スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

情報の共有&眼鏡属性

2025-02-06 10:35:17 | NOAH
 続・谷津の雑感⑨でいわれていることは,整合性は取れています。この証言が真実だとすると,タイガーマスクが素顔の三沢光晴に戻ることを,ザ・グレート・カブキは知っていたということになります。この東京都体育館の試合はテレビ中継が入っていて,放送席で解説を務めていたのがカブキでした。カブキは実況のアナウンサーがそれを指摘する前からタイガーマスクがマスクを取ろうとしていることを指摘していて,これはこのことを事前に知っていたとしか思えないからです。
 ただ,これが真相であったとするためには,まだいくつかの条件が揃わなければならないと僕は考えています。しかしインタビュアーは残念ながらこの部分については深く突っ込んでいないので,このことについては谷津の雑感とは別に,僕自身の考え方を示しておきます。
 まず谷津は,自分だけでなくカブキもSWSに移籍するということを知っていたといっています。しかしこのことがカブキにだけ妥当するというのは無理があるように僕には思えます。当該の試合はタッグマッチで,三沢というかそのときはタイガーマスクですが,そのパートナーは川田利明でした。谷津はその対戦相手で,谷津のパートナーはサムソン・冬木だったのです。この冬木はやはり後にSWSに移籍しました。カブキが移籍することだけを知っていて冬木が移籍することを谷津が知らなかったとは僕には思えません。そして冬木に限らず,さらに多くの選手がSWSに移籍しているわけで,そうした選手については谷津はたぶんすべて知っていた筈だと僕は考えます。そしてこのことは谷津が知っていてカブキは知らなかったとするのも無理があるといえるでしょうから,この日に全日本プロレスのリング上で仕事をして,後にSWSに移籍する選手の間では,だれが移籍するのかということの情報は共有されていたと僕は考えます。移籍の時期はそれぞれの選手で若干のずれが生じたのですが,カブキは時期としては遅かったですから,そのカブキの移籍がすでに谷津に知られていたということは,移籍選手の間での情報の共有はなされていたと解するのがやはり自然であるように思えるのです。

 前もっていっておいたように,その存在existentiaに本性essentiaが含まれていないもの,すなわち自己原因causa suiではないものが存在することの不可思議さにスピノザは注目したと吉田はみています。この問題意識はデカルトRené Descartesにも共有されていたのだと吉田はみているのですが,デカルトがそうしたように,この世界が存在することの不可思議さを神Deusの自由意志voluntas liberaによる創造という形で解決しようとはスピノザはしませんでした。スピノザにとっての世界は,あるいは世界を構成する諸々の個物res singularisは,それが神という実体の変状substantiae affectioであるがゆえに,すなわち様態modiであるがゆえに存在するのです。再び第一部定理二五系に着目すれば,この世界に現実的に存在する個物はすべて様態なのですが,そのこと自体が様態がこの世界に現実的に存在する理由にもなっているのだと吉田はいっているわけです。なぜそのこと自体が理由になり得るのかといえば,この系Corollariumでは,様態は神の属性Dei attributaを一定の仕方で表現するexprimunturといわれているからです。
                            
 属性は第一部定義四により,実体substantiaの本性essentiamを構成するもののことをいうのですが,吉田はこれをやや変わった仕方で説明しています。もっとも,吉田は実体を説明するときもネコを実例としてあげていたわけですから,基本的に吉田はスピノザの哲学を講義の中で説明するときには,そういう方法を採用しているといってもいいでしょう。たぶん吉田は学生に対してスピノザの哲学を講義するときには,そのような方法を採用するのがよいと考えているのでしょう。
 一般的には,何かがあるとして,その何かに属しているもののうちその属しているものがなくなってしまうとそれが何であるかを規定できなくなってしまうとき,そうしたものが属性といわれることになります。たとえば性的なフェティシズム,吉田はここでは眼鏡を例に挙げていますのでそれに倣いますが,眼鏡をかけている人に対して特殊な性的嗜好を有している人は,その眼鏡がなくなってしまうとその性的嗜好自体が消滅してしまいます。なのでこの人は性的に眼鏡属性を有しているということになるのです。属性という語は現にこのような使われ方をすることがあると思いますが,これは意外と忠実な用法なのです。

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