静かな年の瀬を迎えられることに感謝している。
長いことわたしを悩ませた酒飲みの父は、大晦日ともなれば枕元に並べた一升瓶の酒を呑み始める。毎晩酔っ払っていたけど、大晦日は特に怖ろしく、迎える正月の暴挙を思うと胸が暗く打ち塞がってしまう。自分のお酒がなくなればお年始と称して親戚縁者の家を廻り呑んだくれて帰ってくる。帰ってくればいいほうで電話で呼び出され、わたしが迎えに行ったことも度々。
暗い夜道を「お父さん、大丈夫?しっかりしてよ」なんて言いながら歩く・・・。
ある日などは、初売りを覗いて帰宅すると、幼い息子が「警察から電話があって、今救急センターにいるって」と言ったこともある。
生涯、治らなかったアルコール依存・・・。暮れと正月の寒々とした恐怖は何とも言い難く、今は思い出になったことを心から感謝して、もう他には何も要らないと思えるほどである。
平穏無事・・・他に望むことは何もない。わたしは何を望むだろうか? 父を思えば、すべては霧消して行く。
父の愚痴を言うと、父親の顔を見たことのない夫から「何を言う」と叱られる。思えば二人とも可哀想な者同志だと気づいて苦笑してしまう。
昨日はそんな父母のお墓参りも済ませた。
ただ何もないことの幸福に感謝している。
長いことわたしを悩ませた酒飲みの父は、大晦日ともなれば枕元に並べた一升瓶の酒を呑み始める。毎晩酔っ払っていたけど、大晦日は特に怖ろしく、迎える正月の暴挙を思うと胸が暗く打ち塞がってしまう。自分のお酒がなくなればお年始と称して親戚縁者の家を廻り呑んだくれて帰ってくる。帰ってくればいいほうで電話で呼び出され、わたしが迎えに行ったことも度々。
暗い夜道を「お父さん、大丈夫?しっかりしてよ」なんて言いながら歩く・・・。
ある日などは、初売りを覗いて帰宅すると、幼い息子が「警察から電話があって、今救急センターにいるって」と言ったこともある。
生涯、治らなかったアルコール依存・・・。暮れと正月の寒々とした恐怖は何とも言い難く、今は思い出になったことを心から感謝して、もう他には何も要らないと思えるほどである。
平穏無事・・・他に望むことは何もない。わたしは何を望むだろうか? 父を思えば、すべては霧消して行く。
父の愚痴を言うと、父親の顔を見たことのない夫から「何を言う」と叱られる。思えば二人とも可哀想な者同志だと気づいて苦笑してしまう。
昨日はそんな父母のお墓参りも済ませた。
ただ何もないことの幸福に感謝している。