昼食休憩を挟み、午後1時に再開されてから、さらにしばらくの時がたった。6時間あったはずの小倉の持ち時間も、すでに2時間を切った。勝負はすでに中盤、いや終盤の入り口といった方が的確かもしれない。この時点でもプロ棋士たちが形勢判断に困るほど、優劣をつけるには難しい戦況だった。
小倉の額からは汗が滲んでいる。ハンカチで汗を拭いながら、盤面を食い入るように見る彼の姿は「ロボット」「冷徹」という彼のイメージからは程遠かった。まるで時限爆弾を処理しているような緊迫感で、彼は駒を移動させる。時に10分、時に30分という時間を費やしながら、少し震えた指で駒を挟むのだ。
小倉は少し意識が遠のくような、盤面に吸い込まれるような感覚の中で、感じていた。ヘボンの指し手は、決して冷たくない。むしろ温かみのある人間味のある手を指してくる。どこか懐かしい手。それもそのはずで、ヘボンのデータには小倉は勿論、川野、遠山、中多らあまたの棋士たちの努力の結晶が詰まっているのだ。
小倉の額からは汗が滲んでいる。ハンカチで汗を拭いながら、盤面を食い入るように見る彼の姿は「ロボット」「冷徹」という彼のイメージからは程遠かった。まるで時限爆弾を処理しているような緊迫感で、彼は駒を移動させる。時に10分、時に30分という時間を費やしながら、少し震えた指で駒を挟むのだ。
小倉は少し意識が遠のくような、盤面に吸い込まれるような感覚の中で、感じていた。ヘボンの指し手は、決して冷たくない。むしろ温かみのある人間味のある手を指してくる。どこか懐かしい手。それもそのはずで、ヘボンのデータには小倉は勿論、川野、遠山、中多らあまたの棋士たちの努力の結晶が詰まっているのだ。