小倉対遠山の将王戦七番勝負は戦前の予想通り、小倉の決意通りに進行していった。3局を終えて小倉の3連勝。これといった危うい場面もなく、将王防衛に王手をかけた。
しかし、第4局。小倉は中盤まで戦いを優位に進めながら、遠山の粘り腰に攻めあぐね、ついには逆転を許し、敗れた。遠山は1勝3敗という、王手をかけられた状況に変わりのない事を忘れたかのように上機嫌だった。小倉は落胆していた。防衛することは疑いの余地はない。この白髪の目立つ老棋士に対し、4連勝で決められなかった自分の不甲斐なさに腹を立てた。
マスコミ、将棋ファンはあたかも遠山が将王のタイトルを奪還したかのような騒ぎようだった。その状況を眺めながら、小倉は第5局は勝つのは当然として、遠山本人は勿論、夢を見ている者たちをを奈落の底に突き落とすような内容で、現実に引き戻す事にこだわった。
しかし、いざ第5局が始まると勢いに乗った遠山が猛攻を仕掛け、小倉は防戦一方となった。対局前からすでに平常心を失っていた小倉は、遠山の迫力にさらに動揺し、そして崩壊した。結果は小倉の完敗だった。
局後の感想戦。顔を紅潮させ、饒舌に話しながら会心の一局を振り返る遠山に、小倉は我慢できず「少し体調が悪いのでこれで失礼します」と小さな声を発し、その場を立ち去った。
しかし、第4局。小倉は中盤まで戦いを優位に進めながら、遠山の粘り腰に攻めあぐね、ついには逆転を許し、敗れた。遠山は1勝3敗という、王手をかけられた状況に変わりのない事を忘れたかのように上機嫌だった。小倉は落胆していた。防衛することは疑いの余地はない。この白髪の目立つ老棋士に対し、4連勝で決められなかった自分の不甲斐なさに腹を立てた。
マスコミ、将棋ファンはあたかも遠山が将王のタイトルを奪還したかのような騒ぎようだった。その状況を眺めながら、小倉は第5局は勝つのは当然として、遠山本人は勿論、夢を見ている者たちをを奈落の底に突き落とすような内容で、現実に引き戻す事にこだわった。
しかし、いざ第5局が始まると勢いに乗った遠山が猛攻を仕掛け、小倉は防戦一方となった。対局前からすでに平常心を失っていた小倉は、遠山の迫力にさらに動揺し、そして崩壊した。結果は小倉の完敗だった。
局後の感想戦。顔を紅潮させ、饒舌に話しながら会心の一局を振り返る遠山に、小倉は我慢できず「少し体調が悪いのでこれで失礼します」と小さな声を発し、その場を立ち去った。