勝負は形勢不明のまま、最終盤に突入していた。ヘボンの攻め手を受けることをせず、小倉もヘボンの玉に迫る手を選択したのだ。激しく攻め合う両者。ヘボンの隣で駒を動かす土井も切迫した局面を肌で感じたのだろうか、心なしか青ざめていた。
小倉はジレンマに陥っていた。もう少し時間を使って考えたい。しかし、すでに残り時間は30分を切っている。やはり直感に頼らざるを得ない状況だった。
数手、攻めの応酬が続いたが、先に受けたのはヘボンの方だった。別室で観戦しながら、形勢判断を試みていた多くの棋士たちから、どよめきが起こった。川野は表情を変えず、静かに見守っている。
なおも攻める小倉。固く結ばれていたはずの土井の口が、少しずつ開いていく。攻めがつながるのか、切れるのか小倉自身にも分からなかった。
小倉はジレンマに陥っていた。もう少し時間を使って考えたい。しかし、すでに残り時間は30分を切っている。やはり直感に頼らざるを得ない状況だった。
数手、攻めの応酬が続いたが、先に受けたのはヘボンの方だった。別室で観戦しながら、形勢判断を試みていた多くの棋士たちから、どよめきが起こった。川野は表情を変えず、静かに見守っている。
なおも攻める小倉。固く結ばれていたはずの土井の口が、少しずつ開いていく。攻めがつながるのか、切れるのか小倉自身にも分からなかった。