続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

更地。

2012-07-31 06:29:30 | 日常
 近所のS家は跡形もなく取り壊され、更地になってしまった。

 Sさんの駄菓子屋は繁盛していたけれど、ある時、お店から出るごみは企業ごみと指定され「月2万円掛かる経費ではわずかな儲けも飛んでしまうから」と店を閉めてしまった。その頃から親しく話をするようになったのだけれど、きちんとした暮らしぶりで、話題は(いかに倹約な生活であるか)を競う内容。
「これ、フリーマーケットで300円、300円はないでしょう」と、着ていたセーターを自慢げに見せて笑った。わたしも負けずに
「こんないいの10円だったわ」みたいな会話。

「あそこのTさんが、息子の親方なの」と漏らしたことがあった。Tさんはトラック運送業、ダンプを数台所有していた。Tさんの奥さんとも親しかったけれど、こちらとも倹しさの張り合い。
「トラックなんて、やっとローンが終わったと思うと、今度は高い修理代・・・いいことないのよ。小銭をかき集めて惣菜を買いに行ったこともあるわ」と言っていたけれど、何が原因かTさんは子供を連れて実家に帰ってしまった、離婚である。
 
 ふと気づくと、トラックはガタ減り・・・Tさんの土砂を運ぶ仕事もなくなり・・・借金ばかりが残ったと聞いた。Tさんの家も売りに出て、今はまぼろし・・・。

 Sさんの息子さんとTさんの関わり。借金の保証人にでもなったのではないかという疑惑。そうでなければ、あんなに倹しく暮らしていた健全な家庭の家屋が裁判所の公報にに載ったりしないのではないか。

 長いこと(数年)空き家で放置されていた家は今、跡形も無く更地になっている。その前を通るたびに胸が騒ぐ。
 ある日突然、隣近所への挨拶もできずに転居して行ってしまった苦悩を考えると、胸が塞いでならないのである。(わたしにも「可哀想にね」といわれて転居していった幼い記憶があるから)

『城』899。

2012-07-31 06:02:20 | カフカ覚書
ソルディーニも、そのことで絶望して重い病気になったほどです。間違いの由来をつきとめてくれた最初の監督局も、この場合はミスであったと認めているのです。

 病気/erkrankt→erklaren/説明する。
 最初/ersten→arrest/禁錮。
 監督局/Kontrollamter→Kontrar ente/逆の、虚報。
 
☆ソルディーニ(太陽神)も、説明が困難であるために絶望してしまったほどです。禁錮の相反する虚報も間違いの原因を解明してくれ、この場合はミスであったと認めているのです。

朗報?

2012-07-30 06:32:14 | 日常
 膝の手術を受けたYさんに電話をしたら、明るい声で「膝を手術したほうの足は全然痛くないの」と言った。

 えぇーッ、そうなの(良かった!)

《手術をすれば痛みは消える!》朗報である。

「でもね、まだ手術をしていないほうの足は痛いからびっこを引いているの・・・だから歩く様子は以前と同じかも」と笑った。

「手術は未だねぇ」と躊躇っている人が多い。彼女もそうだったけれど、孫を抱きたいという一心で敢行したと聞いている。
 治るというのとは違うけれど、歩けて痛くなければそれで十分。

 いつか、いつの日か・・・わたしもそういう日が来ると覚悟している。「減量と運動を心掛けて下さい」という医師の言葉を実行していないから・・・。昨日も一昨日もただ家に閉じこもっていただけ、洗濯物を二階のベランダに干しに行ったくらいの運動、二階には足を鍛える運動器具を二種も揃えてあるのに(素通り)
 

 わたしの場合「湿布薬と痛み止めのどちらにしますか」というレベル。「膝関節痛の初期段階ですね、進行すれば・・・進行しないように努力して下さい」
「・・・はい、がんばります」とわたし。頑張れないわたし。

 いつか、いつの日か・・・。

『風の又三郎』396。

2012-07-30 06:23:10 | 宮沢賢治
「魚さっぱり浮かばなぃな。」ペ吉が、また向ふの木の下で云暇した。するともうみんなは、がやがや云ひ出して、みんな水に飛び込んでしまひました。

☆御/おさめる譜(物事を系統的に書き記したもの)
 奇知(普通とは異なる奇抜な頭の働き、発想)の考えを黙っている。
 化(形、性質を変えて別のものになる)の運(めぐりあわせ)。
 運(さだめ)を推しはかることを遂げる秘(秘密)の挙/ふるまいである。

『城』898。

2012-07-30 06:09:05 | カフカ覚書
「そういうご意見は、まったく初めて耳にしましたよ」と、Kは叫んだ。
「なに、ごくありふれた考えですよ。手落ちがあったと信じている点じゃ、わたしもあなたもたいしてちがわないのです。

 まったく/vollig→Folge/服従。
 初めて耳にする/Neues→Nuance/ニュアンス、陰影。
 たいして/viel→fallen/死ぬ。
 ちがう/anders→Ende/死。

☆「それは何か服従のニュアンスだ」と、Kは叫んだ。
 「なに、昔の予言者の考えですよ。先祖の過ちだと信じている点ではあなたもわたしも(死の死)はありません。

長男来訪。

2012-07-29 07:15:09 | 日常
(元気にしているかな)いつもいつの時も心配している息子たちのこと。

 無愛想な親のせいか、息子たちは滅多に家に来ることはない・・・。ドイツへ40日ばかり行っていたのにその報告もなく「お土産にカレンダーを買ったから」と言ったきり。
 昨夜、久しぶりに電話があり「今日居る?」「居るよ」と短いやり取り。

 日焼けした顔、元気そうだけど・・・(「男でも日焼け止めを塗って」と、咽喉まで出て言葉を止めた。)
「韓国に行ってきたよ」と、蔘鷄湯のパックと韓国海苔・・・。
「ありがとう、高かった?」
「安かったよ」

 言葉少な・・・。でも元気にしている事は一目瞭然。
「ドイツ、どうだった?言葉は?」
「何言っているのか全然分からなかったよ、でもインターネットがあるからつまんなくもなかった・・・。」

 あとは二人でTV。
「何か食べる?」
「いらないよ、お茶が欲しいな」
(そ、それだけ・・・)

「お父さん、飲みに行っちゃったけど、いつもお前の事心配しているよ。顔見せてあげてね」
「うん」


 無口な息子・・・もっと、足繁く実家に帰ってきて!ドイツより韓国より近いんだから。杉田なんて車で30分もかからない距離なのに。(36才、お前の年ならお母さんは・・・止めよう、こういうこと言うのは)
《自由》自由だけしかあげられない親だもの、余計な事は言わぬが花。

お祭り。

2012-07-29 06:51:33 | 日常
 TVで「花と竜」が流れると、不思議に懐かしい気がしていた。なぜだか分からなかったけれど、昨夕判明。
 
 同じ町内ではあるけれど別の町内会のお祭りは、わが家の斜め上にある高架線下の空き地でおこなわれる。したがって音量はそのままわが家がたっぷり受け止めるといった具合。
 かすかに「花と竜」が聞こえた・・・ああ、このお祭りで十年来何回もかけられる「花と竜」が、わたしの中に沁み込んでいたのだ。実行委員の中にこの曲が好きな人がいると思われる。それで「花と竜」に反応していたらしい。

 それにしても従来に比して音量が低い・・・近所からクレームでも付いたのだろうか。ここへ転居してから三十年、あの曲が聞こえると(ああ、夏がきた。七月も終りなのだ)と実感していた。七月最終週のイベントはただ聞いているだけのわたしにも懐かしく心に沁みこんでいたらしい。


 ただ、夏祭りも近年はどこも寂しい。少子化の影響が大だけれど、人の関心も多岐に渡るようになり、必ずしも町内のお祭りが最大の関心事ではなくなってしまった。不景気も影をさしているかもしれない。

 そして「お祭り」や「盆踊り」を騒音と捉える人たちも出てきている。
「Tちゃん、Tちゃんの家は公園の前だから盆踊りの時にはうるさいでしょう」と聞いたら、
「ううん、うちのお父さん、聞こえてくる音楽に併せて家の中で踊っているよ」と答えたTちゃん。
 以前はそんな風だったのに・・・昨夕の遠慮がちな音量(ボリューム)、聞いているわたしは少し寂しい気持ちだった。

『風の又三郎』395。

2012-07-29 06:31:25 | 宮沢賢治
「さっぱり魚、浮かばなぃな。」耕助が叫びました。佐太郎はびくっとしましたけれども、まだ一しんに水を見てゐました。

 魚はギョと読んで、御。
 浮かばないはフと読んで、普。
 耕介はコウから恒星、
 叫ぶはキョウと読んで、経。
 佐太郎はサタからサテライト(衛星=月)
 一しんはイツと読んで、逸。
 水がスイと読んで、推。
 見てはゲンと読んで現。
 
☆御/おさめるのは普く恒星であり経/常に変わらない。
 衛星(月)は、逸/かくれていると推しはかられるが、現われもする。

「城」897。

2012-07-29 06:16:14 | カフカ覚書
むろん、そういう役所は、ふつうの意味でのミスや手落ちをさがしだすことが目的じゃありません。というのは間違いなど、起りっこないからです。それでも、あなたの場合のような手落ちがあっあっとしても、いったい、それが手落ちであるなどとだれがはっきり断言できるでしょうか」

 ein→Ahn/先祖。

☆むろん、そこまでの決定ではありません。過ちが言葉の意味での(苦境から)抜け出すことは出来ないのです。というのは過ちは存在しないからです。先祖の痕(傷痕)、先祖の過ちがあったとしても、それが先祖の過ちだとだれが決定的に言えるでしょうか」