十月初旬。五時半を過ぎると、もう夜だ。
午後六時少し前にケロチに着いた。
暗闇の中を走るのは危ない。出来れば明るいうちに・・・。今日は暗くなってしまった。
ケロチの街は・・・まだ六時だというのに、夜の十一時のような暗さと静けさ。これが不安心理をさらに煽る。北海道のはとんどの街がそうだ。
暗くなれば真夜中と変わらない。
計呂地の銀河鉄道。
今夜は列車で旅をする。
駅長室と客車を選べるのだが、駅長室では旅は出来ないだろう?
迷わずに客車を選ぶ。
客車には誰もいない。
今夜はひとりぼっちの列車の旅だ。
午後十時。街の街灯が消えた。
そろそろ発車の時刻らしい。
グッドイブニング計呂地の銀河鉄道。
サハリンの真ん中辺りにある、賢治の碑を見てみたい。
チケットはあるよ。ほら。
「anywhere you want to go」
オーケー、目を閉じればいいんだね?
眠ったりしないよ。僕はサハリンの賢治の碑を・・・。