雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

坂村真民の言葉(5) 念ずれば花開く

2021-12-02 06:30:00 | 読書案内

坂村真民の言葉(5) 念ずれば花開く

坂村真民について (坂村真民記念館 プロフィールから抜粋)
  20歳から短歌に精進するが、41歳で詩に転じ、個人詩誌『詩国』を発行し続けた。
  仏教伝道文化賞、愛媛県功労賞、熊本県近代文化功労者賞受賞。
  一遍上人を敬愛し、午前零時に起床して夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げる生活。
  そこから生まれた人生の真理、宇宙の真理を紡ぐ言葉は、弱者に寄り添い、
  癒しと勇気を与えるもので、老若男女幅広いファン層を持つ。
  写真の本は「一日一言」と称し、真民が生きた日々の中で浮かんだ言葉の中から365を厳選、
  編集したものです。

                 
 月に一度、月初めに「真民さんの言葉」の中から気に入ったものを載せています。
 月に一度のことですが、今月はどんな言葉を選ぼうかと、
 「1日1言」を開いてページを繰るのも楽しいひと時です。

 以前、ブログ名「曲がり角の向こうに」の「のりさん」から、
 『念ずれば花ひらく』という言葉が好きですと、コメントを戴きました。
 私は、これまで「念ずれば花ひらく」が、真民さんの言葉であることを知りませんでした。
 そんな経緯がありまして、
 今月は『念ずれば花ひらく』を取り上げることにしました。

 『一心称名』
   念ずれば花ひらく
   念ずれば花ひらくと
   唱えればいいのです
   ただ一心に唱えればいいのです

   花が咲くとか
   咲かぬとか
   そんな心配はいりません
   
   どうかあなたの花を
   あなたの心田(しんでん)
   咲かせてください
   必ず花はひらきます

  ただただ一心に心に念じて、唱えれば花はひらくのです。
  真民さんは、誰にもわかりやすく、明快に箴言を文字に託します。

  花とは、私たちの心が抱く「希望」であり、「夢」であり、
  「願い」や「望み」のことなのでしょう。
  「一心に念じれば必ず花はひらきます」と真民さんは言います。

  二節目は真民さんらしく、修行僧のように厳しい言葉です。
  一切の雑念を払って、「咲くとか」「咲かぬとか」そんなことはどうでもいいのです。
  ただひたすらに念ずることが大切なのです、と言います。
  一途な心を持つことが必要なのですと読者を諭しています。
  別の項目では次のようにも言っています。

  「いつかはゴールに達するというような歩き方ではだめだ。
   一歩一歩がゴールであり、一歩が一歩としての価値をもたなくてはならない」
                         (いきいきと生きよの中の一節)
  人生の中で今日という日は、二度と訪れないかけがいのない一日だから、
  無駄にしてはいけないということなのでしょう。
  ゴールは終わりではなく、明日へ向けての出発点だということなのでしょう。
  真民さんの言動に横たわっているものは「一期一会
」の教えなのでしょう。

  
  私たちに厳しい言葉を投げかけた真民さんですが、
  第三節では、読者へ向けてのやさしいお願いに変わっていきます。
  「どうかお願いです」。一心に称名してあなた自身の花を、
  あなたの心田に咲かせてください、と。
  花は必ず開きますからと読者を暖かく励まします。
  
  『心田』という言葉も聞きなれない言葉です。
  「あらゆる荒廃は心の荒蕪(こうぶ)から起こる」と二宮金次郎は教えを残しています。
  荒蕪とは、草が生い茂って雑草が生えほうだいで、
  土地が手入れされずに荒れていることをいいます。
  荒れ果ててすさみ潤いがなくなっていくことをいいます。
  金次郎の時代、たび重なる飢饉などで農村は疲弊し、それに伴って人心も荒れ
  働く意欲を失い離村する農民もたくさん現れました。
  農村の荒廃は、人の心の『荒蕪』へと広がって行きます。
  荒廃に伴う人の心の『荒蕪』を解決するには、
  個々の人が持っている『心田』を耕せば、
  やがてすべてのものは豊かになっていくという教えは、
  今につながる教えのように思います。

  一人一人の心田に自分自身の花をさかせよう。
  そうすれば花は必ずひらくと真民さんは考えています。

  表題の『一心称名』は、
 「一心にただひたすらに祈りなさい」と私たちを示唆しているのでしょう。

                       ブックデーター
                           「坂村真民 一日一言 人生の詩、一念の言葉」
                             致知出版社 2006(平成18)年12月刊 第一刷
     (読書案内№183)      (2021.12.01記)

コメント (2)
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