「仮面舞踏会後の決闘」 ジャン・ レオン・ジェローム
① 不思議な感覚に囚われる(仮面舞踏会後の決闘)
1857年制作 油彩 68×99㌢
それ程大きな絵ではない。
だが、この絵をじっと見つめていると、なぜか見えない呪縛にあったような
不思議な感覚に囚われる。
一体何があったのか?
想像力を喚起し、
見る者を「物語」の世界に引き込んでしまう雰囲気を醸し出している絵だ。
宮廷で行われる華やかな仮面舞踏会。
貴族たちが競って趣向を凝らす。
華やかな会場で繰り広げられる「仮面舞踏会」。
宮廷音楽たちの演奏。
豪華な晩餐。
だが、この異様な雰囲気の中で、仮面を被った者同士のトラブルも多かったに違いない。
トラブルはやがて仮面の下に隠された意地の張り合いになり、
当時はやっていた「決闘」へと発展してしまう。
投げられた手袋を拾わなければ、卑怯者になってしまう。
周りの者の無責任な喝采に煽られ、それぞれに立会人が付き
意地と名誉をかけて、「命のやり取り」が行われる。
この絵は、そうした「名誉のための決闘」の愚かしさを描いて
見る者をとりこにするのでしょうか。
(つづく)
次回はこの絵の物語性と鑑賞の手引き等をアップします。
(2019.1.18記) (つれづれに……心もよう№88)