冬は寒い・・・ことに大晦日は切なく寒い。
ようやく仕上げた新しい布団を自転車の荷台につけて、フト立ち寄った居酒屋。
いい機嫌で店を出たら・・・無い!
父が憔悴しきった顔で帰宅。
「布団を自転車ごと盗まれちゃったよ・・・」
「ええっ!」
声にならなかった。新しい布団でお正月を迎えようとしていたお客さん。その代金でしばらく食いつなごうとしていたわが家。
凍りついたようにして紅白歌合戦を見ていた大晦日。
あれから何年もして、何年どころか二十年以上も経た頃になって、ようよう母に訊ねた。
「あの件はどうしたの?」
「・・・年が明けてから作って届けたよ」
お正月に他家を訪ねた父が帰宅後放った一言。
「あの奥さん、本当にお茶を出したよ」って・・・何?
お茶といえば、おちゃけ(酒)の事・・・そんなことを言う奴、今まで父のほかに出会ったことが無い。
酒、酒、酒の父。大晦日には枕元に一升瓶が並んでいた。
ちなみに、義母は義父が大工の棟梁だったこともあって、息子であろうと誰であろうと男性の客なら駆けつけ一杯、必ずお酒(ビール)を出していた。飲酒運転がタブーであってもお構いなしに出すので、困惑したものである。息子である夫もそのせいか何度も取締りで罰則を受けている。(わたしはそのせいで胃潰瘍になり七転八倒・・・)
そういう家族である。そういう家族の一員である(わたし)。
ようやく仕上げた新しい布団を自転車の荷台につけて、フト立ち寄った居酒屋。
いい機嫌で店を出たら・・・無い!
父が憔悴しきった顔で帰宅。
「布団を自転車ごと盗まれちゃったよ・・・」
「ええっ!」
声にならなかった。新しい布団でお正月を迎えようとしていたお客さん。その代金でしばらく食いつなごうとしていたわが家。
凍りついたようにして紅白歌合戦を見ていた大晦日。
あれから何年もして、何年どころか二十年以上も経た頃になって、ようよう母に訊ねた。
「あの件はどうしたの?」
「・・・年が明けてから作って届けたよ」
お正月に他家を訪ねた父が帰宅後放った一言。
「あの奥さん、本当にお茶を出したよ」って・・・何?
お茶といえば、おちゃけ(酒)の事・・・そんなことを言う奴、今まで父のほかに出会ったことが無い。
酒、酒、酒の父。大晦日には枕元に一升瓶が並んでいた。
ちなみに、義母は義父が大工の棟梁だったこともあって、息子であろうと誰であろうと男性の客なら駆けつけ一杯、必ずお酒(ビール)を出していた。飲酒運転がタブーであってもお構いなしに出すので、困惑したものである。息子である夫もそのせいか何度も取締りで罰則を受けている。(わたしはそのせいで胃潰瘍になり七転八倒・・・)
そういう家族である。そういう家族の一員である(わたし)。