料金に上乗せする。
電気会社が出した利益は、従来であれば電気料金の値下げとして消費者に還元するのだが、
それをしないで、賠償費に充てるということなのだろうか。
この記事も、一番肝心な部分で不親切である。
以上が再掲載部分ですが、算式に基づけば私の家の3月の負担額は63.4円だがこれは、
電気使用量によって違ってくる。
しかし、検針票にはこの金額は表示されていない。
どのように回収されるのか?
それで、検針票の「お問い合わせ先」に電話する。
先方が出たところで、
私は一般消費者であり、特定の団体等に所属するものではないこと、
この電話はクレームのための電話ではなく、個人的な疑問を解消するための電話であることを申し上げる。
○○新聞では、一般消費者家庭の電力消費量に対して、
どのくらいの賠償費を負担しなければならないのか、
その数式が出ているが、何故御社では負担額を検針票に掲載しないのか?
返ってきた答えは、新聞社独自の計算方式で東電とは一切関係ない。
木で鼻をくくるようなそっけない対応である。
質問の答えになっていないことを言っても、「関係ない」の一点張りだ」
原発事故が発生した当時、パートの検針員まで、
「この度は、皆さんに大変ご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした」などと言わせ
平身低頭した当時の姿勢は何だったのか。
新聞社の記事は、東電と関係がないと言うのなら、東電としての「原発事故の費用負担」についての
見解を教えてほしい。
上記の問いには答えないで、
「お客様番号」を教えてくださいと、またしても話のすり替えだ。
教えるのはやぶさかでないが、どうして身元の特定ができる「お客様番号」が必要なのか。
解りやすい説明をするために、お客様の個人情報が必要なのです。
それなら、私の一か月分の電力消費量と料金内訳がわかればよいわけですね。
「お客様番号」がなくても、電話のやり取りで説明できると思いますが……。
以上のようなやり取りが、約1時間近く続き結局、私が納得できるような回答は得られなかった。
最後の言葉は極め付けだ。
「原発事故の賠償費ばどのようにして確保するのか、御社の見解を教えてほしい。解らない訳はないですよね」
上司に伺ってきます。
しばらく待たされた末に、
「原発稼働の利益で確保します」
「通常、利益が出れば、電気料金の値下げをするのですが、その値下げはないということですね」
「そういうことになりますね」
防御姿勢で固まった、これが東電姿勢なのか。
時間の浪費と空しい徒労感が残った東電とのやり取りでした。
次に、朝日新聞に電話を入れる。
4月7日付新聞記事は、「原発事故の賠償費」についてとても分かりやすく説明してあるが、
肝心の消費者の負担額については、あいまいでわかりずらい。
と説明したところ、即座にその記事を検索し、
「読む時間を頂いてもよろしいですか」…3~4分が経過した。
「確かにその利通りですね。担当記者にその旨を連絡し、
分かりやすい記事を掲載するよう努力いたします」
東電とのわけのわからないやり取りに疲れた私は、「よろしくお願いします」と電話を切る。
なんともあっけない幕切れで、後味の悪い思いをした体験記だつた。
目に見えない負担を国民にまでおしつける原発が、
他の発電(水力、風力、太陽光等)に対し本当に本当にローコストなのか疑わざるを得ない。
廃炉・賠償費用も含めて原発が低コストであるならば、事業者負担とすべきではないか。
しかも報道によるとこのつけ回しは、2060年頃まで約40年以上も続くという。
明らかに負の遺産となった原発事故の費用負担を、
次世代まで負担させるのでは国民の理解は到底得られない。
(風の行方№37) (2017.4.29記)