犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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メーター改革へ 検針員の苦役篇

2019年12月26日 | 椰子の実の中
大体ね、数字の形が似たようなものが多いのがいけない。



私は以前、水道のメーター検針員をやっていた。

水道のメーターの指針を目で見て、
その数字をハンディターミナルに入力し、
使用量と料金の票を配布する、簡単なお仕事です。

他に、
銀色のパイロットメーターがわづかでも回転しているのを見逃さず漏水を発見したり、
車輪の下になっているから車を移動してくださいとお客様に丁重にお願いしたり、
届け出しないまま水を使っている場合はすみやかに届けて下さるようご案内したり、
毎回、土に埋もれているメーターボックスを掘り起こしたり、
雪かきした雪が山になって凍っているのを力づくで割ったり、
メーターボックスからたくさんのカマドウマが跳び出てきたり、
砂利と泥水が溜まっているのを掻き出したり、
車の下に這い込んで鏡とライトでやっとこ数字を読んだり、
重たい鉢植えがたくさん並べられていたり、
どでかいバイクが乗っていたり、
庭に放し飼いの犬に咬まれたり、
建物と塀の隙間に蟹歩きで入った姿勢のままで蓋を開けたり、
その塀の上から猫がウンチをしていて塀の途中がウンチまみれだったり、

そんな中で正確に数字を読み取ってお客様に料金の請求を出す、簡単なお仕事です。



水道メーターが在りがちなのは、
敷地のすみっこである。
道路の水道管からそれぞれの敷地に引くわけなので、
道路に近い所に在る。

一戸建て住宅でよくあるのが、駐車スペースの中だ。
すると、メーターボックスが車の下になることがしばしば有る。

タイヤの位置がちょうどメーターボックスに掛かる場合、
これはもう、車を移動してもらうしかない。
運転できる住人が留守の場合、再訪したり、
ご自身で指針を読んでおいてもらったり、などする。

しかし、タイヤに掛かっていないのなら、なんとか指針を読んでしまいたい。

検針員は検針棒と呼ばれる、先っちょがちょいと鈎になった棒を持ち歩いている。
メーターボックスの蓋には1㎝くらいの切れ目が有って、
そこに鈎を引っかけてひょいと蓋を開ける。

鈎を引っかけて開けるので、引くのは開けやすいが、
押す方向に蓋が付いていると、とても開けにくい。
鈎を蓋の穴に突っ込んで、なんとか回して棒を蓋の下に差し込んで、
押し開ける。

といった作業を、車の脇の地面に這いつくばって、やる。



やっとメーターボックスの蓋が開いたら、次は、ボックスの中のメーターの蓋を開ける。
蓋を開けておけばすぐに読めるから開けっぱなしにしておけばいいかと言うと、
開けっぱなしにしておくとメーターのガラス面が汚れて中の数字が読みにくくなるので、
ちゃんと毎回閉める。

では閉めておけばきれいかと言うと、水が流れ込む場所だったり、
泥や砂が入り込む場所だと、メーターの蓋なんかなんにもならない。



メーターボックスの中が砂利に埋もれる場所も有る。
2ヶ月に一度行くと、行く度に埋もれているのだ。

ボックスの中の砂利を搔き出して、メーターの蓋をなんとかこじ開けて、
するとメーターの中に砂利がなだれ込むのをまた搔き出して、
メーターの数字部分の砂利をよけて、なんとか数字を読む。



自分が読み取った数字をハンディターミナルという計算機に入力し、
それによって使用者に水道料金の請求がかかる。
数字を読み間違ったら、不当な請求に繋がってしまうから、
正確に数字を読むことがとても重要だ。



車の下に戻ろう。ゴソゴソ

メーターボックスの向きが良くて、
中のメーターの蓋の向きも良くて、
すんなりと数字が見える。という場合ばかりではない。
車の下に潜り込んで、両手を使わないと数字が読めない場合も有る。

車の下に這い込んで、顔を横に向けてどうにかこうにか、
懐中電灯の光でやっとこメーターを照らし、
ああ、しかしメーターが泥に埋もれてひどく汚れている、
片手で蓋を支えながら、もう一方の手でメーターのガラスを拭い、
携帯を持ち直して、ライトがうまく当たるようにして、
写真を撮る。
一回でうまく数字が撮れるとも限らない。

携帯で手軽に暗い所の写真が撮れるようになるまでは、
なんとか自分の目でメーターが見える位置まで潜り込まなければならなかった。
泥まみれになったり、服が破けたりすることも有った。

つづく

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