雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

馬鹿の上塗り アルマーニ騒動 ③

2018-03-02 15:04:14 | 昨日の風 今日の風

馬鹿の上塗り アルマーニ騒動 ③
  何がいけないのか

  愛校心、所属愛、学校に対する誇りが自己の存在と重なると、スクール・アイデンティティーが芽生えます。
このような、ある意味エモーショナルな心が、あるいは学校に対する思いが、薄れているのではないかと危惧しております。語弊を恐れずに申し上げますが、「自分は泰明小の一員であるから、そのようなふざけた行いはしない」と自戒できる児童を我々は育てたいのですが、保護者の皆様は、お子様の姿をどのようにお考えでしょうか。
                                           (保護者向け説明文) 

  愛校心や所属意識を高め、泰明小としてのスクール・アイデンティティーを育てていきたい。
教育者の考えとしてはもっともなことだ。
しかし、そうした思いとは別に愛校心や所属愛が薄れていくことに校長は危惧している。
特認校としての性格が学校の特色を薄れさせているのかもしれません。
 文中、「伝統と風格」が失われていく危機感を校長は嘆き、
アルマーニ標準服の採用に当たる考え方の景気を次のように述べています。
 
 泰明の標準服を身に付けているという潜在意識が、学校集団への同一性を育み、この集団がよい集団であって欲しい、よりよい自分であるためによい集団にしなければならない、というスクールアイデンティティーに昇華していくのだと考えます。

 「教育は内面の育成、醸成だと再三申し上げている」と言いながら、
アルマーニ標準服採用に踏み切った処に、
校長のあせりと一人よがりを感じます。
 アルマーニ標準服を在校生が着ることにより、
「泰明小」のスクール・アイデンティティーの育成が成就すると考えるのは、論理の飛躍でしょう。
 なぜ、独断専行してしまったのか。
教職員や保護者会のみなさんと、
「泰明小」のあり方について話し合う機会をなぜ作れなかったのか。

 標準服を変えれば私の危惧することが消えるわけではありません。教育は、内面の耕しであり、そこに、学校教育の質が問われるべきであると思っています。

 伝統と風格」が失われていく危機感のなかで、
「標準服を変えれば私の危惧することが消えるわけではありません」と理解しながら、
結果的には世間の批判の集中砲火を浴びてしまった。
組織の頂点に立ち、苛立ちと焦りに追われた管理者の孤独な姿が浮かび上がってきます。

 

「時代の変化を体感させつつ、泰明小学校の児童であるというアイデンティティを育成していくための一環」

「これまでの歴史や伝統を守りつつ、小学校での『英語教育の導入』や、『地域との密接な連携』という新しい教育プログラムの導入と並行して行われていく泰明小学校の新しい時代に向けた変化であり、進化でもある」

 今まで引用してきた教育理念が、アルマーニ標準服の採用にいたってしまったのか。
非常に残念な思いでこのブログを書いています。
アルマーニ標準服の採用が問題なのではなく、
なぜそうせざるを得なかったのかが問題なのだと私は思います。
校長が抱いている危惧感は的外れではないと私は思います。
対処の方法が間違っていると私は思います。

 なぜ、新標準服への切り替えを2017年秋まで公表しなかったのか、
なぜ校長が一人で決めてしまったのか、
なぜアルマーニ社なのか、
この問題に対する教育委員会の見解はどうだったのか。
こうした内容ばかりが報道され、
「伝統と風格」という教育の在り方にまで発展させた記事は見当たらなかった。
現象面のみを捉えて報道し熱が冷めてしまえば、
報道さえされないメディアの姿勢そのものにも問題がある。



 馬鹿の上塗り
  この騒動に上塗りするように、「泰明小」学童への嫌がらせが相次いでいるという(朝日新聞2/20夕刊)。
 児童が通行人に服をつままれたり、
 心無い声をかけられたりする事例が発生し、
 従来見守り活動をしている教職員や保護者らに区教委職員も加わり、警戒を強化する。と記事は伝える。

 馬鹿々々しい騒動の上に、馬鹿の上塗りをする大人がいることに激しい憤りを感じます。

 最後にごく一般的意見として山梨学院大教授・荒巻重人氏のコメント(朝日新聞2/16)を紹介して終わりにします。
 「公立校は本来、地域の子どもが経済的な制約を受けず誰でも通えるはずの学校。多様な家庭の子どもを受け入れ、意見に耳を傾けながら学校運営する中で校風や個性が作られる。校長の考えだけで決められたとすれば子どもの主体性は養われない」

        (2018.03.02記)      (昨日の風 今日の風№90)

 

 

 

 

コメント
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