日本で初めて「美人コンクール」が行われたのは明治40年だそうです。
「幕末・明治美人帖」(新人物往来社」の情報です。
この本、昔の美人のことを知りたい人には興味深い本です。
このコンクール応募には条件があって、「令嬢」に限られていました。
まあ、いい家のお嬢様方が応募するのかと、今なら思いますが、意外に「我こそ」という方が多かったようです。
昔と今では、美人の基準が違うといわれることがありますが、写真を見る限り、そう違いはないようです。
今のほうが、「チャーミング」「キュート」「個性的」と「美しい」人の範囲が広いようです。
いいことです。
コンクールに応募した30人以上の方の写真のなかから、何枚か選んでみました。
学習院に所属で、兄が勝手に応募。それを知ったときには泣いて、取り戻してと頼んだそうです。
かの乃木将軍を長とする学校は「軽佻浮薄」と問題視、結局自主退学となったそうです。
御年16歳。
けれど、その後、彼女は野津元帥の子息と結婚しましたとさ。
一等の商品は100円、いまの100万円くらい?(換算については諸説あり)のダイヤモンドの指輪。
ヒロ子さまはこれを返上したそうです。
左の方は山形代表、2等。
審査員の一人に歌舞伎の女形
中村芝翫がいて、彼(彼女?)が、審査のポイントとして、
生え際と髪型とのバランス(?)に注目、
「写真の多くは襟を詰めているので肩がいかってみえる。女性は抜き衣紋にして肩を狭く見せたほうが優しく優美に見える。襟の配色で、顔を白く、薄く(化粧を?)みせられる」とあります。
この辺り、今でも十分に参考にできそうです。
現代的な美人です。小さ目束髪がそう見せているのかな。好きなバランスです。
下は愛知代表の方。
お二人とも眉の形が今っぽいです。
それが現代っぽく見える原因かも。
写真師のアドバイスとして「容姿がいいのみではだめで、情の表現がなくてはならない。それを表に出すこと、つまり表情があることが真に美を発揮する」と述べ、これも現代に通用する言葉ですね。
審査は写真だけ。
今ほどではないけど、写真技術によって差が出ないのかなと思いますが。
このコンクール、当然ながら様々な波紋を巻き起こしたようですが、
「外貌の美は、貞淑、その他の内心の美に比すべきではなく~~」というただし書きを加えながらも、
「狭い深窓の世界から、もっと広い世界で認められたい」、と願うようになった女性の変化を述べています。
美人とは、いつの世も人の心を捉えるものですが、最後に強烈なこの小説を。
美容整形を繰り返し、過去に自分を笑った人たちに仕返し、忘れられない男性への思いを遂げようとする女性。
中村うさぎさんの解説が説得力を持つ~~。彼女自身整形を繰り返しているせいでしょうね。
「~~王子様を永遠に失ったまま、鏡に己の若さと美貌を映しながら生きる古城の妖怪、そう、我々こそが真のモンスター~~」
「モンスター」(幻冬舎)
作者は「永遠のゼロ」の百田尚樹氏。男性ながら、女性の心理の描き方がハンパなくうまい。男性作家ならではの、美人というものに対する男の本音もまたすごい。男性観、変わるかも。怖~~い。
これが掛け値なしの現実?あるいは真夏のホラー小説?
というわけで、長いお付き合い、ありがとうございました。
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