カンチャン狂騒曲

日々の事をあれこれと、大山鳴動してネズミ1匹がコンセプト。趣味さまざまなどを際限なく・・。

世事は煙の如し

2017-08-23 22:17:21 | 本と雑誌
 中国の作家と日本の作家の本を同時に借りてきた。

 中国の方は一人の作家の中・短篇集で、日本の方は18人の作家の中短篇集である。

 
 「世事は煙の如し」余華(著)飯塚容(訳)2017.6岩波書店(刊)

 表題にもなっている「世情は煙の如し」と「四月三日の事件」が50ページ以上で、後の4編は短篇である。

 借りた理由は、たまたま開いた表題作の冒頭の書き出しが変わっていたからだった。

 『窓の外に、この春最初の涙が落ちていた。7が病床について、もう数日になる。彼は息子の五歳の誕生日に倒れたのだ』
 
 と云った案配で少し読み進むと・・・。

 『倒れた日の夜、7は隣家の4の寝言をハッキリ聞いた。4は十六歳の少女である』

 こりゃまた凄い!登場人物が番号で出てくるとは・・・・こりゃ借りて読むしかない。

 その他の作品も、暴力・狂気・妄想・不条理が織りなす正に「魯迅」と「カフカ」をミックスしたような作品集だった。

 
 「近現代作家集(Ⅲ)」池澤夏樹(個人編集)2017.7.30(刊)

 「内田百閒」「野呂邦鴨」「幸田文」「富岡多恵子」「村上春樹」「鶴見俊輔」「池澤夏樹」「津島祐子」「筒井康隆」「河野多恵子」「堀江敏幸」「向井豊昭」「金井美恵子」「稲葉真弓」「多和田葉子」「川上弘美」「川上未映子」「円城塔」の18人の作家の中・短篇がずらりと600ページ近くの厚さでまとめられている。

 疲れた・・・2週間の貸出期限に間に合わず、返納してまた借りて・・・そして疲れた。

 短篇なので文章が凝縮され、堅くて判りづらくてもっと易しい表現はないのかとブツブツ言いながら読んだ。

 ただ一つ面白かったのは、内田百閒の「日没閉門」の中に出てくる文章だった。

 蜀山人の歌を作者がパロディー化したというもので「世の中と人の来ることうるさけれ とは云うもののお前ではなし(蜀山人)」を「世の中と人の来ることうれしけれ とは云うもののお前ではなし(百鬼園)」

 という文句を玄関脇の柱に書き出しておいたというくだり・・・・。

 それと不思議に思ったのはこの本を最初に借りたのは、7月22日だったが出版の日付が7月30日になっていたことだ。

 図書館ってどういうルートで本を入手するのだろう?

 今回の、日・中作家作品集を比較するなら、私の個人的趣向・偏見によって中国の方に軍配を上げる。

 
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コメント
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