『パリの空気 50㏄』
レディ・メイド:ガラス製アンプル、高さ13.5㎝、円周20.5セン㎝
この中に、パリの空気50㏄が入っているという。ズバリ判定できる基準は存在しない。
不確定、絶対に確証の証明を出し得ないものである。そうかもしれないが、そうでないかもしれず、というより《パリの空気》なんてものがあったろうか。気流は巡っているし、第一見えない。
「言葉と物」、確定できない物に対する大雑把な命名は置換が可能である。パリでもアフリカでも日本でも自在であって、それを否定できる論拠を見いだせない。
『パリの空気 50㏄』は秀逸なセンスをもって把握不可能なものを把握し得た感があり、センス・・・物理界と精神界の境界を覗いた作品である。