ここに来ると、いつも、こんな空を眺めている。そんな気がします。
今は危険立入禁止で登れなくなった展望台に登ったりして。
夕陽と夕焼けが綺麗な場所なんです。ここは。
空が綺麗な場所なんです。ここは。
夕陽を眺めているのです。
見逃さないように、椅子の場所を移して。
みるみるうちに陽が沈んで行きます。
みるみるうちに真っ赤に染まって行きます。
マスターが車に乗って帰ってきた。
あっ、マスターだ!と思ったら、向こうも僕に気づいて手を振ってくれた。
嬉しい。覚えていてくれた。
マスターが言う。
「トマト食べてけよ」
もう食べました。朝食べました。イチゴも。
ははは。
明日で閉業のクリオネ。
マスターは忙しなく動いている。
「なんか手伝いますか?」と僕は言う。
「いい」マスターは言う。
全然手伝わせてくれないじゃーん。
マスターの後をくっついて歩きながら話す。
全然構ってくれないじゃーん。
全然遊んでくれないじゃーん。
ははは。
誰もが忙しなく動いているクリオネ。
僕だけが、やることもなく、ボケーっとしています。
クリオネは、中高年の方に厳しいと評判である。
それはマスターの方針。
時々、厳しすぎやしないだろうか?というか場面に出くわすが、方針だから仕方がない。
若者の味方・・・ということではないようだ。
ライダーハウス500円。
ゲストハウス1500円。
クリオネにはログキャビンや山小屋風ロッジの貸し切り設備もある。
年相応の形態の宿に泊まってください。という方針。
それはそれで理に適う。もっともな理屈なのだ。
時々、「去年まではライハに泊まってたのに、今年は一歩たりとも入れてもらえなかった。もうクリオネには行かない」という人に出会ったりする。
ははは。色々あって大変ですが、マスターの方針ですから。クリオネは、マスターのクリオネですから。誰も文句は言えないんです。誰も指図は出来ないんです。
見渡す限り、空だったりする。
高い建物が何もない。
斜里岳と知床連山まで何もない。
ずっとずっと空。
朝陽と夕陽を同じ場所から眺められる。
そんな場所。
真フグ、結構美味しいです。
鍋か唐揚げ、と店の人は言っていたけど、唐揚げがいいと思います。
ちょっと奥の方に苦味があって。
でも、やっぱり、むかーしむかしに食べたトラフグの唐揚げは美味しかったなぁ。と、思い出しました。
真フグを食べてトラフグの味を思い出す。
フグだけに。フグの味を呼ぶ。
世界で一番美味しいモノは、トラフグの唐揚げ。
うそ。トラフグの白子。
あっ、また思い出した。
フグだけに。
クリオネに帰還。
フグをさばく。内臓は抜いてあり、皮も剥いであるので、毒はないと理解します。
三枚におろします。
ぷりっぷりの身を、唐揚げサイズに切っていきます。
片栗粉をまぶします。
残り少ないオリーブオイルで揚げるのです。
お米はなしです。
フグの唐揚げだけ。
それが、僕のお昼ご飯。
お昼ご飯の買い出しに。
斜里産の美味しいモノはないかなぁ?とスーパーマーケットを物色します。
知床斜里産。。。結構あるじゃないか。
ワカサギとかツブ貝とか生ホッケとか。
何がいいかなぁ。お昼ご飯。
フグがありました。かなり大きなフグ。
何フグかというと、真フグだそうです。斜里産です。
一人でこんなに大きなフグを食べられるのか?
でも、珍しいから。
唐揚げかなぁ。
ジェラートをすごーく推しているのだけれど、ジェラートが入っているはずの器にジェラートは一滴も入っていない。
初めて来た時には、3種類のジェラートがあった。
ジェラートをくださいと店主に言うと、「ジェラート?オススメはソフトクリーム」と言った。
いや、ジェラートが好きなんで、ジェラートを。と言ったら、「いや、ジェラートじゃなくて、ソフトクリームですよ」
いや、だから、ソフトクリームじゃなくて・・・
「うちのソフトクリームはノルディックファームと同じ原料と製法でね、作ってるんだね」
もう意味がわかんない。じゃぁジェラートは?的なね。
仕方がないので、ソフトクリームを食べた。
ノルディックファームの味がした。
なるほど。
じゃあ、ジェラートは?
斜里にはノルディックファームがある。
いや、もとい。ノルディックファームの偽物っぼい店がある。
なざ偽物っぼいかというと、初めて来た時に、店主が言った。
「ノルディックファームは倒産したっぽいですよ」
ノルディックファームの看板をしょってる店が、ノルディックファームは潰れたっぽいとか言う?
結局、ノルディックファームは倒産していなかった。今もある。遠軽の生田原に。
偽物ノルディック。
ここのソフトクリームは美味しい。
だから、偽物っぽいけど、いつも食べる。
本家ノルディックファームではジェラートを食べるので、偽物ノルディックではソフトクリームを食べるのである。