この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

映画『カメラを止めるな!』盗作疑惑について思うこと。

2018-08-22 22:22:39 | 新作映画
 現在も大ヒット上映中の映画『カメラを止めるな!』が盗作疑惑に揺れています。
 今日はこのことについて自分の考えを述べたいと思います。

 まず結論から述べると、映画『カメラを止めるな!』は舞台『GHOST IN THE BOX!』の根幹のアイディアをパクっているのではないかと思われます(正確なところは『GHOST IN THE BOX!』を見てみないとわかりませんが)。

 ただ、アイディアをパクったからといってそれが必ずしも問題であるとは限らないんですよね。
 例えば映画『シックス・センス』の根幹のアイディアは「実は○○はxxだった」というものですが、このアイディア自体は何も『シックス・センス』の専売特許というわけではないんですよね。同様のアイディアの映画はすでに存在していました。
 『シックス・センス』の素晴らしいところはこのアイディアをきちんとストーリーに絡ませ、見る者に感動を与えるレベルまで作品の質を高めた点にあります。何もアイディア“だけ”の映画ではないってことです。

 翻って『カメラを止めるな!』の根幹のアイディアは「前半の37分は実は△△だった」というものですが、それだけの映画かというとそうではないですよね。
 根幹のアイディア+映画愛+家族愛+アルファ、そういった諸々の要素で映画『カメラを止めるな!』は傑作になりえたのだと思います。
 
 ですから、映画『カメラを止めるな!』は舞台『GHOST IN THE BOX!』のアイディアをパクっていても、盗作とまでは言えないというのが自分の考えです(繰り返しますが正確なところは『GHOST IN THE BOX!』を見てみないとわかりません)。

 また盗作か否かとは別に今回の告発者であるW氏のやり方には非常に抵抗を覚えます。
 W氏は元の舞台の原作者として映画『カメラを止めるな!』を告発しているようなのですが、W氏は純粋な原作者とは言えないからです。
 彼は告発文の中でこう述べています。
>当時、劇団に脚本家志望の後輩Aがいて、僕が一緒に企画案を練り、脚本をAに任せ、
 つまり舞台『GHOST IN THE BOX!』の脚本を書いたのはW氏ではなく、A氏なんですよ。
 (原作のない)演劇や映画において、1人原作者を選ぶとしたら、それは当然脚本家でしょう。企画案を練っただけの人が原作者を名乗るのはおこがましいというものです。

 いや、W氏は舞台の演出も手掛けたのだから原作者を名乗る資格はある、というのであれば、原作者は劇団員全員ということになります。
 実際W氏は
>著作権は僕とA、そして劇団にあります。
 と述べています。
 であれば、今回の告発において、W氏は出来れば劇団員全員の、それが難しいのであればせめて劇団員の過半数の意見をまとめる必要があった、と思います。
 そうでないと映画『カメラを止めるな!』は倫理的に問題があったと考えるのが関係者の中でW氏だけだったということになりかねないからです。

 また、W氏は映画関係者との間で原案利用契約書なるものを交わしているんですよね。
 申し訳ないけれど、契約書を交わしたのであればその契約を遵守する必要があると思います。

 もちろんワケがわからないうちにワケのわからない契約書にサインすることもあるでしょう。
 その場合は契約を遵守する必要はないとは思いますが、契約を解除するためにはそれ相応の手順を踏む必要はあるはずです。
 その手順の中に週刊誌に言いたいことを洗いざらいぶちまけるという選択肢はないと思います。

 まぁでも今回の騒動で一番重視すべきだと思うのは、W氏は映画を観た直後フェイスブックで「全然別物になってた」とコメントしていることです。
 それが本当であれば、映画『カメラを止めるな!』は舞台『GHOST IN THE BOX!』の盗作でも何でもないってことになります。
 時間が経ったから考えが変わったのだ、とW氏は言われるかもしれませんが、残念ながらその言葉に説得力は見い出せません。

 何がパクリで、何がオマージュで、何がリスペクトで、何が盗作なのか、その判別は難しいですが、それぞれは別々のものだと自分は考えます。
コメント (2)
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