コンピュータソフト・ヘボンの開発グループの中心人物である土井は、突然、降って沸いた話に驚き、そして瞬時に喜びに変わった。彼は「どれだけ時間をかけて研究してもらってもかまいません。半年でも1年でも」と弾んだ声で川野に伝えた。しかし小倉の答えは意外なものだった。「できるだけ早く対戦したいです」。
かくして川野・ヘボン戦からわずか一ヶ月足らずで小倉将王対ヘボン戦は実現した。将棋盤を挟んで小倉とヘボンはついに向かい合った。ヘボンの代理人の土井が素人の手つきで駒を動かすと、一斉にフラッシュがたかれ、その2分後、小倉が駒を指に挟み、それをこすり付けるように盤上に落とすと、さらに眩しく無数の光が飛び交った。
かくして川野・ヘボン戦からわずか一ヶ月足らずで小倉将王対ヘボン戦は実現した。将棋盤を挟んで小倉とヘボンはついに向かい合った。ヘボンの代理人の土井が素人の手つきで駒を動かすと、一斉にフラッシュがたかれ、その2分後、小倉が駒を指に挟み、それをこすり付けるように盤上に落とすと、さらに眩しく無数の光が飛び交った。