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ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

将王18手目「安堵」

2016-01-12 23:06:20 | 小説
翌日の新聞には「コンピュータソフトが棋士を超えた」という記事が大きく掲載されていた。

対局者のコメント 

川野九段(将棋連盟会長) 終盤の入り口あたりまでは悪くないと思っていましたが、そこから決め手が見出せなかった。力負けです。残念ですが、コンピュータは棋士を超えたのかもしれません。この勝負をもって棋士対へボンの対局は一区切りとさせていただきます。

土井コンピュータソフト・ヘボン開発代表 勝たせていただきました。勝負を受けてくれた川野さんに大変感謝しています。小倉さんと勝負できなかったのは心残りですが、コンピュータソフトが棋士を超えたことは証明されたと思います。これからも将棋のレベル向上に協力は惜しみません。

小倉は土井というヘボンの隣で、代理として駒を動かしていた男のコメントを何度も読み返した。正直、安堵していた。勿論、悔しさはある。しかし、自分が川野ほど器の大きな人間でない事も知っていた。もしヘボンと対戦して負けた時のリスクを想像すると空恐ろしかった。黙ってやり過ごす以外に手が見当たらなかった。
コメント
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