続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『天才の顔』②

2018-03-30 06:50:16 | 美術ノート

 白いマスクには人工的に切り取った欠損がある。
 人工的に造られたマスク…換言すれば人の思い(心理)によって偶像化されたマスク(象徴)に、人の思い(心理)によって造られた傷痕があるという景である。
 透けて見える黒い木々は、ポールに枝葉が生えているという不条理な成り立ちをしている。黒は不吉・邪悪を暗示し、世の悲しみの権化でもある。

 しかし、その不吉・邪悪に泰然自若として瞑想に耽るかの白いマスク(天才の顔)は、闘う術もない無表情、ただ在るがままの顔(象徴)である。
 白いマスクを支える橋のように細長く続く板状のものにある刻みは何を意味するのだろう、時間・・・刻まれたものは歴史かもしれない。橋の棄損は天才の顔を落下させ得るが、決してそうは至らない確信に満ちた顔なのかもしれない。仮に橋と思える物の下は《淀み/混沌》が漂流している。
 それを現世と捉えるとしたら、上にあるべきは冥府であり、白いマスクは限りなく《神》に近い存在である。
《神と常人》の狭間に位置し、わが身の欠損(傷痕・破滅)をも恐れない者が『天才の顔』たる所以かもしれない。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


『真空溶媒』㉓

2018-03-30 06:40:19 | 宮沢賢治

   (もしもし 牧師さん
    あの馳せ出した雲をごらんなさい
    まるで天の競馬のサラアブレツドです)
   (うん きれいだな
    雲だ 競馬だ
    天のサラアブレツドだ 雲だ)


☆僕(わたくし)の詞(言葉)は、質(内容)を推しはかる運(めぐりあわせ)がある。
 展(ひろげて)教(神仏のおしえ)の場を運(めぐらせている)。
 経(常)に真(まこと)を展(広げ)運(めぐらせている)。


『城』2913。

2018-03-30 06:29:15 | カフカ覚書

二階のほうには、あきらかに身分の高い役人だけが泊まっているらしかった。秘書たちは、この廊下に面した部屋に泊まっていた。秘書のなかではいちばん身分の高いエルランガーも、例外ではなかった。


☆上のほうには明らかにより高い終(死人)がおり、書記はこの経過に留まっていたが、エルランガーもまた先祖の最も高いところ(死に最も近い所)に留まっていた。


🈞マグリット『天才の顔』

2018-03-29 07:06:24 | 美術ノート

  『天才の顔』

 白いデスマスク、石膏で模られた顔は《目と頬》の部分が欠落している。
 
 『目には目を』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。しかし、わたしはあなたがたに言う。悪人に手向かうな。もし、だれかがあなたの頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。(『マタイによる福音書』より)

 という記述を想起する、天才とはそういうことだろうか。
 流れの上に渡した板には刻みがある。この刻みが連続するものか不連続なものなのかは特定できないが、板の上に生える黒い樹は連続を暗示している。
 黒い樹、漆黒、闇である。闇、混沌である。
 その板の上(あるいは中空)に白い仮面は位置している。厚みがあるようだが、板の上に置くにはバランスを欠く・・・要するに重力否定でもある。そして自然の理にも反している。

 これをもって『天才の顔』と名付けている。
 不条理そのものである光景に鎮座する静謐な顔の面。
「天才とは何ぞや」に対する答え、「天才とは暗澹たる混沌に置いても自己犠牲に身を投じる者のことであり、非現実の幻であるかもしれない」


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


『真空溶媒』㉒

2018-03-29 06:44:18 | 宮沢賢治

  草はみな葉緑素を恢復し
  葡萄糖を含む月光液は
  もうよろこびの脈さえうつ
  泥炭がなにかぶつぶつ言つてゐる


☆双(二つ)の様(ありさま)を録(文字に書き表す)。
 組みあわせる界(世界/二つの話)は、復(繰り返される)。
 保つ等(平等)は、套(おおわれている)。
 換(入れ替える)を合わせる講(はなし)である。
 易(とりかえる)脈(すじみち)に泥(こだわる)と、譚(話)が現れる。


『城』2912。

2018-03-29 06:28:57 | カフカ覚書

 玄関のところで、ひとりの従僕がふたりを出迎えて、Kのよく知っている道を案内していった。中道をよぎり、戸口をくぐって、低い、すこし下り坂になったになった廊下を通っていくのだ。


☆玄関のところで、先祖の従僕(死者)が出迎え、Kがすでに知っている道、ハロー(死の入口)を通り、門をくぐって多少低いところへ下す動きをした。