雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

海に消えた対馬丸・学童疎開の悲劇 ②

2023-07-11 06:30:00 | 語り継ぐ戦争の証言

海に消えた対馬丸・学童疎開の悲劇 ②
  海底に横たわる対馬丸
  1997(平成9)年冬。
 深海探査機が海底の沈んでいる船を探し当てた。
 場所は鹿児島県トカラ列島の悪石島(あくせきじま)沖。 
 水深870㍍の光のない暗黒の世界。
 探査機のサーチライトの光に黒く大きな物体が徐々に浮かび上がってくる。
 やがて、光にとらえられた物体がその正体を現してくる。
 穴の開いた船が永い眠りから覚める瞬間である。
 探査機が近づく。
 暗くよどんだ海底のなかで光がとらえたものは三つの文字だった。
 濁った海水を通して浮かび上がる文字。
 『對馬丸』。
 カメラは海底に横たわる船をとらえる。
 腐食が進み魚の住み家になっている船。

  1944(昭和19)年8月22日22時23分、
 悪石島沖にて沖縄の学童疎開船「對馬丸」が撃沈から53年ぶりに姿を現した瞬間であった。
 船は那覇から長崎へ向かう途中、
 鹿児島県・悪石島の北西約10㌖の地点を航行中、
 米潜水艦ボウフィン号の魚雷攻撃により、沈没した。

                                  (つづく)

(語り継ぐ戦争の証言№26)  (2023.7.9記)

 

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