続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『飯島晴子』(私的解釈) 谷の闇。

2020-12-31 06:24:39 | 飯島晴子

   谷の闇赤子生む灯の氷柱籠め

 谷の闇…谷文晁の暗暗(秘かな)世界。赤子(妖怪鬼)を創作し、火(炎)の柱で怨念を封じ込めた絵ではないか。鬼と炎、菅原道真の怨念(北野天満宮/北野天神縁起絵巻)を想起させる。

 谷の闇はコク・アンと読んで、告、案。
 赤子生むはシャク・シ・ショウと読んで、釈、詞、衝。
 灯の氷柱籠めはトウ・ヒョウ・チュウ・ロウと読んで、謄、表、衷、漏。
☆告げる案(考え)の釈(意味を解き明かす)。
 詞(言葉)の衝(重要なところ)を謄(書き写す)と表れ、衷(心の中)が漏れる。

 谷の闇はコク・アンと読んで、酷、庵。
 赤子生むはシャク・シ・ショウと読んで、借、師、匠。
 灯の氷柱籠めはトウ・ヒョウ・チュウ・ロウと読んで、蕩、剽、虫、朧。
☆酷(きびしい)庵(いおり)を借りている師匠(先生)。
 蕩(揺れ動き)剽(掠める)虫が朧(おぼろに見える)。


『飯島晴子』(私的解釈) 風景のうち。

2020-12-31 05:58:16 | 飯島晴子

   風景のうち炭焼の髯うごく

 風景・・・外の景色であり、(うち)とあるから限られた範囲の場所(キャンプとか旅行先の土産物店とか、庭先かも知れない)。そこで炭焼にされた魚が焼けてくるにつれ、髯が動いたという、大きな景色から極小への転移。

 風景のうち(風景内)はフ・ケイ・ダイと読んで、腑、計、大。
 炭焼はタン・ショウと読んで、譚、証。
 髯うごく(髯動)はゼン・ドウと読んで、然、道。
☆腑(心の中)の計(もくろみ)は大きい。
 譚(話)は証(ありのまま)然(その通り)の道(すじみち)である。

 風景のうち(風景内)はフ・ケイ・ダイと読んで、普、経、題。
 炭焼はタン・ショウと読んで、胆、賞。
 髯うごく(髯動)はゼン・ドウと読んで、全、憧。
☆普く経(常に変わらない)題(中心思想/話題)がある。
 胆(本心)では賞に全(みんな)が憧(あこがれている)。
 


『飯島晴子』(私的解釈) 縁に婆。

2020-12-30 07:31:42 | 飯島晴子

   縁に婆柚子の彼方の死者の数

 縁側に老女がぽつんと腰かけている。戦後最大の洪水(死者506人)に見舞われた柚子の産地である熊本・・・若い家族を失ったのだろうか、虚脱と深い哀しみの映像である。柚子の産地(高知、徳島、愛媛など)における台風、災害は並べて辛苦を伴う。

 縁に婆はエン・バと読んで、怨、罵。
 柚子の彼方はユ・シ・ヒ・ホウと読んで、由、刺、被、法。
 死者の数はシ・シャ・スウと読んで、私、視野、枢。
☆怨(うらみ)罵(ののしる)由(わけ)は、刺(さすように相手の弱点を突くこと)を被(こうむる)からである。
 法(真理)は、私の視野(思考)の枢(かなめ)である。

 縁に婆はエン・バと読んで、演、場。
 柚子の彼方はユ・シ・ヒ・ホウと読んで、諭、旨、否、法。
 死者の数はシ・シャ・スウと読んで。示、謝、雛。
☆演(述べる)場で、諭(教え導くこと)の旨(考え)には、否(同意できない)。
 法(手立て)を示(教えること)は謝(断る、退ける)、雛(未熟者)には…。


『飯島晴子』(私的解釈) 冬の山。

2020-12-30 07:03:12 | 飯島晴子

   冬の山畳を踏んで箪笥鳴る

 冬の山。雪などで湿った建屋の床、湿気を帯びた畳に足を踏み入れた途端、乾燥した空気にさらされた箪笥はその差異により軽く弾んだかもしれない。

 冬の山はトウ・サンと読んで、套、算。
 畳を踏んではジョウ・トウと読んで、常、問う。
 箪笥鳴るはタン・シ・メイと読んで、探、詩、命。
☆套ったものの算(見当をつけ)常に問う。
 探(さがし求めるのは)詞(言葉)との運(巡り合わせ)である。

 冬の山はトウ・サンと読んで、盗、惨。
 畳を踏んではジョウ・トウと読んで、常、透。
 箪笥鳴るはタン・シ・メイと読んで、綻、視、明。
☆盗みは惨めであり、常に透(すかして見える)。
 綻(ほころび)は視(気を付けて見ると)明(明々白々、はっきりしている)。


『飯島晴子』(私的解釈) 冬の瀧。

2020-12-29 06:56:26 | 飯島晴子

   冬の瀧日までの遠さ云ひ聞かされ

 冬のロシア(ソ連邦)、厳寒の地であるシベリア、過酷な労働を強いられていた捕虜たちは日本に帰還できる日の遠いことを言い聞かされ絶望の日々を送ったに違いない。死者も多く出た中、帰還できた方の中にはドラマ化された商社の人や大臣・アーテストなど多数の活躍があり、命を落とされた方々の痛恨は計り知れない。

 冬の瀧はフユウ・リュウと読んで、蜉蝣、隆。
 日までの遠さ(日迄遠)はジツ・キツ・エンと読んで、昵、詰、燕。
 云ひ聞かされはウン・ブンと読んで、運、聞。
☆蜉蝣(かげろう)は隆(盛ん)に昵(近づき)詰(攻めて)、燕(ツバメ)が運ぶと聞く。

 冬の瀧はトウ・リュウと読んで、答、留。
 日までの遠さ(日迄遠)はジツ・キツ・エンと読んで、実、喫、掩。
 云ひ聞かされはウン・ブンと読んで、運、文。
☆答えを留め、実(内容)を喫(身に受け)掩(隠して)運(めぐらせている)文である。


『飯島晴子』(私的解釈) 狐火や。

2020-12-28 07:01:51 | 飯島晴子

   狐火や黒き袂の平らなる

 闇夜である。狐火(燐火など)が点くと、眼はそのことに集中し、背景の山や麓はすべて平(一様)に黒くベタに見える。目にはそう認識してしまう作用がある。

 狐火はコ・カと読んで、顧、過。
 黒き袂はコク・ベイと読んで、告、米。
 平なるはヘイと読んで、弊。
☆顧(省みる)過(あやまち)を告げると、米(アメリカ)に弊(敗れたこと)である。

 狐火はコ・カと読んで、庫、荷。
 黒き袂はコク・ベイと読んで、穀、米。
 平らなるはヘイと読んで、蔽。
☆庫(物をしまっておく建物)の荷は穀(穀物)であり、米を蔽(見えないようにしている)。

 


R.M『即自的イメージ』

2020-12-28 06:36:44 | 美術ノート

   『即自的イメージ』

 木製のテーブルの上に高台付きの皿があり、ガラスのカバーの中にはチーズが描かれた絵が入っている、背景は時代を特定しないベタである。
 これら条件を満たす答え・・・絵に描かれたチーズをカバーする必要はない、しかも高台付きの皿に掲げるのも愚である。
 木製のテーブルと見えるものは床板かも知れない、としたらこの高台付きの皿並びにガラスカバーの中のチーズの描かれた絵は巨大に変化する。鑑賞者はチーズケーキの常識的な大きさを知っているから、それを基準に他の大きさを特定する傾向があり、それを決定とするからイメージは動かない。

 しかし、時空は二つを潜在させており、ここに決定はない。
 対峙する二つの時空は視点の位置により動いてしまう。未決定である。作家の意図は不明確に隠蔽されている。
 状況は安定しているが、内実は対峙する二つの時空が内在する決定を拒む時空として描かれている。
 これをもって『即自的イメージ』という不安定かつ未開の状況への答えを導き出している。


 写真は『マグリット』展・図録より


『城』3564。

2020-12-28 06:12:06 | カフカ覚書

もう一日か二日ありさえすれば、どんな策略をつかっても、クラムを酒場に来させないようにしておくことは、もう不可能だったでしょう。クラムは、酒場に降りてきて、ビールを飲み、愉快な気分になることでしょう。たとえフリーダがいないことに気がついても、この変化にとても満足したことでしょう。あと一日か二日あれば、フリーダも彼女のスキャンダルやコネも、助手たちも、ことごとく忘れ去られてしまい、二度と姿をあらわすことはできないでしょう。


☆なお、一日か二日あれば、クラムを幽霊のテーマである小舟の関係(企み)に来させないことができたでしょう。クラムは酒場(死の入口付近)まで来て生命のとてつもない変化を認めたことでしょう。あと一日か二日あればフリーダのスキャンダルや彼らとのつながりも助手たちのことも全く忘れ去られ、決して傷痕が話題にされることもなかったでしょう。


『飯島晴子』(私的解釈) 火の音の。

2020-12-27 06:53:58 | 飯島晴子

   火の音の遠くなりたる枯葉村

 火の音…♪暫もやまずに 槌うつ響き 飛び散る火の花 はしる湯玉~♪ 「村の鍛冶屋」は小学唱歌として残したい歌の一つであったらしい。けれど今、鉄器類は工業生産化され、農機具は鋤・鍬の時代ではなくトラクターであるから、村の冬は静かである。

 火の音はカ・オンと読んで、科、怨。
 遠くなりたる(遠為)はエン・イと読んで、掩、意。
 枯葉村はコ・ヨウ・ソンと読んで、顧、拗、損。
☆科(罪とが)の怨(うらみ)を掩(隠す)意(気持ち)を顧(省みると)、拗(ねじれ)損(そこなうもの)がある。

 火の音はカ・インと読んで、荷、引。
 遠くなりたる(遠為)はエン・イと読んで、援、為。
 枯葉村はコ・ヨウ・ソンと読んで、雇、傭。
☆荷を引っぱるのを援(助ける)為(行い)は、雇(金を払って人を使い)傭(やとうこと)が存る。


『飯島晴子』(私的解釈) 白き蛾のゐる。

2020-12-26 06:40:34 | 飯島晴子

   白き蛾のゐる一隅へときどきゆく

 白きは明らか、蛾は蛾眉(美人)と読んで、(夫は)明らかに美人のいる一隅(Bar)へ、時々通うようである。

 白き蛾はシロ・ガと読んで、城、雅。
 ゐる一隅(居一隅)はキョ・イツ・グウと読んで、居、逸、寓。
 ときどきゆく(時時行)はジ・ジ・コウと読んで、次、自、考。
☆城(他人の立ち入りを許さない自分だけの領分)は、雅(風流)な居(住まい)であり、逸(俗から抜け出している)。
 寓(仮住まい)は、次(二番目)として自(思いのままにする)考えである。

 白き蛾はハク・ガと読んで、白、瓦。
 ゐる一隅(居一隅)はキョ・イツ・グウと読んで、墟、何時、宮。
 ときどきゆく(時時行)はジ・ジ・コウと読んで、示、事、公。
☆白(申し上げると)、瓦(バラバラに壊れている)墟(荒れ果てた旧跡)は、何時ごろ宮(神社・天子、皇族の住む場所)であったか。
 示(人に知らせるべき)事(事情)を、公(おおやけにしてほしい)。