能登半島地震 (3) 津波が来た
2024.01.05朝日新聞は
死者84人 安否不明179人に
能登地震 72時間経過 (一面トップ)
一面トップの見出しは、
石川県発表の死者の数と安否不明の数字を見だしにぶつけ、
安否不明の179人という数字に、
読者は救命救助の困難さを想像し被害の甚大さを思い浮かべる。
72時間経過の見出しは、人命救助の難しさを暗示する。
この時間を過ぎれば、生存率は15%になり、
4日目の96時間を迎えるころには5%まで生存率が下がってしまう。
これまで、津波について触れることができなかったので、新聞記事をもとに触れます。
2011年の東日本大震災以来となる大津波警報が発令された。
1959年の房総沖地震で初めて発令され、それから6回目の発令になる。
(津波に関する警報の運用は1952年にはじまった)
津波「一気に街に」
波穏やかな沿岸部「人ごとだった」(朝日新聞2024.01.05朝刊2面全面)
大津波警報は、予想される津波の高さが最大3㍍を超えるときに発令されます。
実際の津波警報はどのように出されたのだろう。
日本海で起きる津波は到達するのが早い。能登の津波はどうだったのだろう。
気象庁は今回、
津波警報 震度7の地震の約2分後に能登地方などに発令。
大津波警報 津波警報の10分後に大津波警報に切り替えた。地震が発生してから12分後には
大津波警報切り替えられていた。
予想されていた津波の高さは、5㍍だった。
ただ、輪島市にはすでに津波が到達しており、
その高さが120㌢以上となったのは大津波警報に切り替わる約1分前だった。
参考資料
津波の高さによる発表基準 | 対処法 | |
---|---|---|
津波注意報 | 高さ0.2m超~1m以下の場合に発表 | 海から上がり海岸から離れる |
津波警報 | 高さ1m超~3m以下の場合に発表 | 沿岸部から高台や避難ビルに避難 |
大津波警報 | 高さ3m超の場合に発表 | 沿岸部から高台や避難ビルに避難 |
【声】
① 「通信環境が悪い中、誰がどこで何をしていたかすべて明らかになっていない。津波による被害者が
増える可能性はあると思った方が妥当だ」(馳浩石川県知事)
② 「津波は人ごとだった。こんなに恐ろしいなんて」
(津波で自宅が浸水し、息子の小型船が津波に流された。(70歳 女性))
③ 「集まれる職員が少なくなかなか被害の程度を把握できていない」
(能登町大森凡世町長)
まさか 集落呑んだ波
能登町 高さ2㍍ 家壊し爪痕
珠洲 海に異変「来るぞ」 (朝日新聞2024.01.05朝刊 29面)
まさか本当にくるとはー。1日の地震で能登半島をおそった津波は、住民たちの虚を突き、
街の景色を一変させた。発生から72時間を迎えた4日、余震に見舞われながら、
いまだ安否のわからない人たちの捜査が続いた。(リード記事)
予想外の津波と、短時間で押し寄せた能登町の人々が、必死で高台にのがれる姿を記事は再現している。
【能登町】
「家を離れたくないと非難を拒む高齢者も多く、声をかけ続けているうちに津波が近づいてきた」
「能登半島では地震は良く起きていたが、津波が来ないことになれていた。
津波を人ごととしてとらえていて、危機感が地域全体で足りなかった」
【珠洲市】
高台に避難し、海を見渡した際に異変に気づいた。
沖合約180㍍にある地元の観光名所「見附島」(私は「軍艦島」と呼んでいた)のあたりまで潮が引き、
海底が透けて見えた。
…略…「津波が来るぞ」、約5分後、白い波が南から北へと海岸線に沿うように押し寄せているのが見えた。地元の多くの人が亡くなり、安否不明者も出た「あまりに被害が大きく、救助も足りていない。
この町はもう、元の姿に戻らないかもしれない」
(会社員 49歳)
生活再建へ最大600万円、
政府 能登地震、被災高齢世帯などに
政府は能登半島地震の被災者の生活再建を支援するため、
高齢者世帯などに最大600万円を支給する方針を固めた。
現行制度では最大300万円。
住宅などの被害が甚大で、高齢化が進む地域の復旧と復興には追加支援が必要だと判断した。
明日から、仮設住宅への入居も始まる様子です。
頑張れ能登。「能登は優しや土までも」。
風土に根差した粘り強さは能登の誇りです。
(ことばのちから№3) (2024.02.02記)