この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

『007 スカイフォール』、シリーズ最高傑作であることは疑いようがないけれど…。

2012-12-03 22:39:29 | 新作映画
 ダニエル・クレイグ主演、サム・メンデス監督、『007 スカイフォール』、12/1、ワーナー・マイカル・シネマズ筑紫野にて鑑賞。2012年44本目。


 映画であれ、小説であれ、シリーズものは往々にして最新作こそ最高傑作であると宣伝されるものですが、この『007 スカイフォール』は紛うこと無き007シリーズ23作の最高傑作だと言ってよいと思います。
 ネットでの評判の高さも頷けます。
 ただ、、、個人的にはあんまり好きじゃないかな。
 好きじゃない理由は単純で、ボンドがあまりにも人の死に無頓着であること(無頓着というか、冷酷というか、人間らしさに欠けるというか?上手く表現できないけど。)。
 
 最初にそう感じたのはマカオの高層ビルで一度は彼を出し抜いたパトリスをボンドが追いつめたシーン。
 ボンドがパトリスを発見した時、彼は向かいのビルの誰かをライフルで狙撃しようと照準を合わせている最中だったんですよね。
 当然自分はボンドが狙撃を阻止するものとばかり思ってました。
 しかし、ボンドはパトリスが引き金を引き、狙撃を成功させた後で彼に戦いを仕掛けるんですよ。
 あれ?って思いましたよ。
 パトリスが引き金を引く前に戦いを仕掛けられない具体的な理由がボンドにあったっけ?
 まぁ最善のタイミングを見計らっていただけかもしれないけど、任務遂行のためには人の死を見過ごせるボンドに違和感を覚えました。

 その思いをさらに強くしたのが軍艦島での黒幕シルヴァとのやり取りですね。
 本作のボンドガールであるセヴリンはシルヴァの愛人ではあるけれど決して根っからの悪女ではないんですよね。
 今の境遇から抜け出したくて彼女はボンドに協力するんですが、それをシルヴァに咎められ、彼の手下からボコボコに殴られます。さらにワイングラスをウィリアム・テルの林檎のように頭に置かれ、シルヴァはボンドにグラスを撃つように命じます。
 (トレーニングをサボっていたせいで)思いっきり外すボンド。
 ニヤリと笑ってあっさりとセヴリンを撃ち殺すシルヴァ。
 何だか、セヴリンが哀れに思ったのは自分だけですかね。
 しかもこの後、ボンドが(グラスを外したのが嘘のように)シルヴァの手下たちを瞬殺したのであればなおさらですよ。
 そのスキルがあれば、セヴリンも助けられたんじゃないの?と思わずにはいられませんでした。

 まぁしょうもないことでイチャモンをつけているだけなのかもしれませんが、任務遂行のためには民間人が何人死のうがどうでもいい、関係ない、気にしないというボンドのスタンスはやっぱり好きになれないのです。
 
 とはいえ、前述の通り本作はシリーズ最高傑作であることは疑いようもなく、アクション映画としては高水準のクオリティなので、現在上映中の映画で何かお薦めの作品があるかと聞かれたら、やはり本作を推しますね。

 
 
 お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント (10)
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